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文章の構成や論理の展開を評価する単元【「高校につながる英・数・国」の授業づくり #63】

連載
全国優秀教師にインタビュー! 中学校編 中1〜中3を見通す! 「高校につながる英・数・国」の授業づくり

前々回から、全国学力・学習状況調査の結果が毎年良好な東京都の中学校国語教育研究会で、研究をリードする世田谷区立八幡中学校の栃木昌晃教諭の単元・授業づくりや、その背景となる考え方についてお話を伺ってきました。最終回の今回は、前回紹介したような教育観を具現化した、3年生の説明的文章「複数の意見を読んで、考えよう」の単元を紹介していきます。

文章の構成や論理の展開を評価する単元【「高校につながる英・数・国」の授業づくり #63】 バナー
東京都世田谷区八幡小学校
栃木昌晃 教諭
東京都世田谷区立八幡中学校
栃木昌晃 教諭

文章の構成、論理の展開、表現の仕方を評価していく学習

この単元は、以前は人工知能に関する2本の説明的文章が並んでいましたが、その後教科書が変わり、現在は環境問題に関して、立場の異なる3名の著者が、それぞれの立場から自由に書いた文章を並べたものになりました。それを読んで文章構成や論理の展開、表現の仕方を評価していく学習をすると栃木教諭は話します。

「この単元では、教科書の設定と異なり、『文章の構成』『論理の展開』『表現の仕方』のみ評価することに絞りました(資料4参照=末尾)。

まず1/4時の冒頭では、『この単元は複数の文章を比較して、文章の構成や論理の展開、表現の仕方について評価することができる子になってほしいと思って授業をするよ』と話しました(資料1参照)。

資料1(プリント①)

資料1(プリント①)

その上で目標達成のためのセルフチェックとして、①比較の効果、②文章の構成、③論理の展開、④表現の仕方、⑤評価の注意点について、説明可能か、理解できているかなどをA〜Cで自己評価するよう示していますが、これらはこの生徒たちをこの単元で初めて担当したため示したものです。もし私が3年間担当していたら、繰り返し押さえてあるはずなので、すでに『読みのものさし』に載っていてほしいところです。この授業で初めての関わりとなる生徒だからこそ、『目標を達成するためには、この①〜⑤が分からないとできないよね』と話をしました。

これらは生徒たち自身が自己評価する過程で、必要な要素を理解して意識するということと、私自身が診断的評価を行うためという2つのねらいで示したもので、AかCかといった評価結果と実際の理解度の相関自体はあまり重要ではありません。生徒の中には『これは、こんなことでしょ』くらいの曖昧な理解で高く自己評価をしていたけれども、単元学習後で、『自分は分かってなかった』と言っていた子もいましたし、そのように最終的に理解できていればよいと思います。

この1/4時では、『説得力がある人』とはどのような人か、生徒同士で挙げて確認した後、3つの文章のうち比較的内容が読みやすい伊勢氏(A)と堅達氏(B)の文章を読み、どちらに説得力があったかという観点で、評価を行います。

そうすると、生徒たちは自分の立場に近い著者の側に説得力を感じると言うのです。ちなみに著者の2氏は片方が研究者で、もう一方が『一般市民の私は…』と書いており、生徒の半分ほどがそちらに『共感しました』『説得力があると感じました』と書いていました。

それは私から言えば、『単元の後半につながるよい反応をしてくれた』という感じで、その理解のズレを基に2/4時以降の授業を進めていくことになります。

「そもそも説得力とはどういうものか」ということを扱う授業

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