教員の「任せてください」に要注意!学校トラブルを防ぐ管理職の事実確認・3ステップ

学校でトラブルが生じた際、担当教員から「私たちに任せてください」と言われ、事実確認が難航した経験を持つ管理職の方は多いのではないでしょうか。
これは教員の責任感から出る言葉でしょうが、管理職としては、保護者対応や児童生徒のケアを適切に行い、教員自身を守るため、客観的な「事実」の把握が不可欠です。
本記事では、教員との間に軋轢を生むことなく、スムーズに事実確認を行うための「3つのステップ」と「3つの事実」について解説します。
執筆/教育コンサルタント・田畑栄一
目次
すれ違いの正体 ── 見ている「物差し」が違う
何か問題が起きたとき、管理職が知りたいのは「どうすればこの人を外から守れるか」ということであり、教員が知りたいのは「自分を信じてもらえるかどうか」です。
だから管理職の「何があったか」という事実確認が、教員には「指導が適切だったか」という評価や疑いに聞こえてしまうのです。具体的な事例を交えつつ、見ていきましょう。
リレー練習で起きたこと ── なぜ教員は事実を話さないのか
10年ほど前の9月、陸上大会に向けた校庭での練習中のことです。リレーチームの子どもたちが、バトンパスの練習をしていました。うまくバトンが手渡せず、何度も落としては拾います。疲れたのか動作は緩慢になり、失敗した者同士が顔を見合わせて笑ったりしています。
それを見とがめたのが、40代の体育副主任、山口先生(仮名)でした。声が大きく、はっきりした感情表現をする人です。
「そんなにやる気がないなら、やめな。練習中にダラけて、目配せしてへらへらするな」
練習はそこで中断してしまいました。
30分も経たないうちに、練習を切り上げさせられた8人の子どもたちが校長室を訪れ、
「ぼくたち、ふざけていたわけじゃないです」
「バトンは、何回も落としました。でも、練習はしていました」
と涙ながらに訴えました。
いったん子どもたちを帰し、全体の練習が終わって校長室に報告に来た山口先生に
「リレーの子どもたちに、何時ごろ、何と言いましたか」
と尋ねると、彼はこう答えたのです。
「……覚えていません。夢中だったので」
即座に3つのリスクが私の頭をよぎります。
- 今夜、保護者から電話が入るかもしれない。
- 明日、あの子たちの何人かが学校に来ないかもしれない。
- この先、陸上の練習が回らなくなるかもしれない。
これは校長が介入すべき問題だから、と口を開きかけたとき、学年主任が加わって、
「校長先生、ここは私たちに任せてください」
と二人で口をそろえました。
この「私たちに任せろ」というのには、3つの理由があると言えます。
- 疑われていると感じている
- 説明する言葉を、まだ持っていない(記憶が曖昧)
- 話したら、指導がなかったことにされると恐れる
しかし、事実を持たない管理職は外からのクレームに対応できず、結果的に教員を傷つけてしまいかねないのです。
