• 勉強マーク小学館ロゴ
  • facebookアイコン
  • twitterアイコン

主体性・自律性・対話力を育む!低学年の係活動 はじめの一歩

2019/6/19

低学年のうちから学級に「自治力」を育むことは、とても大切です。
子どもたちが自主的に生き生きと取り組めるこの時期の1年生向けの係活動についてポイントを解説します。

文・ 新潟県公立小学校 近藤佳織先生

モチベーション高いこどもたちのイメージ

はじめの一歩 1年生

まずは、当番活動に近い係活動から始めよう

●係活動の目的って?

学習指導要領解説には、「係活動は、学級の児童が学級内の仕事を分担処理し、児童の力で学級生活を楽しく豊かにすることをねらいとしている。」とあります。
また、よく言われるのが、当番活動との違いを明確にすることです。
私は当番活動と係活動を次のように考えています。

【当番活動】
学級のために必要な仕事。ないと困るもの。
することが決まっている。給食当番、掃除当番。

【係活動】
自分が学級のためにしたいことをする活動。あると楽しくなるもの。なくても特に困らないもの。

1年生一学期の係活動のポイント

色々な係活動のイラスト
役割を明確に

本来、当番活動と係活動は、目的や内容が異なるものですが、1年生の係活動は、当番活動と明確に区別してはいません。仕事の内容が当番的な活動であっても、「やりたい」という子どもの気持ちを大事に出発していること、取り組みやすい活動からスタートして、仕事の経験を積むことをねらうことが主な理由です。

1年生を担任したある年の春、休み時間に黒板の文字を消していると、しっかり者のFさんが近寄って来て、「先生、Fも黒板を消したい!」と言いました。

「ええっ!うれしい。Fさん、手伝ってくれるの?」と返事をすると、「うん!」と嬉しそうな声。それを見ていた他の子どもたちも「私もやりたい」と言いました。

そうしたことをきっかけに、1年生でも春から先生のお手伝い的な活動を中心に、できそうなこと、やりたいことを一人一役になるように提案し、当番的な活動から係活動をスタートさせました。

子どもの実態に応じ、5月の連休明け、5月下旬の運動会が終わった後にスタートした年もあります。

また、係の人数についてですが、学級の児童数が多い時は、複数名で一つの係に取り組んだ年もありますし、約20名の学級を持ったため、一人一役にし、どの子も責任を持って仕事をする経験をさせたいと考え、20の仕事をつくった年もあります。

係活動の目的をどこに置くかを考え、開始時期や活動内容を決めていくことが大切です。

スタート時の係活動 ポイントと活動例

当番活動は、誰かがしなくてはならない仕事であり、すべきことはある程度決まっています。
係活動は、学級生活の向上を目指して行われる自治的な活動です。あってもなくてもよいものですが、あると学級が充実したり、より楽しくなったりする活動です。

この違いを踏まえつつ、1年生の係活動のスタート期においては、まず決まった仕事を行う当番活動を、責任を持ってやり遂げることから始めましょう。私の実践例を紹介します。
当番活動に近い係活動は、自由度を下げ、誰が何をするか役割を明確にし、一人一役になるように設定して開始します。どの子にも何かしらの役割を与えます。

ここで子どもたちに養いたい力は、責任感と学級への貢献感です。

例えば、次のような係活動が考えられるでしょう。

① 号令係・・・授業の最初と最後に号令をかける。
② いただきます係・・・給食を食べる時「いただきます」を言う。
③ ごちそうさま係・・・給食を食べ終わった時「ごちそうさま」を言う。
④ 音楽係・・・朝の会で歌う歌のCDをセットする。
⑤ 黒板係・・・休み時間に黒板を消す。
⑥ 窓係・・・朝、窓を開ける、帰りに窓を閉める。
⑦ 電気つけ係・・・朝、教室の電気をつける。
⑧ 電気消し係・・・教室を出る時や帰りに電気を消す。
⑨ 配り係・・・昼休みにかごに入った連絡帳を配る。
⑩ 日付係・・・帰りに次の日の日付に書き替える。
⑪ 曜日係・・・帰りに曜日を書き替える。または、曜日カードを貼る(曜日は、先読みを兼ね、基本的に漢字を使用する)。

裏に磁石を付ける
漢字表記にしても、右下に数字を書いておくと覚えやすい

⑫ 日直貼り係・・・帰りに明日の日直の人の名前を書いて帰る(ネーム磁石や写真カードがあれば、それを貼る)。
⑬ 天気係・・・朝、今日の天気を書くか、イラストカードを貼る。

天気係用のイラストカード

⑭ 健康係・・・朝の会で健康観察をする、または、朝の会までに健康観察カードを準備する。

健康観察カード

⑮ チェック係・・・帰りに係の仕事札を元通りにする。

日直の仕事との兼ね合いもあるでしょうが、最初はこのような当番活動的な仕事を、係活動としてスタートしてきました。
責任感と貢献感を養うためには、できるだけ一人一人に明確な仕事がある方がよいと考えます。しかし、一人で行うことが難しい子もいるかもしれません。子どもの実態に応じ、2名で担当し交替で行う、一緒に行うなどの工夫も考えられるでしょう。

例えば、学級の人数に応じ、①の号令係や⑤の黒板係は1時間目から5時間目までをそれぞれ5人で行う、という方法をとったこともありました。

私が留意したことは、次の点です。

① 毎日できること
② いつ行うかが明確であること

係活動コーナーのイラスト

仕事名と担当者名を書いたカードを作り、終わったらそれを裏返すことにします。子どももカードをひっくり返すことで、仕事をしたという終わりが分かります。また、担任にとっても、どの仕事が行われたのか、まだ、何が行われていないのかなどが見て分かります。

また、1年生の初期ということもあり、⑩日付、⑪曜日、⑫日直貼り、⑬天気係は、数字や名前、天気を文字で書くより、写真や絵カードを用意しておいて、それを貼り替えていく方法のほうが取り組みやすいと考えます。

子どもの顏写真カードや曜日・天気の絵カードをラミネートし、裏にマグネットを貼って、準備するとよいでしょう。

軌道に乗った後の係活動 ポイントと活動例

当番的な係活動に慣れ、システムが軌道に乗ってきたら、次へのステップとして創意工夫を取り入れたいわゆる「係活動」への移行を考えていきます。
理想としているのは、次のことです。

きっかけは子どもの声で!

私が1年生を担任した際、「教室でハムスターを飼いたい」と言った子がいました。その時、「でも、お世話はどうしようか・・・」と子どもたちに投げかけると、「私がやる」「みんなでやる」「ハムスター係をつくる」という意見が出ました。管理職に確認し、学級で飼うことに決めた時、「ハムスター係をつくりたいね」という話から、「なくても困らないけれど、あると楽しくなる仕事もあるんだよ」と話して、活動内容を当番活動から係活動へと広げていきました。

1年生の場合、当番活動と係活動を最初から明確に分けずに、始まりはできるだけ子どもたちの声を生かして取り組む、という流れになると自然です。

その時、「ハムスター係だけでなく、学級を楽しくするために、他にどんな係があるといいかな」と子どもたちに問い、のちの学年の会社活動につながる係活動も取り入れていきました。

  • ハムスター係 ハムスターの世話をする。
  • あそび係 休み時間、みんなで遊ぶ。
  • おわらい係 みんなを笑わせる。
  • マジック係 手品をする。
  • マッサージ係 疲れている人にマッサージをする。
  • お誕生日係 お誕生日の子どもがいる時に、牛乳で乾杯をする。
  • 飾り係 教室に飾りをつける。
  • ぬり絵係 塗り絵をつくって配る。
  • なぞなぞ係 なぞなぞを出す。
  • お楽しみ係 みんなでお楽しみ会をする。
お誕生日係が、牛乳で乾杯!
牛乳でかんぱい!

これらのねらいは、自分たちで教室を楽しくするような経験をすることです。一人一当番と違い、自分たちがやりたいことをすること、何人で行ってもよいことを伝え、意図的に活動の時間をとるようにします。
子どもの希望からできあがったそれらの係活動は、教室を明るくしてくれます。
その反面、言い出した時は盛り上がりそうであったものの、いつの間にか活動が停滞して消えてしまったり、他の活動に変わったりすることもあり、それはそれでよいと考えます。
目的の「教室を楽しくする」に外れていなければ、どんなことでもよい、学級のみんなに連絡をすれば始めることができるとし、まずは自由に取り組めるようにすることがポイントです。

発達段階や子どもの実態に応じ、活動しながら学ぶ機会を保障する場の一つに、係活動を位置付けたいと考えています。


近藤佳織先生(新潟県公立小学校)
こんどう・かおり。『学級を最高のチームにする!365日の集団づくり1年』(明治図書)、『明日からできる速効マンガ 1年生の学級づくり』(日本標準)等の著書がある。勇気づけを軸にした学級経営に日々奮闘中。

イラスト/コダシマアコ
〈引用参考文献〉文部科学省『小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 特別活動編
『教育技術 小一小二』2019年6月号より

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

関連する記事

クラス記事一覧

保護者面談で信頼を得る8つのポイント

「保護者と何を話せばいいのかわからない」、「会話が続かず気まずい雰囲気が流れる」など、保護者面談に苦手意識を持つ先生も多いのではないでしょうか。ベテラン教師も昔…

保護者クレーム対応に効く!誠実でやわらかい教師のフレーズ13

保護者からのクレームに対しては、まずその気持ちをよくきき、受けとめることが第一です。かっとして言い返したり、理屈で封じこめようとしてはいけません。よくある保護者…

2019/11/30

小学校保護者クレーム11選:正しい対応をこまやかに解説

小学校教師を悩ませる保護者からのクレーム。対応を間違えると些細な言葉が火種となって炎上し、精神的にも時間的にも圧迫することになりかねません。これまであらゆる修羅…

折り紙で教室を華やかに【12月編】クリスマス
折り紙で教室を飾ろう|サンタとポインセチアの簡単な折り方

小学生ができる簡単な折り方を写真付きでていねいに紹介します!季節を感じさせる折り紙がある教室環境は、教室が明るくなる、クラスのみんなで協力してつくることで学級の…

支援12月号イメージ
自己肯定感を高める教師の声かけ術

不適切な行動を起こしやすい子は自己肯定感が低いという特徴が多くみられます。特に支援が必要な子どもには、自己肯定感を高めることが重要となってきます。その指導行為は…

問題を相談し合う子どもたち
確実にウケる学級レク『シリーズ資料編』【ことば遊び】

遊びを通してことばのセンスを磨いたり、ルールを守って遊ぶ大切さを学べる「ことば遊び」を紹介してきた『ことば遊びシリーズ』。 今回は、ことば遊びで使える資料をまと…

発達が気になる子の、教育虐待を疑うケースとは

保護者との会話や保護者会などで、子どもの意思や実力に合わない目標設定をしている度がすぎた保護者の意見をきくことはありませんか? もしかしたら「教育虐待」にあたる…

集会や異年齢でも楽しめる じゃんけん遊び2選

じゃんけんは何も用意せずにでき、誰にでも公平に勝つチャンスがあるスリリングな遊びです。 本記事では、全校児童やクラスのレクリエーションなど、大人数のグループでも…

小一担任のホンネ11月荒れ
教室が荒れる原因わかっていますか?

一学期は問題がなかったのに、なぜか二学期以降に学級づくりが困難になってきた……そんな経験はありませんか? ここでは、とくに小学校一年生のクラスについて、なぜ二学…

2019/11/13

学級崩壊を体験した教師から学ぶ立て直しのワークフロー

学級崩壊を体験した小学校教師の体験談から、リアルな立て直しのワークフローが見えてくる貴重な記事です。学級崩壊はどの先生にも起こりうることです。もし、あなたの学級…

もっと見る