小学校教員のための、とっさに使えるシンプル英会話!~児童から感心され、ALTとは仲良しに~

連載
GKC(がんばれ教頭クラブ)

元山形県公立学校教頭

山田隆弘

小学校英語教育が充実してきました。何と言っても、外国人英語助手(ALT)の働きが大きいですね。管理職はもちろん、現職の教員であれば、最低限の英語力は必要になってきています。特に英語教育と関係のない教員でも、とっさに英語を口にすることができれば、児童からは感心され、英語への興味を高めることができるのではないかと思います。プラス面しかないですよね!

【連載】がんばれ教頭クラブ

英会話する先生のイメージ
イラストAC

1 英語を使うシーンが増えてきた

外国語教育は、みなさんの学校でも盛んに行われていると思いますが、そこで大きな力を発揮しているのが、ネイティブのALTの方々です。その大半は、英語でコミュニケーションをとる必要のある方々ではないかと思います。
ALTとのコミュニケーションはもちろんのこと、外国籍の児童や保護者への対応など、語学力は学校教員にとって必須のスキルとなってきているのではないでしょうか。特に世界標準語と言える英語のスキルがあれば、何かと活用できるはずです。
とは言っても、決して難しくはありません。伝わる英語に特化していけばいいのです。その際には、3語程度で表現することが効果的です。

教頭からALTへのシンプル英語例

■勤務■ Work Schedule

勤務時間
 勤務時間は、月曜日から金曜日、午前8時30分から午後3時30分までです。
 “Work hours, Monday to Friday, 8:30 AM to 3:30 PM.”
勤務内容
 勤務内容は、英語の授業、英語でのクラブ活動、児童との交流などです。
 “Jobs: English class, English club, interaction with kids.”
授業時間
 英語の授業は、小学校1年生から6年生まで、1クラスあたり45分です。
 “English lessons for grades 1-6, 45 minutes per class.”
クラブ活動
 英語でのクラブ活動は、週に1回、1回あたり90分です。
 “English club, once a week, 90 minutes per session.”
児童との交流
 児童との交流は、給食時、休み時間や放課後に行うことができます。
 “You can interact with kids during lunchtime, breaks, and after school.”
昼食
 昼食は、学校で用意することができます。
 “School lunch is served.”
勤務場所
 勤務場所は、職員室と英語教室です。
 “You work at staff room, English classroom.”
質問
 質問があれば、いつでも私に聞いてください。
 “Questions, anytime, ask me.”
質問(勤務に関すること)
 質問があれば、いつでも私に聞いてください。
 “Any questions, ask me anytime.”
始業時刻
 始業時刻前に学校に到着し、準備をしてください。
 “Arrive before start and prepare.”

■学校での過ごし方■  School Life

授業中の指示
 授業中は、はっきり分かりやすく話してください。
 “Speak loud and clear in class.”
児童との交流
 児童との交流は、積極的に行うようにしてください。
 “Connect with kids in a positive way.”
校内での行動
 校内では、常に礼儀正しく行動してください。
 “Behave yourself in school.”
時間厳守
 時間厳守を心掛けるようにしてください。
 “Try to be punctual.”
服装
 服装は、清潔感のある服装でお願いします。
 “Keep yourself tidy.”
持ち物
 貴重品はロッカーに預けてください。
 “Stow valuables in the locker.”
携帯電話
 携帯電話は、授業中は使用禁止です。
 “Don’t use phones in class.”
困ったこと
 困ったことがあれば、周りの先生に簡単な英語で聞いてください。
 “When you are in trouble, ask nearby teachers in simple English.”

■児童との接し方■  Interacting with Students

名前を覚える
 児童の名前を覚えて、積極的に呼びかけてください。
 “Remember kids’ names and actively call them.”
話を聞く
 児童の話に耳を傾け、共感するようにしてください。
 “Listen to kids’ stories and empathize with them.”
個性を尊重
 児童の個性を尊重してください。
 “Respect kids’ personality.”
励まし
 児童を励まし、自信を持たせてください。
 “Encourage kids and help them build confidence.”
仲良くする
 児童に優しくして、楽しく過ごしてください。
 “Be nice to kids and have fun together.”

■その他■  Others

あいさつ
 おはようございます。今日もがんばりましょう!
 “Good morning! Let’s do our best today.”
授業の様子
 授業の様子はどうでしたか?
 “How was the class today?”
授業の成果
 授業はうまくいきましたか?
 “Did the class go well?”
気になること
 何か気になったことはありますか?
 “Is there anything troubling you?”
給食
 今日の学校の給食はいかかでしたか?
 “How was today’s school lunch?”
慰労
 おつかれさまでした。あしたもよろしくお願いします。
 “Thanks for all your hard work. See you tomorrow!”

2 シチュエーションを少ない語数で伝えてみる

2歳児は2語で、3歳児は3語で、4歳児以上はシチュエーションに合わせて話すと言われています。
例えば、
2語では、「ママ、バイバイ」 “Mommy, bye-bye”
 「もっと、ちょうだい」 “More, please”、
3語では、「公園で、遊ぶ」 “Play at park”
 「おにいちゃん、かっこいい」 “Brother is cool”
4語以上では、「お友達と、遊ぼう」 “Let’s play with my friends.”
 「早く、大きくなりたい」 “I want to grow up quickly.”

というように語数が増えれば伝えられる内容も具体性を増しますが、必要最低限なことは2語でも十分伝わります。
幼い子の意思を少ない言葉から類推し、考えてあげることはよくありますよね。大人であれば、聞き取った言葉と相手の仕草から、相手の意思を想像することができるからです。
つまり、2語でも3語でも相手は類推してくれるのです。ほんとうに伝えたい重要な英単語を並べるだけで、どうにかなりますよ。

事例1)英語の授業を急遽変更しなければならなくなった事例

「急遽、あなたが受け持つ英語の授業の時間に、創立記念行事の一環として全校写真をドローンを用いて撮ることになりました。そこで、できればいっしょに写っていただければうれしいです。だいじょうぶでしょうか? また、あなたの英語の授業は午後に変更したいのですが、ご都合はいかがでしょうか?」

A 英語ができる人の場合
“Good mornig, [ALT’s name]. 
I hope you’re doing well. I have a couple of important matters to discuss regarding our English class and the school event. Firstly, we’ve decided to take a whole-school photo using a drone as a part of our founding anniversary celebrations. It would be wonderful if you could join in. Would that be possible for you?
Also, we’re considering changing the timing of your English class to the afternoon. Could that work for you?”

B 英語が苦手な人の場合
“Hi [ALT’s name],
We suddenly decided to take drone photo.
Can you join our big photo?
Also, is afternoon English class okay?”

C 英語がもっと苦手な人の場合(ジェスチャーを交えながら…)
“[ALT’s name]
Today we take
Big picture.
You in?
Your class, afternoon?”

事例2)児童の適切ではない行動を謝罪するような事例

「昨日の児童のあなたに対する不適切な行為について、心よりお詫び申し上げます。 私はその児童と話をしましたが、彼らは自分たちの行動の重大さを理解しています。 彼らは今日中にあなたに直接謝罪する予定です」

A 英語ができる人の場合
“I’m sincerely sorry for kids’ inappropriate behavior towards you yesterday. I’ve spoken to the children and they understand the gravity of their actions. They will apologize to you personally later today.”

A 英語が苦手な人の場合
“Sorry for kid’s bad manner.
I talk to student.
They sorry to you later.”

C 英語がもっと苦手な人の場合(ジェスチャーを交えながら…)
“[ALT’s name],
Kids bad.
Very sorry.”

いかがでしょうか? Cでも何となく分かってもらえるのではないでしょうか。このようにとにかく伝えようとする意思が大切でしょう。
言葉が通じないとはいえ、相手も同じ人間ですから、上手に話すことよりもまず、自分の思いを何とか伝えようとする気持ちが大切です。その気持ちは誠意として相手に伝わり、スムーズなコミュニケーションと遜色ない信頼感を相手に与えてくれると思います。

英語訳監修/山形県公立小学校英語専科 遠藤宏子教諭

【参考図書】
英語は3語で伝わります【どんどん話せる練習英文100】中山裕木子/ダイヤモンド社


山田隆弘(ようだたかひろ)
1960年生まれ。姓は、珍しい読み方で「ようだ」と読みます。この呼び名は人名辞典などにもきちんと載っています。名前だけで目立ってしまいます。
公立小学校で37年間教職につき、管理職なども務め退職した後、再任用教職員として、教科指導、教育相談、初任者指導などにあたっています。
現職教員時代は、民間教育サークルでたくさんの人と出会い、様々な分野を学びました。
また、現職研修で大学院で教育経営学を学び、学級経営論や校内研究論などをまとめたり、教育月刊誌などで授業実践を発表したりしてきました。
『楽しく教員を続けていく』ということをライフワークにしています。
ここ数年ボランティアで、教員採用試験や管理職選考試験に挑む人たちを支援しています。興味のあるものが多岐にわたり、様々な資格にも挑戦しているところです。


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