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“探究”を探究する「ふくしま探究共創ラボ」実践レポート~今夏開催の「日本生活科・総合的学習教育学会全国大会」に向けて~

文部科学省初等中等教育局主任視学官

田村 学
“探究”を探究する「ふくしま探究共創ラボ」実践レポート~今夏開催の「日本生活科・総合的学習教育学会全国大会」に向けて~ バナー

今年6月26〜28日に福島県で開催予定の「日本生活科・総合的学習教育学会全国大会」に向け、昨秋から毎月開催されている勉強会の「ふくしま探究共創ラボ」。毎回、文部科学省主任視学官の田村学先生を招き、より創造的な探究の在り方について先生方が探究してきていますが、2月21日に年度内最後となる勉強会が行われました(新年度4、5月も継続開催)。この企画では同ラボの実践を紹介していきます。

ちなみに田村先生は、今後の日本の学校の在り方を考える上で、福島県の実践を参考にすることがいかに重要かを説かれており、同記事については下記をご参照ください。

探索期、没頭期、創造期と3期で捉え、個別探究を行っている

学び舎ゆめの森の発表や、参加者からの意見、田村先生の解説を基にしながら、参加者が主体的に対話し、思考を深めていくラボの概要を説明する事務局。
学び舎 ゆめの森の発表や、参加者からの意見、田村先生の解説を基にしながら、参加者が主体的に対話し、思考を深めていくラボの概要を説明する事務局。

開会の挨拶が行われた後、今回のテーマである総合的な学習の時間(以下、総合学習)の「評価」について考えていくための題材として、福島県大熊町立学び舎 ゆめの森の滝康成教諭、永井健一郎教諭が登壇し、同校の実践を紹介します。

まず「わたしを大事にし あなたを大事にし みんなで未来を紡ぎ出す」という同校のビジョンを紹介。大熊町の人々は福島第二原発の事故で故郷を離れることを余儀なくされ、3年前に町に戻り創学。当初は児童生徒9名からスタートし、全国からの移住者も加え、現在0歳から15歳までで約100名になると説明していきます。

同校では「子供は本来、無限の可能性と探究心をもった存在」という子供観を基盤に、総合学習では学齢を区切らず、大きく探索期、没頭期、創造期と3期で捉え、個別探究を行っていると説明します。そこから具体的な実践事例を紹介。草木染めについて探究した児童が翌年には木工を探究。一見関係のない取組に思えたが、その児童は将来「ログハウスでカフェをやりたい」と話し、実は個別の探究がつながっていることが分かったなど、実践事例を複数紹介していきます。

そこから、教師は子供の探究心を引き出し、支え導く「伴走者」だと話します。そして、4つの役割があると言い、教え導く「ティーチャー」、つなげていく「ファシリテーター・コーディネーター」、一緒に活動する「ジェネレーター」、活動や悩みを支える「メンター」だと説明。この役割のバランスは子供によっても状況によっても変わると説明しました。

さらにテーマである評価について説明。学校のビジョンに沿って大事にしている価値観(バリュー)を、「自主自律、共感協働、承継創造」の3点とし、昨年度、これらの力についてルーブリックを整理したと話し、表組を見せて説明。昨年度実際に行った評価の分析を説明すると共に、これで完成ではなく今後も改善を図ると話しました。

「評価で私が大切にしていること」

実践発表後は、小グループに分かれて「評価で私が大切にしていること」というテーマで対話。会場だけでなくオンライン参加者もブレイクアウトルームを使って、30分ほどの間、意見交換を行いました。

その対話内容を基にパネルディスカッションに入り、小中学校の実践者のほか、高校のコーディネーターや企業の評価支援者など立場の異なる参加者も加えて、それぞれの考えを交流していきます。

高校のコーディネーターは、同校が整理した「付けたい10の力」を紹介し、学習過程の重要性について話します。さらに、同校ではトイレの壁面に貼ってあり、座るたびに目に入るようにしてあるという話では、参加者から驚きの声が多数漏れてきました。企業の評価支援をしている参加者は、ゆめの森の教師の役割について触れ、教師を経営者に変え、生徒を社員に変えれば、そのまま企業でも通用すると話します。さらに、先の高校の「付けたい10の力」と、それを基にしたルーブリックは企業でも参考になると評価しました。

こうした意見に対し、ただ聞くだけでなく、参加者から多数の賛同や新たな気付きや具体的な指導・支援方法について意見が出され、対話も膨らんでいきました。ちなみに、オンラインの参加者も意見を書き込めるボードには、「子供の姿を点ではなく線で見ること。変化や変容を大切にしたい」「活動の途中の過程を大切にしたい」「まずは子供たちがそれぞれの『好き、興味』に入り込んでいるか」「評価とは基準を間に置いて対話し続けていくプロセス」など、多数の意見が見られました。

「指導改善、説明責任、自己評価能力の育成、カリキュラム改善」が評価の目的

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