ページの本文です

ICTの効果的な活用で、数学と現実生活との関わりに気付かせる【「高校につながる英・数・国」の授業づくり #60】

連載
全国優秀教師にインタビュー! 中学校編 中1〜中3を見通す! 「高校につながる英・数・国」の授業づくり
ICTの効果的な活用で、数学と現実生活との関わりに気付かせる【「高校につながる英・数・国」の授業づくり #60】 バナー

前回は、2025年夏の日本算数・数学教育学会の石川県大会で石川県から唯一、中学校教諭として実践研究発表を行った、金沢市立紫錦台中学校の三浦彩教諭の単元・授業づくりの考え方について、お話を伺いました。最終回となる今回は、数学が実は身近な生活の中で生きて使える学びであることをより確かに実感できるような、1年生の「平面図形」の単元における「ボロノイ図」の授業を紹介していきます。

石川県金沢市立紫錦台中学校
三浦彩 教諭
石川県金沢市立紫錦台中学校
三浦彩 教諭

1年生で行った「ボロノイ図」の授業

今回も図形の領域の学習を紹介すると話す三浦教諭に、その意図について聞くと次のように話します。

「私自身、図形が好きだということもありますが、ICTを効果的に活用した授業実践に取り組んできたことが大きいのです。やはり図形はGeoGebraのようなソフトを活用することで、苦手な子供でも考えるための手がかりを得ることができますし、新たな問いに気付くこともできます。それで、今回は1年生で行った『ボロノイ図』の授業を紹介したいと考えました。

ちなみに、『ボロノイ図』に関する問題は以前から、教科書(東京書籍)に掲載されているものなのですが、授業で扱うには生徒にとって少々難易度の高い教材の1つだと思います」

この「ボロノイ図」の授業冒頭、三浦教諭は子供たちにAEDのマークを見せ、それが何か分かるか問いかけるところから授業を始めます(資料1参照)。

資料1 指導案

指導案

「AEDを知っているか、投げかけた上で、『自分の身近な人が倒れたときにどうするか?』と考えさせるようなおもしろいアニメーション動画があったのでそれを見せて、考えさせてから、この学習に入っていきます。

そこから『例えば、学校からの帰り道、誰かが突然倒れたら、この校区内ならどこにAEDが設置されているか分かる?』と子供たちに投げかけると、学校や市民体育館などの公共施設にありそうだという意見が出てきます。そこで、実際に金沢市内の地図を見せて、その地図上の本校周辺でAEDが設置されている施設(場所)点P、Q、Rを紹介します。

そして、『実際にとある場所で誰かが倒れたとして、点P、Q、RにあるAEDのうち、どれが一番近いか分かる?』と問います。そこで、ああでもない、こうでもないとそれぞれ考えたところで、実際に点P、Q、Rの各点から等距離にある地点を結んでいったボロノイ図を見せ、この時間の学習を進めていくのです(資料2参照)。

資料2

ボロノイ図
授業で使われたボロノイ図の例。実際の授業資料では、学校を含んだ地域の地図の上に、ボロノイ図が示されたものになる。

そこから、『じゃあ、この図を描いてみるにはどのようにすればよい?』と投げかけると、数学が得意な子供ですぐに図の描き方のイメージが湧く子もいれば、図を見てもまったくイメージをすることができない子供もいます。実際にボロノイ図を描こうとして、最初は角の二等分線を引こうとする子供もいるのです」

そこで、班ごとに分かれて学習を始め、最初は点Pと点Qの2点に絞ることで、垂直二等分線を引くことに着目できるようにすると三浦教諭。

「子供たちはGeoGebraで描かれたボロノイ図を見ることで、『それが垂直二等分線ではないか』とイメージできている子供もいます。すでに垂直二等分線の意味や描き方も学習をしているので、2点から等しい距離にあるところは垂直二等分線を引けばよいと分かって、作図をしていくのです。さらに点が3点になったらぞれぞれの垂直二等分線を引いた後、どうするかと話し合いながら、『いらない線を消していったらよい』という話になっていきます」

そのように、GeoGebraのようなICTを効果的に活用することで、苦手な子供でも『こんな法則性があるかも』と、図から帰納的に考えることもできるのだと言います。

GeoGebraを使いながら、新たな問いが生まれていくよさがある

この記事をシェアしよう!

フッターです。