学級が落ち着かないときの立て直し3ステップ【ストレスフリーの教室をめざして #42】

子どものニーズが多様化する今日の学校では、若手からベテランまでどんな先生であっても、いわゆる「学級の荒れ」に直面することがあります。私語や立ち歩きが増える、注意をしても耳を貸さない、授業が成立しない、子ども同士のトラブルが頻発する……など、学級の荒れには様々な状態があります。こうした場合に重要なのは、早期に状況を把握し、段階的に学級を立て直していくことです。
そこで今回は、学級立て直しの3ステップと、保護者との連携のコツについて紹介します。
執筆/埼玉県公立小学校教諭・春日智稀
目次
学級の荒れのサイン
「最近、〇年〇組落ち着かないね」どの学校でもよく聞くフレーズだと思います。この記事をお読みになってくださっているのは、まさに学級の荒れに直面している担任の先生、学校全体の様子を把握する必要がある先生、すでに学級の荒れが見られ、立て直しとして急遽配置された先生など様々だと思います。まずは、「学級の荒れ始め」によく見られるサインについて以下にまとめます。
【授業場面で】
- チャイムが鳴っても(定刻になっても)着席しない
- 私語が増加する
- イスの背もたれに寄りかかり、転ぶ子がいる
- ペアやグループ学習で授業と関係のない話題が挙がる
- 友達の発言を冷やかしたり、笑ったりする
- 姿勢が悪い
- 机からよく物が落ちる
- 学習用具が揃っていない
- 勝手に立ち歩く
- 授業中にトイレに行く子が増える
- 提出物の向きが揃わない
- 先生によって態度が急変する
【日常の生活で】
- 友達同士のトラブルが増える
- いじめが頻発する
- 係や当番の仕事を行わない
- 掃除を真面目にやらない
- 教室にゴミが落ちている
- 黒板に小さな落書きがある
- 掲示物にいたずらがある
- 休み時間は廊下やトイレにたまる
- ロッカーから荷物がはみ出している
- 忘れ物が増える
- 教室内で走り回ったり、ボールを投げたりする
- 子ども同士のチクリが増える
絶対やってはいけないこと
こうしたサインがいくつかあった場合には、静かに学級の荒れが進行していると捉えましょう。初期の段階では、担任の先生がきぜんと指導することで大抵は改善が見られます。
しかし、当てはまるものが多く、誰が見てもすでに学級が荒れてしまっている場合の立て直しの場合には、初動に注意が必要です。まず絶対にやってはいけないのが、「子どもを頭ごなしにしかること」です。しかって改善される状態はすでに過ぎてしまい、教師の指導はほとんど要らないでしょう。ここで「厳しくしなければ」と焦り、突然大きな声や態度を変えて指導をしたところで、むしろ反発が返ってきます。子どもからすれば、「ここまで何も言わなかったじゃないか」というのが本音でしょう。
またこれは、立て直し要員として配置された、もともと担任ではない先生にも当てはまります。たとえ校内で「指導力がある」と一目置かれている先生であっても、いきなり荒れた学級に入りしかったところで、残念ながら子どもには響きません。高学年くらいになれば「担任の先生では手に負えないから、違う先生が来たんだな」と見抜かれてしまいます。さらに家庭では「今日も〇〇先生が来たよ」というエピソードが語られ、保護者にも不安を与えることになってしまいます。どんなに指導力がある先生でも、「担任の先生を超えて指導する」ことはできないのです。
