1つの単元を完全に子供たちに任せる自己調整学習 【次期学習指導要領「改訂への道」#20】

前回は、中央教育審議会教育課程企画特別部会で実践発表を行った東京都目黒区の、40分授業午前5時間制の取組の概要について聞いていきました。今回は、そうした枠組みの中で、どのような実践がなされているのか、目黒区立東山小学校の具体について紹介をしていきます。
(東山小学校は11月14日に研究発表を予定しています。詳細は以下URLよりご参照ください)
https://www.meguro.ed.jp/1310032/download/document/12281054?tm=20250502113315
目次
マイスタは、子供が自ら選んで学習していく自己選択学習

まず、同校の取組の概要について、村尾勝利校長は次のように説明します。
「本校は現在、児童数が1022名の32クラスで、都内でも大きな千人規模の学校です。40分授業午前5時間制は昨年(2024年)度からスタートした学校で、教育課程企画特別部会でも発表をさせていただきました。
現在の時程表では、午前中に5時間授業を行い、午後は1時間なのですが、このうち週2回をマイスタの時間としています(資料1参照)。マイスタは、子供が自ら選んで学習していく自己選択学習で、これが、生み出した時間の使い方の1つめです。
【資料1】

もう1つは、教員のための時間で、これは教育の質の確保をするために必要なものです。本校の場合は午後の6時間目がある日でも14時45分(掃除も入れると55分)、ない日でも14時35分までには授業が終わりますので、一般的な45分の午前4時間、午後2時間の学校と比較すると、30〜40分程度の時間が生まれます。それは1日にするとわずかですが年間を通してみるとかなりの時間を取ることができます。
現在は、月曜日と金曜日はノーミーティングにしていますので、先生方はかなり自由に時間を使うことができます。もちろん会議のある日でも早めに仕事をスタートできますから、子供のノートチェックやテストの丸付け、授業準備、あるいは学年会での意見交換などにしっかり時間を取れるということは大きいと思います。
今まで学校の先生たちは、なかなか休憩時間も取れず遅くまで学校で仕事をするということが恒常化してしまっていました。そのため疲れがたまってしまったり、あるいは子育てをしている先生方は就学前施設への子供のお迎えにしわ寄せがいく場合もあったりする現実がありました。これからの先生の働きやすさを考えると、できれば定時に、遅くとも17時半くらいまでには終わるくらいの余裕をもたせてあげられればよいだろうと思います。
もう1つ、研究指定を受けている柔軟な教育課程の編成ということで言えば、東山版の自己調整学習も大事な研究開発のテーマです。現在、自己調整学習は、全国の学校で様々な形で進められている中で、東山版として実践研究を進めています」
通常授業に加え、生活科・総合的な学習の時間、特別活動、そして、マイスタと東山版の自己調整学習という同校独自の取組を行い、さらにそれらの質を高めるために、教員の準備時間などを確保していくというのが、同校の取組の概要になります(資料2参照)。そして、それらの取組を通して、同校の教育目標や教育ビジョンを実現していくのです。
【資料2】
