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「TALIS」とは?【知っておきたい教育用語】

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【みんなの教育用語】教育分野の用語をわかりやすく解説!【毎週月曜更新】
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教育改革を進める上で、教員の意識や勤務環境を把握し、課題を明らかにすることは欠かせません。OECDが実施する国際調査「TALIS(OECD国際教員指導環境調査)」は、小・中学校段階の教員・校長を対象に、学習環境と勤務環境に関する国際比較データを提供します。今回はこの「TALIS」について、その目的や実施の概要、調査結果から見えてくるものなどを解説します。

執筆/創価大学大学院教職研究科教授・渡辺秀貴

「TALIS」とは

【TALIS】
「TALIS(Teaching and Learning International Survey:国際教員指導環境調査)」とは、学校の学習環境と教員の勤務環境に焦点を当てた、OECDの国際調査です。職能開発などの教員の環境、学校での指導状況、教員への評価やフィードバックなどについて、国際比較可能なデータを収集し、教育に関する分析や教育政策の検討に資することを目指しています。

「TALIS」 は2008年に第1回調査(参加24か国・地域、日本は不参加)が実施されました。その後、2013年の第2回調査から日本も参加し(日本を含む34か国・地域が参加)、2018年に第3回調査(日本を含む48か国・地域が参加)、そして、2024年に第4回調査(日本を含む55か国・地域が参加)が実施されました。国立政策研究所は、文部科学省との連携のもと、調査の実施、分析を行い、その結果を公表しています。

TALISの特徴は「教員自身の回答によるデータ」である点です。教員の意識を国際比較できることは、制度や法令中心の議論では見えない「教職の文化」を捉えるうえで貴重であり、近年注目される職場の心理的安全性や教員のウェルビーイング、学校の協働文化の実態把握に重要なデータと言えます。

OECD は TALIS の集計結果をもとに、教員政策の方向性として①専門職としての成長支援、②校長の教育的リーダーシップ強化、③働き方改善、④協働的な学校文化の構築、⑤ICT 活用の促進と専門性発達などを提案しています。

TALISの主な調査内容

調査の設問は、大きく「教師」「校長」「学校組織」の三層構造を前提に構成されています。主な内容は次のとおりです。

◎教師の背景・勤務条件
年齢構成、経験年数、雇用形態、専科・担任、研修受講歴、勤務時間(授業時間、準備時間、雑務時間、生徒指導など)といった基本属性を明らかにします。これは各国の教員労働の構造を比較するうえでの基礎となります。
◎授業の特徴と学習指導のプロセス
授業でどの程度「主体的・対話的で深い学び」を意識した実践を行っているか、ICT の授業活用、協働学習、個別最適な学びの実践状況などを問うています。教師が自らの授業をどう捉えているかを数値化できる点に意義があります。
◎職能開発
研修の参加状況、ニーズ、参加を阻害する要因、研修の効果などを明らかにしています。研修の時間や研修負担の度合いなどを明らかにします。
◎協働文化・学校風土
同僚性、協働指導、ICT 活用の助け合い、研究授業への参加状況など、学校組織の「文化的な側面」を測定しています。心理的安全性やチームワークの強さを示す指標として注目されます。
◎校長のリーダーシップ
校長の教育的リーダーシップ、分散型リーダーシップ、管理型リーダーシップなどのタイプを分類し、学校運営の実態を国際比較します。校長の管理業務の多少や、教育的リーダーシップへ割ける時間の実態を明らかにします。
◎学校の資源・環境
ICT の整備、教科書・教材、人材配置、支援スタッフの有無、いじめへの対応状況、保護者との連携など、学校の外的条件も含めて把握しています。

このように、TALIS は単なる労働状況を把握する調査ではなく、授業の質、組織文化、校長リーダーシップ、専門職としての学びなど、学校改革に直結する領域の実態を総合的に捉えています。日本の学校研究(校内研究、公務分掌、若手育成など)と親和性が高く、教育政策だけでなく校長研修・教員研修・授業改善にも活かすことができます。

この調査が実施される背景

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