春休みの心がけから六送会の準備まで! 3月に用意したい、あいさつ・スピーチ

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卒業特集ー6担初心者もこれで安心!ー 
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元山形県公立学校教頭

山田隆弘

春、桜の時期、別れと出会い…。学級じまい、修了式、卒業証書授与式、離任式、などが続き、人生のすばらしさ、美しさ、悲しさが交錯する特別のシーズンです。学校でのせんせいのスピーチはこのシーズンを華やかに彩ってくれます。付け焼き刃の思いつきスピーチでは心に残りません。今回は、5年生以下の児童向けのスピーチについてご紹介します。学年に応じたスピーチをしっかり準備しておきたいですね。

【連載】マスターヨーダの喫茶室~楽しい教職サポートルーム~

卒業生担任のスピーチは、こちらをご覧ください>>>

1 卒業証書授与式参列一週間前<在校生向け>

式の一週間前の指導です。式の作法練習が入る前にきっちり伝えたいです。学校行事でいちばん大切な儀式的行事です。

●ポイント1 卒業式とは何かを考えさせましょう

●ポイント2 卒業生への感謝の気持ちを自分との関わりの中で想起させましょう

●ポイント3 ゆくゆくはあの卒業生席に座るのだという未来像を描かせましょう

卒業証書授与式に参列する在校生は、学校の規模などによってさまざまです。コロナ禍の影響で、卒業生だけの参列という例もありましたし、在校生代表として5年生だけの参列という学校、小規模校だと全校生が参列するという学校もあります。いずれにしても、「感謝」や「お祝いする気持ち」を醸成するいい機会ですので、しっかり指導していきたいですね。

<スピーチ例>
3月○日は、卒業式です。卒業式と言っても正確には、「卒業証書授与式」と言います。この小学校で6年間の義務教育を終わらせた証を手わたし、お祝いして、新しい場所でのがんばりを願う日です。
みなさんは児童会活動やさまざまな行事で、6年生と関わり合いがありましたね。いっしょに活用したり、アドバイスしてもらったり、親切にしてもらったりしたことがあると思います。そのことを思い出しながら、これからの準備の時期を過ごしてほしいです。
6年生を送る会での呼びかけや在校生からの贈る歌の練習をし、校内をきれいに掃除してお客様を迎える準備をしましょう。
きみたち在校生の気持ちが一つになれば、卒業生も気持ちよく、そしてみなさんへの感謝の気持ちをもって卒業していけると思います。
例えば送る会での呼びかけや歌では、声の大きさだけでなく、間の取り方、わかりやすい発音、気持ちをこめることなど、一つひとつの言葉を大切にしてほしいと思います。
練習のとき、ふらふらしていい加減な気持ちでは本番でもうまくいくはずがありません。一流の芸能人は、リハーサルの時でも手をぬかず真剣に取り組むそうですよ。みなさんにも期待しています。

2 修了式の日に 進級する児童へ

新しい学年への希望をもたせたいです。改めて学級の一年間を振り返ってみます。児童の成長を喜びたいです。掲示物(学級の歴史がわかる画像)などで、振り返ることのできるものがあればなおいいですね。

●ポイント1 学級の歴史を振り返りましょう

●ポイント2 出会った縁に感謝し担任の思いを伝えましょう

●ポイント3 新しい自分にリセットするいいチャンスであることを話しましょう

<スピーチ例>
修了式が終わりました。
わたしたちの学級もこれで終わりです。
新しい学年ではクラス替えや担任替えがあり、同じせんせい、同じ友だちと過ごすことはないだろうと思います。
一つのチームとしてわたしたちはさまざまなことに挑戦しました。4月はあたらしい学年になって、みんなといっしょに学級の仕組みを作っていきましたね。自分の希望どおりにならないことがあっても、譲ってくれました。6月には宿泊学習で山のキャンプ場に行きましたね。カレーの水気が多すぎて、スープみたいになりましたね。9月の運動会では燃えましたね! 10月はせんせいの研究授業があって、うまくいかなくて困っていたとき、みなさんが助けてくれました。11月の学習発表会では、ダンスで踊りまくりました。みんな全力で踊ったね。12月は学級クリスマスイベントでそれぞれの係ががんばってくれて大盛り上がりでした。
2月の学級文集づくりでは、将来の夢を書いてくれ、みんなの将来が楽しみに思えてきました。一生の宝物にしたい一冊だなあ。
また、こんな学校行事やイベントだけでなく、何気ない毎日も、とてもすてきに思い出されます。
夏に汗を一杯かいて、教室に戻ってきてから、いくらタオルで拭いても汗が止まらず、授業にならなかったこと。教室の窓から沈んでいく夕日を見て、綺麗だなーと感じたことなどが思い出されます。
友だちとうまくいかなかったことや新しい友だちができたことなど、みんないろいろ話してくれたよね。一つひとつが、みな良い思い出です。
また、みなさんと会えればいいですけど、せんせいの仕事は一年間で一区切りです。一旦、これにて学級じまいです。
新しい学年になっても、自分の力を信じて、うまくいくことばかりでないけど、小さな努力をこつこつ積み上げていってほしいです。新しい自分に挑戦です! 健康に元気に力一杯学校生活を楽しんでくださいね。

3 卒業証書授与式前日<在校生向け>

●ポイント1 修了式での姿勢や参加する態度がよかったことをほめましょう

●ポイント2 卒業証書授与式の準備を精一杯やったことを評価しましょう

●ポイント3 あしたは卒業生になった気分で!きびきびした作法を学ぶようにさせましょう

<スピーチ例>
修了式も無事終わりました。みなさんの学年も無事終わったということですね。進級おめでとう!
さて、明日はいよいよ、六年生の卒業証書授与式です。呼びかけや歌の練習で覚えてきたことを思い出してくださいね。そして、式に臨む態度や姿勢も、練習の時のことをしっかり思い出しましょう。
明日の準備も整いました。送る気持ちが伝わってくる、すてきな飾り付けができました。みなさんのがんばりがとてもうれしいです。卒業生も喜んでくれることでしょう。それと同時に、みなさんが卒業生になったときのことを想像し、今の卒業生に学ばせていただくという気持ちをもってほしいです。来年(5年生の場合)、みなさんはあの場所にいるはずです。自分を当てはめて参列するのもいいですね。まずは、卒業生をしっかり心をこめて送り出しましょう!
今夜は早めに寝て、元気に登校してくださいね。

4 春休みに向けて<全学年向け>

春休みというのは、なかなか学校の目が届かない時期です。年度が変わる時期は人事異動などで学校がめまぐるしく動きますので、在籍児童への対応ができにくいのです。春休みの時期は短い方がいいのですが、長いところでは20日くらい、短い都道府県でも10日はあるでしょう。平均2週間くらいでしょうか。しっかり、事前指導をしておきたいです。

●ポイント1 学年を振り返り新しい学年への希望をもたせましょう

●ポイント2 危険がいっぱいの春休み、自分を守る方法を常に考えさせましょう

●ポイント3 スタートの気持ちをもたせ学習用具を整えるようにさせましょう

<スピーチ例>
春休みは区切りの休みです。学期の区切りではなく、学年の区切りです。ですから、春休みをどう過ごすかはとても大切ですね。だらだらと過ごしがちですが、時間を有効に生かしてほしいです。
まず、みなさんにやってほしいのは、新しい学年に向けての準備です。○年生のときに使ったものを整理したいですね。捨てるものは捨て、とっておくものをはきちんと整理しましょう。お家の人と相談しながらやるといいですね。絵の具やお習字道具は洗ったり、補充したりして、すぐ使えるようにしましょう。
それから読書ですね。草木や動物は、春に一気に生命力があふれ出します。みなさんも同じです。春に向けてエネルギーを貯めるのです。市立図書館や児童会館などの公共施設を利用して読書をするのもいいですね。いい本に巡り会えればいいですね。
それとね。春休みで一気に行動範囲が広がります。自転車に乗ることも多くなるでしょう。飛ばしてくる車も多いし、歩行者や自転車同士でぶつかることも多いです。被害者や加害者にならないように、交通ルールには、しっかり気をつけてください。
あとは、春になると変な人が出てくることも多いです。学校で対応訓練の学習をしましたね。思い出してほしいです。
できるだけ、一人で歩くことがないように。そして外出するときは、時間や通る道筋を考えてくださいね。
学校からわたす「春休みのくらし」のプリントを家のどこかに貼って、ときどき見てくださいね。
元気に春休みを楽しんでください。そして、4月学校に登校した日から新しい学年が始まります。小さな1年生も入ってきますね。お兄さん、お姉さんとして、しっかりがんばってください。

学級の最後の日に、担任にちょっとしたお手紙や折り紙などのサプライズプレゼントをくれる児童もいます。心が温かくなります。わたしは、そういった児童には何か一筆箋にメッセージを書いてわたしています。
こういうお返しをすることも、人の世では必要なことだと伝えていきたいと思っています。
担任でもないのに卒業生からお手紙をもらったときは、あとで保護者を介して、ささやかな返礼品を贈ったこともありました。

この前、退職するせんせいの学級のやんちゃ坊主と指導もかねて話していたら、「ぼく、せんせいに迷惑をかけていたから、最後の日に巻物をつくって、『ありがとう せんせい』ってわたしたいんだ」と言っていました。泣けますねえ。こんなこともあるから、学校のせんせいはやめられないんです!

【参考図書】
教育技術MOOK『<小学校>話のネタ本12か月と季節の挨拶文例集』(小学館)

卒業生担任のスピーチは、こちらをご覧ください>>>
一筆箋については、こちらをご覧ください>>>

イラスト/したらみ


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山田隆弘先生

山田隆弘(ようだたかひろ)
1960年生まれ。姓は、珍しい読み方で「ようだ」と読みます。この呼び名は人名辞典などにもきちんと載っています。名前だけで目立ってしまいます。
公立小学校で37年間教職につき、管理職なども務め退職した後、再任用教職員として、教科指導、教育相談、初任者指導などにあたっています。
現職教員時代は、民間教育サークルでたくさんの人と出会い、さまざまな分野を学びました。
また、現職研修で大学院で教育経営学を学び、学級経営論や校内研究論などをまとめたり、教育月刊誌などで授業実践を発表したりしてきました。
『楽しく教員を続けていく』ということをライフワークにしています。
ここ数年ボランティアで、教員採用試験や管理職選考試験に挑む人たちを支援しています。興味のあるものが多岐にわたり、さまざまな資格にも挑戦しているところです。

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