夏休み明け!失敗しない2学期リスタート「一日目」完全ガイド

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埼玉県公立小学校教諭

紺野 悟

夏休み明け、初日を迎えようとしている先生方必見! 埼玉県公立小学校教諭の紺野悟先生が、学級リスタート「1日目」の具体的な流れと方法を、授業の流れに沿ってわかりやすく解説します。初日から子供たちと良好な関係を築くコツやアクティビティ、限られた時間を効果的に使う進行の組み立て方など、すぐに実践できるテクニックが盛りだくさん。新任の先生はもちろん、ベテランの先生も、今年の夏休み明けはこの記事を参考に、最高のリスタートを目指しましょう!

執筆/埼玉県公立小学校教諭・紺野悟

イラストAC

1.リスタート初日を迎える先生方へ

前回の記事(夏休み明け!2学期リスタートで失敗しない「事前準備」完全ガイド)で紹介したように、リスタート初日をどんな1日目にしたいか、自分なりに言葉にすることができたでしょうか? 

いよいよ新学期の幕開けが近づいてきました。子供たちは夏休み明けの初日ですが、先生たちは数日の勤務日という準備運動を挟んで始業式を迎えます。4月とは違って、誰がどんな子で、どんな日々を過ごしてきたか4ヶ月の歴史があります。だからこそできること、だからこそやらない方がよいこともなんとなく見えてきています。

このように学級開き時期と夏休み明けとは違いがありますが、「何を」「どの順番で」「どのように」取り組むかを考えることは変わりません。そして、皆さんは今回はすでに子供たちのことを知っているので、ある程度効果的な作戦を立てることができます。

そこで、今回は実際に筆者・紺野の学級で行う、学級リスタートの1時間目から2時間目にかけてのリアルなメニューを紹介します。4月の学級開きの記事(失敗しない新学年スタート「1日目」の完全シナリオ)にも書きましたが、このように受け止めてくださると嬉しいです。
 
①どうしていいかわからない方は、ひとまずそのまま取り組んでみてください。
②数年経験した方は、取組の一つ一つの意味を考えてみてください。
③それ以上経験された方は、ご自身の実践と比較検討するものとして読んでください。

ではいきます!

2.登校までの準備

夏休み明け、皆さんでも「もう休み終わりかあ」と思ったかもしれません。子供たちの中にも、きっとそう思っている人がいます。学校に来て少しでも気分が明るくなる仕掛けを用意しておきましょう。

朝、教室には以下のスライドを写しておきます。(本校はホワイトボードにプロジェクターがついているので教室の真ん中に投影されています。)

このスライドを見れば、子供たちは今からやることの見通しが立ち、迷いなく行うことができます。これがスムーズに始めていくための仕掛けです。

夏休みの出来事を話したい人もいるでしょう。「先生先生!! 沖縄行ったんだ〜」と話してくる人もいるかもしれません。それで準備が滞ってしまってはいけません。やることはやりつつ、でも話題を一つ提供しておきます。黒板アートも同じ役割だと思います。教室に来て、パッと明るい気持ちになったり、話すきっかけになったり。何かしら仕掛けを作ることで、気持ちを教室へ向けてくれるようにします。

3.朝の会

私の勤める学校では、8:30から始業式を行います。オンラインで行いますので教室の移動はありません。しかし、登校してすぐ始まりますので、朝の会をする時間はほとんどありません。ですが体育館に集まるわけではないので、集団の雰囲気を味わえるわけではなく、気持ちのスイッチを入れるのが難しいのではないかと思います。

であれば1〜2分でちょっとだけ声を出して「よし始めよう!」としてはいかがでしょうか。

これらのようなスライドをテンポよく提示します。文字の大きさに合わせて声のボリュームを変えていく単純な遊びです。数回繰り返してから、「お久しぶりです。3年1組の皆さん、おはようございます!」と挨拶をします。きっと、いきなり挨拶をするよりは心地よい挨拶で始めることができると思います。

最後に予定を確認します。私は、最初の日に成功することよりも失敗することを防ぐことを優先します。そのために予定を確認し、初日の流れを理解して始められるようにします。

4.1時間目の完全シナリオ

1時間目は、とにかく回収、配付、連絡、確認することに時間を使います。先にやっておくことで残った時間を使えるし、何より時間がなくなって困るからです。

順序はおそらくこの回収→配付→連絡→確認の順番がよいでしょう。なぜなら、まず回収してあげないと机の上が使えません。また机の上に回収するものがあるのに、確認をしたら意識が散漫になってしまいます。

ですから、まず目の前にあるものを回収する。すると机の上がきれいになる。次にプリント類を配付する。連絡袋にしまう。その後に連絡帳を出し、連絡をする。印鑑を押す。ランドセルにしまう。最後に確認事項を確認する。休み時間にも覚えていられる。そんな1時間目のストーリーです。

①とにかく!回収!

1つめにやることは回収です。時間は15分です。短い時間で回収したいので、よく話を聞いて持ってきてください。すべてのものを名前の順で回収します。

ここまで話をして、スライドを提示します。

初めに、絵を持ってきます。絵は、写真のように広げて持ってきてください。席に戻ったら、スライドの順番で回収していきますので、次のものを持って、並んでください。持ってくるのを忘れた場合も、並んで忘れたことを伝えてください。

このように話し、回収を行います。名前の順に持ってきてくれますので、誰が持ってきていて、誰が忘れているのかをその場でチェックすることが可能です。また目の前に置いてくれるので、きれいに並べてくれる確率が上がります。「きれいにやってくれてありがとう」と子供たちに感謝することができます。「ちゃんとやりなさい!」と指導する必要がなくなります。

このように、笑顔で関わるプラスのストロークが増えることが、初日において非常に重要なことだと思います。単なる回収の場面ですが、こうした中にも子供たちへのアプローチがあると心がけましょう。

②とにかく!配付!

続いてプリントを配ります。先生が前から配っていきます。配られたものを右側に置いてください。全て配り終えてから、次の指示を出します。

すべてのプリントがあるか確認していきます。もし自分の分がないことがあれば、前の机に置いておきますので、静かに取りに来て静かに戻って構いません。ですから、「先生〇〇がありません!」などと声に出さなくてオッケーです。1枚目、学校だよりを持ち上げてください。全員ありますね。しまってください。(以下、続けていく)

手紙を配り忘れると、取り返しがつかないことがあります。ですから、日ごろから配付の場面では確実に行われるような仕組みづくりが大切です。静かに受け取り、自分のものがなければどのようにしたらよいのか、などが習慣になっているとよいでしょう。今回は、4月から指導をしてきたことを前提として、再度確認する意味で行います。

③とにかく!連絡!

今から連絡帳を書きます。赤鉛筆を1本手に持ちましょう。今から言うことをよく聞いて、連絡帳に書いてください。

金曜日までに引き出しと国語辞典、道具袋を持ってきてください。繰り返します。金曜日までに、引き出しと、国語辞典と、道具袋を、持ってきてください。(このようにゆっくり言います)

ときには、耳で聞いて書く訓練も必要です。集中力が身に付いてきます。初日ですから、スライドも掲示して、ゆっくり伝えてあげて、全員が書けるようにしてあげてください。書き終わったら先生から印鑑をもらい、連絡袋に入れてランドセルにしまいます。これで、3時間目に通学班会議へ移動する準備が完了します。

連絡帳が書き終わってから、その場でランドセルにしまいに行くのは、待っている時間を有効活用するためでもあります。書き終わった人が席に戻っておしゃべりをしてしまう位なら、ランドセルにしまって戻ってくるという活動を1つ入れておくことで、前もった準備にもなりますし、隙間時間を埋めることもできます。

④とにかく!確認!

ここまでで、必ずやらなければならないことは終わりました。もしも仮にこのまま下校しても、宿題は回収しているし、手紙を配ってある、連絡が伝わっています。残りの時間で学級を温めることに時間を使いましょう。

その前に! 確認すべきことは確認しておきます。休み時間になればトイレに行きます。トイレでの争いが絶えないクラスだったのであれば、トイレは遊び場所ではないことを確認してから。廊下を走ってしまうクラスなら、「廊下を走らないでトイレまで行ってくださいね」と確認をしてから休み時間にしたらよいでしょう。

一番最初に指導しておくことで、スタートからその観点をもって生活することができると考えます。言ったから必ずできるようになるものではありませんが、言わないよりは効果があります。

では最後に確認です。ランドセルロッカーからひもは垂れていませんか? お守りが垂れていて踏まれちゃったら縁起が悪いですよ。防災頭巾は付いていますか? 写真のように垂れていませんか? 踏まれちゃいますよ。名札をつけてはいますか? 名札のついている人、起立!! 雑巾は洗濯バサミで止まっていますか?

ところで、今日は何の日ですか? 先生も知りません笑 でも毎日〇〇の日ってあるらしいですよ。

最後に、先生の名前はなんですか? よかった覚えててくれて笑 それでは1時間目の学習を終わりにします。ありがとうございました!!

このように4つの活動を通して、指導する際に大切にしてきたことを適宜間に入れながら取り組み、4月から取り組んできたことを再確認します。

①話は目で聞く:目で話を聞くと何をするかよくわかります。

②整える:こうやって順序よく片付けていくと、きれいになるよ。

③動と静:楽しむ時、しゃべる時と、静かに取り組む時を分けよう。

1時間目の最後に、名札をつけていて、ランドセルロッカーがきれいになっていて、帰りの用意も完了していて、トイレに走らないで行く意識ももった上で、休み時間を迎える。そうすれば、よっぽどのことがない限り、安心して休み時間を過ごし、次の2時間目を時間通りに心地よく迎えられるのではないでしょうか。

順番はこの限りではないですが、やるべきことは早めにやっておくほうがよいでしょう。その中でもプラスストロークもできますし、子供たちの観察もできます。皆さんがご自身で目的意識をもって、単なる回収すらも教育活動として取り組めるとよいスタートになるのではないかと考えます。

続けて、2時間目に行きましょう!

6.2時間目の完全シナリオ

2時間目(1時間目が早く終わったらそこから始めます)は、学級を温めるためのアクティビティに使います。目的は、今の子供たちの状態を見ることです。ですので、繰り返しできて、勝った負けたを楽しめそうなものを選びます。アクティビティは、面白いからなんでもやればいいというものではありません。私が行う順序を例に考えてみましょう。

①ナンバーコール

これから、ナンバーコールを行います。「ナンバーコール、せーのっ!」と言ったら一度手を叩きます。次に「せーのっ」と言ったら2回手を叩きます。このように手を叩く回数を増やしていきます。「集まれ!」と先生が言ったら、手を叩いた回数、今なら2回なので2人で集まってください。できるだけ早く集まって座ることが大事です。誰とでも、人を選ばず、集まってくださいね。

質問はありますか? それでは始めます。

2回程度ナンバーコールを取り組み、次のスライドを交えて、誰とでも関わるという点を確認します。

続いて、ナンバーコールで形成したグループで2分程度のアクティビティをします。どれも、私の学級では一度取り組んでいるものです。ナンバーコールで作ったグループでじゃんけんだけをするでもよいです。活動して次のグループを作っていくと、だんだんと関わりが絡み合っていき温まっていきます。

②なりきり音読 噛まずに頑張れ!

今から音読してもらいます。ニュースキャスターになって読んでください。先生がまずはゆっくり読みますので、聞いていてください。(と言って一文ずつ提示します)

では、皆さんで読んでみましょう。まずは先生に続いて、次は2人で声を揃えてどうぞ。

さあ、だんだん授業になっているのがわかりますか? 遊びの世界と勉強の世界の境目があるのなら、こういう活動で誘っていきます。初日ですけど、ちょっとだけ遊びのような、でも授業のような活動を入れておきます。新学期のリスタートだからこそ、こういう活動も入れていきます。

③名探偵!これ誰?

夏休みビンゴなど、交流してインタビューし合うアクティビティを見たことがありませんか? 私も初任時代に先輩から「これ使ってみる?」ともらったことがあります。それくらい有名な実践です。子供たちの夏休みに何をしたか話したい欲求を満たし、活動的に慣らしていく効果を期待できるからです。

ここではそれをひとアレンジ。男子だけ、女子だけではどうしても固まってしまう、男女の交流が少ない学級の場合は、このようにしてみてはいかがでしょうか。男子からも女子からも聞いて、埋めていくアクティビティです。題して「名探偵!これ誰?」です。

ビンゴのような揃った感覚はないですが、男子も女子も聞かなくては埋まらないようになっているので、自然と関わるようになります。これを価値づけして1日目に印象付けることができたら、それはとても価値のあることです。

④ドット&ボックス

2人組で行う、動きが少ないアクティビティです。先ほどナンバーコールで動きの多い活動を行ったので、1日の終盤に向けて少し穏やかな活動を取り入れていきます。裏紙などを使っても遊べます。

2人組で行います。一人が赤、一人が青の鉛筆を持ちます。このように点を9個書きます。次にじゃんけんをします。じゃんけんをして勝った方から、線を引いていきます。交互に線を引いていって、四角になった時、線を引いた人がそのボックスをゲットできます。自分の色で塗ります。

一度、終わったらもう一度取り組んでみてください。次は縦横4つ、合計16個点を打ってもよいでしょう。

このようにして何回も取り組むことができます。そして、もう一回できるので、勝ち負けもすぐに切り替えやすい遊びです。徐々に教室が穏やかな笑いや声が聞こえてくるようになります。

7.終わりに

以上、夏休み明けリスタート1日目の具体的な流れとアクティビティをご紹介しました。このように1日をデザインするということは順番も大切です。私の学校では3時間目に一斉下校があるので、限られた時間のなかで落ち着いて終わることが念頭にあります。同時に事務的なことは済ませないといけません。ということで、優先順位をつけて1日をデザインしてみました。ぜひ、皆さんもご自身が勤める学校の予定に合わせて、取り組んでみてください!


今回ご紹介したパワーポイントのテンプレートを共有します。
画像やクラス名などを差し替えてお使いください!
↓↓↓


執筆者:紺野悟(こんの・さとる)
埼玉の教育サークル clover 代表。イベントを数多く企画・運営し、価値ある教育情報を広めている。共著『全単元・全時間の流れが一目でわかる!社会科 6 年 365 日の板書型指導案』(明治図書出版)他多数。

大好評! 紺野悟先生の『完全シリーズ』はこちらからご覧ください。
●失敗しない新学年スタート「1日目」の完全シナリオ《1時間目》
●失敗しない新学年スタート「1日目」の完全シナリオ《2時間目》
●失敗しない新学年スタート「1日目」の完全シナリオ《3時間目》
●先生のための失敗しない「1回目の授業参観」完全ガイド
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