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仕事が大好きな教師がうつ病で休職し回復するまでの体験から学んだこと

特集
教師のメンタルヘルス対策:ストレスチェックからうつ病体験記まで

一般企業の2.5倍とも言われる教師のうつ病。そんな「心の病」が原因で休職を経験した先生から、あなたに届けたいメッセージがあります。

東京都公立小学校で働く松原先生は、仕事は順風満帆、家族や職場の人間関係にも恵まれ、充実した教師人生の真っ只中に、突然心の病を患います。その原因は、現在ほとんどの教師が抱えているといえる身近なものでした。

執筆/東京都公立小学校・松原夢人

松原夢人/1981年生まれ。東京都公立小学校主任教諭。教員14年目。研究分野:算数

教員が心の病で休職してから回復するまでの体験談
写真AC

はじまりは、理由もない緊張感と不眠

私は教員になってから10年以上のキャリアを積み、それなりの役職を与えられ、日々充実した生活を送っていました。学級担任をしていた6年生の子供たちや同僚、管理職の先生にも恵まれ、忙しくもありましたが仕事は順調そのもの。「今後はもっと上を目指そうかな」と前向きに考えるようになった矢先でした。

毎日、理由もない緊張感が続き、なかなか眠ることができない状態に陥ってしまったのです。

「きっと疲れ気味なのだろう」と思って休日は家で過ごし、平日はなるべく早く帰るように心がけていましたが、いっこうに治る気配がありませんでした。職場の学校から自宅までは自転車で通える距離でしたし、「仕事の疲れ」はいつものことだろうと高を括っていたこともあり、病院には行きませんでした。熱や咳などの症状も特にありませんでした。

そのまま夏休みに入りました。研修会や健康診断(結果は全て異常なし)、水泳指導等が一通り終わり、まとまって休みが取れるようになった日の夜に突然、動悸・頭痛・めまい・息切れ・吐き気・倦怠感など心身の異常が全て同時に起きたのです。死ぬかと思うくらい、もがき苦しみました。何もできないまま数十分が経過し、少しずつ症状が落ち着いてきました。

その時に脳裏をよぎったのが「心の病」という言葉でした。

テレビや本で「心の病」の症状をなんとなく知っていたので、直感的にそう思ったのでしょう。翌日、すぐに病院に電話したのですが、残念ながら夏休み中は予約で全て埋まっていました。また、キャンセル待ちも非常に多いとのことでした。どうにか夏休み明けに初診の予約が取れたので、それまでは家でゆっくり休むことにしました。

学校が始まり、病院に行くまでの2週間は非常につらいものでした。先生方にサポートしていただきましたが、初診の予約日まで心身がもたず、とうとう移動教室1日目に宿舎でダウンをしてしまったのです。

医者から提示された働く条件は2つ

病院へ行って診断をされたのは、やはり「心の病」でした。

原因は、過労です。

自分の症状の原因がはっきりと分かったことで安堵しましたが、それは一瞬の出来事でした。なぜなら、今後は病気と闘っていかなければならない苦難の道が待ち受けていると同時に、このまま仕事が続けられるのかどうかの選択が迫られた状況にあると悟ったからです。

お医者さんからは「仕事のことを忘れて、ゆっくり休むように」と指示を受けていましたが、私は仕事のことを忘れることが一切できませんでした。寝ていても、休んでいるように感じませんでした。

1週間程度の休みをいただき、なんとか職場に復帰を果たすことができました。しかし、お医者さんから提示された働く条件は、「疲れないように働くこと」「定時で帰ること」というものでした。

「疲れない」がどんな状態かわからない

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