コロナ禍の視点もふまえた「一・二年生の二学期の通知表所見」のポイント

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今年度はコロナ禍の影響があり、一学期とともに二学期も通知表の評価に難しいところがあるかもしれません。新学習指導要領をベースにコロナ禍での視点も合わせ、保護者に理解と協力を得る通知表所見の記入のポイントを紹介します。

監修・執筆/東京都公立小学校校長・吉藤玲子

コロナ禍の視点もふまえた「一・二年生の二学期の通知表所見」のポイント

二学期所見の留意点

今年度は、コロナウイルスの感染拡大予防のため、一学期のうち、4月、5月は休校、6月も分散登校の学校が多かったことと思います。 

そのような中での一学期の通知表は、評価が難しかったり、場合によっては評価できなかったりした項目もあったのではないでしょうか。二学期は、しっかりと子供の記録から見とった評価を説得力のある文章で記入していきたいものです。今年は、一学期と比べての変容というよりも、身に付いた力や学習態度などから、よい点を見付けて詳しく書いていきましょう。

教師と子供

一年生の学習

国語科では、一学期から少しずつ文を書くことに取り組んでいる一年生。二学期は、カタカナや漢字も交えて自分の気持ちを表現できることをめざしていきます。個人差はあると思いますが、書くことが好きな子供たちを育てていきたいものです。上手に書けた記述については、具体的にほめましょう。また、図書室の利用も授業の中で増えてきます。積極的に本を借りたり、読書感想文を書くことに挑戦したりしている子供は、記述欄でその旨を取り上げましょう。

算数科では、20までの数やくり上がり・くり下がりのある計算、時計の読み方、などを勉強していきます。ここでつまずくと三学期の学習が大変になりますので、復習が必要な子供には、冬休みを活用して、宿題や補習プリントなどにしっかり取り組むように伝えましょう。

生活科では、季節の生き物や自然の観察を学習します。校庭や学校のそばの公園などで季節の変化を感じていきます。気付きがたくさんある子供は、ぜひ、こんなことにも気付いたと具体的に書いて、保護者に伝えたいものです。

生活習慣についても、小学校生活スタート期の一年生については、どれだけ身に付いているかを保護者にきちんと知らせ、基本的な生活習慣ができていない場合は、家庭に協力を求め、一緒に指導していくことが必要です。「着替えなど、自分のことが自分できちんとできるようにがんばりましょう」などと具体的に保護者に知らせ、家庭での躾もお願いしましょう。

子供の様子を思い浮かべる教師

二年生の学習

国語科の学習では、調べたことを文章にまとめて表現するような活動が出てきます。きちんと習った漢字が使えているか、自分の言葉で書かれているか、ノートや作品などから読み取り、評価しましょう。また、絵を見て話を書いたり、読んだ感想を伝え合ったりする表現活動もあります。テストの結果だけでなく、日頃の活動で見られるよさも保護者に伝えてほしいものです。

算数科では、長方形と正方形のような図形の学習や、かけ算を学習します。二年生のこの段階で九九を覚えることは、この後のわり算や他の学習にもつながります。子供によっては、なかなか覚えられない場合もあります。補習学習として、冬休みの宿題などで、「かけ算九九、特に○○の段をしっかり言えるようにしましょう」などと具体的に知らせ、家でも学習してもらいましょう。その際、「学校でもがんばって覚えましたが、もう一息です」などと、学校での様子についても知らせるとよいでしょう。

生活科では、自分で工夫して作製するおもちゃづくりや、学校の外に出て地域を回る「町たんけん」の活動が行われます。コロナ禍でどの程度「町たんけん」が実施できたかは分かりませんが、三年生からの社会科につなげるためにも二年生の段階で地域を知っておくことは大切な学習です。実際に地域に出かけることができた学校は、その際の子供の感想や、町の人たちとの関わりなど、具体的に気付いたよさを書いてあげるとよいでしょう。

教師からの通知表所見コメントを見て喜ぶ保護者

外国語活動やプログラミングなど

新学習指導要領では、三年生から外国語活動が入ってきます。しかし、簡単な遊びや会話を一年生から行っている学校も多いと思います。外国語活動においては、低学年では、上手に話せるという視点でなく、意欲的に授業に取り組めたかどうかを見ていきましょう。

また、コロナ禍で一気にICTの整備が進んだ自治体も多いのではないでしょうか。タブレットの活用やプログラミングの導入などに、保護者は大変関心があります。少しでも取り組んだことがあれば、記入しておくと、本校でも取り組んでいるのだと保護者も安心します。低学年では、実際にパソコンを活用しなくても、プログラミング的思考力の育成などを行っていることと思います。ぜひ取り組んだことがある場合は記入するようにしましょう。

保護者に向けて

今回のコロナ禍で授業参観も予定通り行えていない学校もあるでしょう。保護者は、学校での我が子の様子を知りたいのです。ぜひ、通知表を有効活用して、伝えられることを可能な限り表現してください。そして、必ず家庭からの通信欄にもコメントを記入してもらうようにしましょう。今年ほど、通知表が家庭と学校をつなぐ重要な役割を担っていることはないと言えるでしょう。

イラスト/terumi

『教育技術 小一小二』2020年12月号より

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