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教師としての無力感に心を壊されないようにケアを【新型コロナ対策】

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教育アドバイザー

多賀一郎

不自由を強いられる生活の中、子どもたちのためにがんばっている先生の心が、壊れてしまわないように。追手門学院小学校講師・多賀一郎先生が、ご自身の阪神淡路大震災の体験から、先生自身のメンタルケアの必要性を解説してくださいました。

執筆/追手門学院小学校講師・多賀一郎

Photo by Francisco Moreno on Unsplash

知らないうちに心がむしばまれていく

僕は今の状況が、阪神淡路大震災の時とよく似ていると感じています。

突然、子どもたちとの時間がなくなって、不自由な生活が続いています。一教師としての無力感に襲われます。

子どもたちのためにいろいろとしてあげたいのにできないというジレンマを、まじめな教師たちは感じていることでしょう。テレビでは一日中、感染者と死者の数字があげられて、外に出ることへの恐怖感と自粛に対するプレッシャーが充満しています。

でも、今は乗り切るしかないのです。

阪神淡路大震災の時も同じでした。

教師としての無力感を感じる中、余震で震え、毎日死亡者のカウントを見ては心を痛めながら、水もガスもない不便な生活の中でしのがなければならなかったのです。

学校が再開したら、子どもたちのために全力を尽くそうとがんばりました。しかし、最初のうちは再開の喜びに満ちていたクラスも、しだいに子どもたちのストレスが表に出てきました。数か月間、生活のリズムが崩れてしまっていたた子どもたちは荒れ始め、学級の崩壊も各地でたくさん起こりました。

今回も、学校が再開すれば阪神淡路大震災の時と同じような状況になり、やがて先生たちがしんどくなってしまうだろうと予測しています。

自分や家族の感染の恐れもあり、不安な中で先生たちはがんばり続けていることでしょう。それだけがんばっているのに、保護者からはクレームもたくさん来ることでしょう。学校に子どもを行かせることで助かる方もいれば、学校へ行かせることが不安な方もいるのですから。

また、朝令暮改のような形で、ころころと方針が変わります。仕方ないのです、それは。誰の責任でもありません。

でも、何かの準備をしていたことについて、突然中止や延期をされることは、やはり苦痛です。小さなストレスを感じ続けながら、徐々に心はしんどくなっていきます。

些細なことに腹が立つ、笑えないようになる

そうやってがんばり続けて、どうなるのかというと・・・。

まず、僕自身の体験から言うと、突然、自分の心がおかしくなってくるのです。イライラすることが増えて、些細なことに腹が立ったり、笑って済ませるようなことが笑えなくなったりしてくるのです。

そのときは自分では気づけません。

後から振り返ってみたら、「あれはPTSD(心的外傷後ストレス障害)だったのかもしれない」と、思います。

心は常にすーすーと風が通っているような感覚でした。常に不安があって、落ち着いてゆったりすることができなくなっていました。

人によって出方は違うでしょうが、震災から数か月経った時に、多くの看護師さんたちがPTSDになったと言われます。心だけではなく、体に症状が表れることもあります。突然、仕事に行けなくなってしまうこともあるのです。

だから今、意識的にセルフ・ケアを

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