「対話的な学び」は個人内対話・自己内対話も大切【次期学習指導要領「改訂への道」#38】
今回からは、先進的ICT教育の実践研究校である、茨城県つくば市立みどりの学園義務教育学校の教頭として、中央教育審議会のICT関連のワーキングの委員を複数務め、昨秋からは総則・評価特別部会の委員として、学習指導要領の根幹や評価の議論にも携わっている、中村めぐみ委員にお話を伺っていきます。まず初回となる今回は、同部会の議論に先立って示されている、教育課程企画特別部会の論点整理をどう捉えるかといったことや、そこから見えてくる現場の課題などについてお話を伺っていきます。

目次
「多様性の包摂」と「深い学びの実装」は連動する
私が総則・評価特別部会に呼ばれた経緯は、現場の具体的な受け止めに関する情報を必要としているのだろうと考え、お受けしました。ですから、可能な限り学校現場での学習指導要領に対する捉え方や、実際にどのように使っているのか、あるいは使っていないのかという視点を踏まえてお話をしようと考えています。加えて、教頭という学校運営側の立場として参加をしようとも思いました。
総則・評価特別部会への参加にあたって、改めて論点整理を読み直してみると、開かれた学習指導要領をつくっていくということが柱にあるのだなという印象をもちました。それが、「分かりやすい学習指導要領」という言葉になると思いますが、教員が何か特別な授業をするときに読み込むものではなく、ごく日常的な教育の中に根付くものに立ち返るというメッセージだと受け取りました。
それから、キーワードとして多く出てくるのは「多様性の包摂」でしょう。時代の変化の中で、多様な子供たちに対し、「誰一人取り残さない教育」をやっていくのだというメッセージを感じましたし、各教科ワーキングの中でもその実現に取り組むのだろうと思います。
ちなみに、論点整理の中にも出てくる「深い学びの実装」と「多様性の包摂」は連動しているものだと思います(資料参照)。多様性というと学習に困難を抱えている子や多様な認知上の特性を抱えている子、出身国や言語の異なる子らに焦点が行きがちですが、そもそも学級内に35人いる中では子供たちは一律ではありません。その視点をしっかりもつべき、というメッセージだと捉えています。
資料

自分と隣にいる他者は、まったく違う考え方をします。当然、同じ課題に対して同様に学びを進めていったとしても、思考の積み上げ方や理解がはかどる表現方法(例えば、文字か音声かなど)や情報の受け取り方は千差万別です。そのような自分とは異なる他者だからこそ、自分にはない視点で物事を捉えたり、情報を得たりするため、そのような他者と情報共有をしたり議論をしたり表現活動をしたりと協働的な学びをしていく過程で、多様な視点に触れ、自分の視点が広がっていきます。
その広がった視点から得られた多様な情報を関連付けて、子供たちの頭の中で構造化されていくことが深い学びにつながっていくのだと思います。そう考えていくと、「深い学びの実装」と「多様性の包摂」は往還しているものだと思いますし、それが「主体的・対話的で深い学び」の中でも、論点整理が言う「深い学び」にシフトしていくのだということが明確に見えてくるのです。
