withコロナ時代の子供のストレスチェックポイントとケア方法を紹介

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コロナ対策特集:新しい授業と学級づくりの知恵、続々更新中!

いつもと違う夏休みに戸惑う子供たち。二学期の学校生活にスムーズに入っていくためには、子供たちの心や生活のリズムにいつも以上に気を配らなくてはなりません。そのチェックポイントとケア方法を紹介します。

執筆/宮城県公立小学校教諭・藤坂雄一

コロナ対策&夏休み明けでヘトヘト! 「子供の心身」再チェック&ケア

例年以上に子供の様子をていねいに見とる

今年度はコロナ禍により、夏休みが短縮となった学校が多いと思います。そのため、夏休み明け、ストレスや疲れを溜めてしまっている子もいるでしょう。

また一学期が短かった分、学級のシステムが定着していなかったり、一学期に覚えたルールが休み明けにすべてリセットされていたりすることも考えられます。そのことに気が付かずに二学期をスタートしてしまうと、戸惑いを感じて学級集団になじめずに登校を渋る子や、ルールを守ることができずに自分の思いを通そうとする子も出てくるかもしれません。

そうなると、後々学級経営が難しくなるケースもあります。

今年の休み明けは、例年以上に子供たちの様子をていねいに見とる必要があるでしょう。日々の生活様式の確認や指導を根気強く行い、自分たちの生活を自分たちでつくっていく感覚を育てたいものです。

休校措置が取られた学校現場では、授業時数を意識する声をよく耳にします。もちろん「学びを保障すること」は大切なことです。ただしこんな状況下だからこそ「心のケア」も必要であると強く感じています。

東日本大震災時には、被災地の学校では、学校再開後、授業時数の調整や復興イベントなどで大変忙しくなりました。目まぐるしい環境の変化にすぐに順応できる子供もいましたが、戸惑いを感じている子もいました。そうした子供たちにとって心の拠り所となったのが、「子供同士のつながり」だったと感じています。

今は感染予防のために、さまざまな制限はありますが、みんなで一緒に笑ったり考えたりして感情交流をすることは、大切な「心のケア」になります。形やあり方は変わっても、子供同士が関わり合うことや心のつながりを大切にしていきたいものです。

もう一つ心がけたいのは、自分自身のケアです。感染予防対策を徹底させながら、臨機応変な対応が求められ、教師も疲労が蓄積されることが予想されます。教師の心身の余裕のなさは、子供たちの小さなサインを見落とし、問題行動につながることもあるのではないでしょうか。

教室環境が整っているかどうかは分かりやすいバロメーターです。教室環境が乱れている場合には、教師の余裕のなさを示しています。教師自身も自分の状態をチェックして、ゆるみすぎにもはりきりすぎにも注意しましょう。

子供の変化に気付いたらチームで対応する

子供たちの変化や問題行動に気付いたら、まずその変化が生活リズムが崩れたことや集団生活に対するストレスなど、環境の変化によるものなのか、それとも家庭の事情や人間関係の変化など不安感情に伴うものなのか、行動パターンの背景や原因を推測しながら注意深く観察しましょう。

また学級担任だけではなく、学年の先生方や保健室の先生、スクールカウンセラー、特別支援コーディネーターや生徒指導主任など、子供たちに関わる他の先生方にも相談し、チームで情報収集してアセスメントして、子供たちにどのように寄り添う(または指導する)必要があるのかを判断していきます。

情報収集→アセスメント→それぞれの立場での関わり及び観察→情報収集……というサイクルをチームで対応していきます。

大切なのは、それぞれの立場で関わり、多角的に情報を収集していくことです。チームで対応していくことで、複眼的に子供の変化を見とることにつながります。

では、下記の再チェックポイントを基に、子供が陥りがちなケース別に対応策を考えることにしましょう。

子供の変化に気付いたらチームで対応する

子供の心身の変化を見とる 再チェックポイント

環境の変化による問題行動がある場合

休み明けには学校における生活様式がリセットされてしまう子供たちも多いものです。また分かっているけれども、自分自身をコントロールすることが難しいケースもあります。

そうした子供たちは、服装や言葉遣いが乱れたり、文房具など不必要なものを持ってきたりしがちです。周囲とは異なる態度をとり、アピールすることもあります。

掃除用具などの公共物を粗末に扱ったり、わざとルールを守らなかったりするという行動は、家庭で自由に過ごし、自分さえよければよいという自己中心的な甘えや、自分に教師や学級集団の関心を向けさせたいという気持ちの表れかもしれません。

指導のポイントとしては、例外はありますが、いずれの場合も叱るのではなく、きちんとできた子をほめながら学級全体で確認していくという教師のスタンスです。登校してすぐに叱られてばかりいると、子供たちの自己肯定感が低くなり、やる気も失せてしまいます。

叱られないためにルールを守るという視点ではなく、なんのためにこのルールがあるのかを確認しながら、子供の納得感を大切にしたいものです。

家庭環境や人間関係に不安や課題がある場合

体重の変化については発育測定の機会を活用して、急激な増減がある場合は養護教諭と情報を共有しておきたいものです。

体のあざや衛生状況(においや垢など)なども大切な情報になります。

頻繁に保健室やトイレに行く、遅刻や欠席が多い子は、人間関係や家庭環境など多面的な要因が考えられるので、早急に対応が必要です。必要以上に、教師におんぶやだっこなどの身体接触を求めてきたり、休み時間に職員室の前をウロウロする子、休み時間に孤立していたり、同じ学年ではなく年下の子とばかり遊んでいる子は、友達関係に悩みがあったり、不安を抱えている場合があるので配慮したいものです。

また上靴のかかとをつぶして履いている子の中には、足のサイズが大きくなっているのに本人も保護者も気付かないでいることもあります。体育着も同様です。実際に無理に上靴を履いて、足の痛みを訴える子もいました。

これらの変化への対応には、家庭との連携が欠かせません。子供たちの様子で気になる点がある場合には、忙しいかもしれませんが、連絡帳に書くよりも電話で保護者に伝えるほうがよいでしょう。

相談内容によっては、保護者の不安をあおってしまったり、家庭での過ごし方に問題があると指摘しているように聞こえてしまったりすることも考えられます。例えば、

「いつも朝に友達や先生方に笑顔であいさつをしていますね。 」

「この前は算数の授業で、難しい問題の解き方をみんなの前で分かりやすく説明しようとがんばっていたんですよ。 」

と肯定的なエピソードで切り出し、

「ただ、先日少しだけ浮かない顔をしていたことがありました。

「何日か同じ忘れ物が続いていたので、どうしたのかなと心配していました。 」

などと、気になっているエピソードを伝えます。「心当たりはありませんか」と尋ねることで、「一緒に考えていただけませんか」というメッセージを伝えることになります。

保護者自身、分かっていてもできないこともあるものです。指摘する立場ではなく、むしろ目的を同じにする関係であることを意識したいものです。担任と保護者とのやりとりだけで解決が難しいと感じたときには、スクールカウンセラーや学年主任、管理職への相談をするなどして問題を抱え込まないようにしたいですね。

言動から心理的不安が読み取れる場合

友達と公園で遊ぶことも自粛していた子供たち。さらに疲れている大人の様子を見ながら、気を遣って生活していた子供たちもいることでしょう。また、目に見えないウイルスの存在に経験したことのない不安や恐怖を敏感に感じていた子もいるかもしれません。そんな不安を自覚し、言語化できるのならば、辛さや苦しさを訴えることができたかもしれませんが、子供たちにとっては難しいことです。

こうした子供たちの問題行動の根底にあるのは、不安感情です。

「どうせ、自分は……」などといったネガティブな発言の裏側にあるものは、自己肯定感の低さかもしれません。

さらに「認めてほしい」という願いと現実との乖離、自分への関心を試す愛情確認行動などが要因として考えられます。自分に自信をもてない子供たちは、「つながりを感じられること」「自分が必要とされていること」を感じたいと願っています。そしてそれを感じることで、安心・安全の感覚を得るのだと思います。

教師があらゆる場面で「あなたのことを見守っているよ」「あなたのことを信じて期待しているんだよ」というスタンスで、子供たちと関わりたいものです。さらに、どうすれば教師の思いを子供たちに実感してもらえるのか、つながり方を模索してみましょう。

「自分が必要とされていること」を感じたいと願っています。そしてそれを感じることで、安心・安全の感覚を得るのだと思います。

教師があらゆる場面で「あなたのことを見守っているよ」「あなたのことを信じて期待しているんだよ」というスタンスで、子供たちと関わりたいものです。さらに、どうすれば教師の思いを子供たちに実感してもらえるのか、つながり方を模索してみましょう。

学習に対する不安や課題が感じられる場合

今回の休校措置によって指摘されているのが、学習面での格差です。特に中学年は、学力面の個人差が出やすい時期なので、注意深く見とり、対応することが求められます。

学力面の個人差を見とるには、単元における評価計画を意識しておく必要があります。ミニテストをするのか、習得した学習内容を基にした活用場面を設定するのか、どのように見とるのかをあらかじめ考えておくとよいでしょう。

日々のノート指導については慣れるまではなかなかの負担感になりますが、子供たちの理解度を見とることができますし、赤ペンで励ましのコメントを入れることもできます。全員とじっくり話す余裕がない学級サイズの場合、ノートは子供と教師の間の有効な交流ツールとなるでしょう。ただし、赤ペンの言葉は保護者の目にも触れることを意識しましょう。そのため、否定的な言葉ではなく、受容的かつ具体的な励ましの言葉や助言を書き加えましょう。

学習習慣の定着も大切なことですが、学習集団としての成長(成熟)も意識したいものです。学習集団の安心・安全が守られていないと学びに向かおうという気持ちにはなりません。そのためには、子供たちが自分らしくいられる雰囲気づくりや人間関係づくりが大切です。

学習課題に対して、子供が友達やクラス全体に「どうして?」「分からない」「教えてほしい」などと発信できる関係性、そして安心して失敗できる(そして再挑戦できる)学習環境など、子供たちが自分で考え行動できる〝自己選択・自己決定〞の機会を教師が意識することが大切なのではないかと考えています。

また「分かる」ことがゴールなのではなく、新しい「分からないこと」を見いだすことに学びの価値があるのであり、それが〝学び続ける〞姿であるということを伝えたいものです。

ノートには受容的&具体的な励ましのコメントを書く

取材・文/出浦文絵 イラスト/宇和島太郎 横井朋美

『教育技術 小五小六』2020年9月号より

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