【相談募集中】「教育委員会に報告する」と脅す子どもにどう対応すれば?

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兵庫県公立小学校校長

俵原正仁

問題のある学年を担任することになった30代教諭から「みん教相談室」へ相談が寄せられました。ある児童に注意をしたら「教育委員会に報告するよ」と、脅しのような言葉が返ってきたそうです。この発言に、教師としてどのような対応が正解なのか知りたいそうです。これに回答した兵庫県公立小学校校長・俵原正仁先生の内容をこちらでシェアします。

文句を言っている男の子
イラストAC

Q.「教育委員会に報告する」と脅してくる子に対し、どう対応すれば?

新年度です。採用され、6年目となります。昨年度の担任の先生方をさんざん手こずらせた学年を担任することになりました。4月から5年生の子たちです。

一部の男子児童が、学校に私物を持ち込んだり、授業が嫌になると平気でエスケープしていました。学校全体で共通しているタブレット使用の約束にすら、不満や文句を言います。授業中に大声を出したりすることもしょっちゅうでした。

教師に注意されても、言い返すかまぜっかえすかのどちらか。挙句の果てには「子どもにそんな言葉づかいしていいの。教育委員会に報告するよ。」と脅迫してきます。保護者も、自分の子の実態を正しく理解しているか怪しい感じです。

では、女子がしっかりしているかというと、そういうわけでもありません。打たれ弱く、察してほしいタイプが多い印象です。先入観はあまり持ちたくありませんが、引継ぎをした時点で、子どもたちに出会うのが非常に不安です。いやだなと思ってしまいます。2クラスのうち1つは男性の教員が受け持つ、という情報だったのに、人手不足で2クラスとも女性教員です。

いろんな本を読んだり、前担任から学級運営方法を聞いていますが、私が一番知りたいのは、「教育委員会に報告する」と脅してくる子に対し、どんな対応が正解なのかを知りたいです。長々とすみませんでした。でも、本当に困っています。(とと先生・30代女性)

A.教育委員会は処罰機関ではありません。毅然とした態度で臨みましょう

まず、とと先生に知ってほしいことは、教育委員会は敵ではないということです。教育委員会もあほじゃありません。子どもからの告発をそのまま鵜呑みにして、処罰を下すようなことは絶対にないということです。実際にクラスの様子を見に来ることはあるかもしれません。でも、そのことは、とと先生にとって好都合だとお考えください。

現状を把握してもらうことで、教育委員会の指導の矛先は、とと先生ではなく子どもたちになります。大きなブーメランとして、子どもたちに返ってくるはずです。教職員が気持ちよく仕事ができる環境を作ることが、教育委員会のお仕事です。処罰機関ではありません。法に触れることさえしていなければ、教育委員会は味方だということを忘れないでください。

だから、子どもの「教育委員会に報告する」という言葉にうろたえる必要はありません。「そうですね。一度来てもらってクラスの様子を見ていただきましょう」と、毅然とした態度で対応すればオッケーです。

ただ、一つ気になったのが、その子の言っている内容が「子どもにそんな言葉づかいしていいの」という点です。もしかしたら、前担任は売り言葉に買い言葉で威圧的・高圧的な指導を行おうとしていたのかもしれません。外からはわからない事情があるのかもしれませんが、それは、子どもの土俵に自ら降りていったということです。

とと先生が同じ轍を踏むことはありません。いろいろな本を読んでいるとと先生なら、すでにご存じかもしれませんが、「教室マルトリートメント」(東洋館出版社)の中でも、著者である川上康則先生がその危険性を述べています。

つまり、「教育委員会に報告する(しない)」に関わらず「そんな言葉づかい」はNGということです。声を荒げる必要はありません。ていねいな言葉づかいでも真剣な表情で真摯に対応すれば、子どもからなめられることはありません。言葉づかいの荒い子への指導ほど教師は「ていねいな言葉づかい」を意識しなければいけないのです。

ちなみに、「どのような言葉がていねいか」という私の判断基準は「尊敬する人の前でもその言葉を使うことができるかどうか」です。(「尊敬する人」を「保護者」に変えてもかまいません。)

私の座右の銘に「GOALはHAPPY ENDに決まっている」という言葉があります。「HAPPY ENDになったらいいな」ではなく「決まっている」のです。HAPPY ENDになることがわかっているドラマは、主人公がどんなピンチになっても余裕を持って見ることができますよね。その心の余裕が大切なんです。

決して一人で抱え込まず、同じ学年の先生、管理職の先生と力を合わせることができれば、とと先生のGOALもHAPPY ENDに決まっています。とと先生のこの1年間が素晴らしいものになることを願っています。大丈夫。肩の力を抜いてがんばってください。


みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。

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