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ふりかえりながら【寄せ】【詰め】の三学期「学級仕舞い」

元山口県公立小学校教諭

福山憲市

一学期の「学級開き」に対して、三学期は「学級仕舞い」。「学級仕舞い」で大切にしたいのは、「もう一歩の成長」のための再確認です。その再確認は、どういうものか。生活面と学習面から紹介します。

執筆/山口県公立小学校教諭・福山憲市

必殺! 寄せ&詰めの学級仕舞い メイン画像

①生活面は「キーワード」で再確認

一学期の学級開きでは、ひとつのキーワードを決めて学級づくりに取り組み始めます。

例えば、キーワードを「そろえる」とした年があります。まず4月初日から、次のような「そろえる」がスタートします。

「全員がそろう」……これは、遅刻しがちな子はいないか、休みがちな子はいないか。一人でも、遅刻・休みがちな子がいれば、どのような対応を1年間行っていくかを考えることから、学級開きが始まります。

続いて、「集団」と「一人ひとり」を見るキーワード「そろえる」が、フル稼働します。

例えば、上靴のかかとが、靴箱にそろうか。名札・ハンカチなどがそろうか。連絡帳がそろうか。挨拶の声がそろうか。並ぶときの列が、そろうか。人の話を聞くときの目線がそろうか。大掃除の後の掃除道具がそろうか。

一つひとつの行動を「そろう」というキーワードで見つめ、子どもたちの成長状態を記録し、1年間でどのレベルまで持っていくかを思考するのです。

もちろん、たった1日で成長状態をつかむことはできません。1週間をめどに、いろいろな場を仕掛け、子どもたちの様子を徹底的に記録します。

例えば、なかなかハンカチがそろわないという実態に出合えば、どんな「声かけ」、どんな「サポート」をし続けるかを考えて実行します。

その上で、1週間ごとに「ふり返り」をし、定着状況を簡単にメモしておきます。ある程度「そろう」ができているもの、形になってきたものは、二学期には月ごとの「ふり返り」に変わっていくものもあります。

このふり返り記録が、「学級仕舞い」に役に立ってくるのです。

三学期残りの50日、学級開き期の初心に立ち返って、キーワード「そろえる」を再確認するときに、ふり返り記録を見直すのです。

例えば、

・教室に入る姿
教室に入るときに、元気よく「挨拶」の声を響かせているか。目線は下がっていないか。すぐに、かぶっている帽子を取るか。名札はつけているか。
・ランドセルをしまう姿
ランドセルに入れている勉強道具は整理されているか。勉強道具を机の引き出しに入れる姿が丁寧か。ランドセルを棚に、両手でそっと入れるか。
・宿題プリントをすぐに出すか
出すとき、プリントやノートの向きに気を付けて出しているか。もし、プリント類が少しねじれていたら、そっとそろえるか。
・授業中の姿勢
背筋は伸びているか。人の話を聞くとき、両足をしっかりと床につけているか。挙手をするとき、ぴんっと腕が伸びているか。指名されたら、「はいっ」とはっきりと言うことができるか。

これら全て、一学期のふり返り記録では、「ほぼ定着」と記録しているものです。それほど、何度もくり返し巻き返し、「そろう」というキーワードで声かけし続けてきたからです。

ところが、学級仕舞い期に、ふり返り記録を読み直しながら再確認をしてみると、意外と甘くなっているところが多々あることに気が付きます。

②もう一歩の成長の試み

学級仕舞いの残り50日は、学級開きのときと同様に、1日1日をキーワード「そろう」で見直しをし、「少し甘くなっているところ・よく成長しているところ」を見極め、次の学年に向けて「もう一歩の成長」を試みます。

ところで、もし「ふり返り記録」がない場合には、学級開き期に取り組んだことを書き出してみるといいです。書き出すことで、現状をふり返ることにもなります。

では、少し「もう一歩の成長」の試みの様子を紹介します。

先に紹介した教室に入る姿。毎日見る姿です。

学級開き期に、次のように声かけをして「そろえる」を確認し続けたひとつです。

教室に入るときは、ただ挨拶をすればいいのではないです。教室に、声を響かせてください。声を響かせるというのは、心を込めるということです。

この声を再確認すると、何人か声の響きが落ちていることがあります。これが、全員で挨拶をするときの「そろい」にも影響しています。

すぐに、もう一歩成長するための声かけをします。

なかなかいい声の響きをしています。心が入っていて、さすがです。でも、もうすぐ〇年生。もうひと声、響かせることができるかな。

ここで大切にしているのが、「できていない子」だけに声かけをするのではないということです。

残り50日は、まずいいところを認めてほめ、さらに上を目指すように仕向けていくように、「全員に」声かけをしていきます。

みんなでもう少し変わろう、自分たちはまだ変われると思わせることだと思うのです。

さらに、何日か後に、こんな声かけをします。

いいねえ。全員の声がよく響いています。すばらしいです。でも、まだ教室に入るときの姿、変わるなあ! 全員の目線が上に向くといいです。声と目。これがそろうと、心がもっと伝わってきます!

教室に入る姿。これを学級仕舞い期に、今一度「もう一歩の成長」を求めることで、学級の空気が変わります。

子どもたちも教師同様、初心に立ち返っていくからです。

もちろん、ランドセルをしまう姿、プリントをそろえる姿、授業中の姿勢など、ある程度できるようになっていることでも、どんどん「もう一歩の成長」を求める声かけをしていきます。そうすることで、今で満足しない、みんなで、もう少し成長して4年生になりたい、そんな空気が次々と生まれていくのを、強く感じることができます。

もう一歩の成長「時間意識」

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