先生は描けなくても、うまくなくてもいいんです! 「楽しむこと」を図工指導の軸にしよう!


「絵や作品を上手く作ることができないから、図工の授業が苦手」という先生方の声をよく聞きます。苦手なことをやらなければならないという、その気持ちもわかります。しかし図工という教科の本質から言いますと、「技術のあるなし」よりも、もっと大切なことがあります。それは楽しむ気持ちです。是非、児童と一緒に笑顔の時間を作っていきましょう!
題字・イラスト・執筆/埼玉県公立小・中学校教諭 坂齊諒一
連載【いちばん楽しいアート】#14
「技術指導」は諦めて「楽しむこと」に徹底してみては……?
何事もそうですが、出来ないよりかは出来たほうがいい、下手よりかは上手いほうがいいとは思います。しかし、それはかなり酷なことです。特に図工、体育、音楽の実技教科に関して技術指導を求められた時には頭を抱えてしまいます。この記事の連載の場では図工のことを偉く語っていますが、音楽の場に放り込まれた時には脂汗が出ていることでしょう。
これは極論であり持論ですが、
素人は「技術指導」はしないほうがいい
と思っています。
私はサッカーにおいては、リフティングが3回出来たら大喜びするレベルのへっぽこです。そんな私が聞きかじりでサッカーの技術指導をしたところで、児童には何のプラスにもならないでしょう。
図工においても同じです。
技術指導よりむしろ、思うままに絵を描いたり立体作品を作ったりする「楽しさを味わう」のが、図工の時間の本質であり、そこにこそ教師の力が必要です。
まず、下記のような授業の楽しい雰囲気や環境を整備することを大切にしてみませんか? その上で余力があったら、技術指導のスキルを上げてみてはいかがでしょうか。
① 活動する楽しさを伝えること
「うまくなくても作ったり、描いたりするってなんか楽しいな」
「図工の授業はうまく描く時間ではなく、自分の表したいものを表す時間なんだ」
ということを意識する方が、技術指導よりも大切です。先生と児童という立場の違いはあれど、図工の授業中は「表現活動を楽しんでいる人」として対等に接してみましょう。段々とお互いの緊張が解れて、技術の良し悪しというレールから脱することが出来ることでしょう。
② 担任として、今までの関係性からの指導(生徒指導含む)をすること
この子とはいつもどんな話をしているか、普段はどんな雰囲気なのか、ということから声をかけることができます。どれだけ技術がある人でも、この声掛けは普段から一緒に過ごしている担任でなければすることはできません。