【最終回・無料公開】 リフレクションの相互作用が自分もまわりも笑顔にする
「自分もまわりも笑顔になる」ことを目的とし、同世代の中堅教師を中心に、多くの先生方と「自身の学級や働き方を見つめ直す時間」を共有してきた当連載。最終回となる今回は、古舘先生の課題に取り組んだ先生と、それに対する古舘先生のコメントを紹介します。コミュニティは解散しますが記事はサイト内に残ります。この記事を読んで、「来年度は自分を根本から改革したい!」という先生はぜひ、改めて課題1から取り組んでみてくださいね。
執筆/岩手県公立小学校教諭・古舘良純
目次
リフレクションの相互作用が自分もまわりも笑顔にする
リフレクションタイムを1年間継続し、一番リフレクションしたのは私自身だったかもしれません。先生方に課題を示しながら、でも自分ごととして教室を俯瞰していたのは間違いなく自分自身でした。1年間お付き合いいただいた読者の方々にもお礼を言わなければなりません。
時に厳しい課題を与えたり、オープンチャットで無理なお願いをしてしまったかもしれません。それでも肯定的に捉え、ご自身の教室で実践された先生方の行動力に心からの拍手を送ります。本当にありがとうございました。
今回は、そんな読者の方々から1年間の振り返りをしていただき、その内容に対して私からお返事を届ける形で記事を構成してみました。
忌憚のない、でも熱く温かい言葉がたくさん届きました。紹介させていただく中で、皆さんの振り返りにも繋げられると幸いです。
どうぞ、よろしくお願いします。
■星野佑貴さん
12月号で自分の指導案を取り上げてアドバイスいただきました。指導案を書いただけで終わっていましたが、教師側の発言を元にリフレクションすることが大変勉強になりました。
●古舘
星野さんありがとうございます。アドバイスなんてとんでもなく、綿密に練られた指導案に驚きました。世の中には、こうした熱心な先生がたくさんいることを知り、嬉しい気持ちにもなりました。オンラインでもたくさんお話ししてくださり、心強かったです。素直に受け取れる柔らかさもまた、先生の強みなのかもしれません。また何かの機会にご一緒できることを願っています。
■岡雅昭さん
私は12月の「指導案を授業後の振り返りに活用する方法」が心に残りました。子どもの学習活動に対する「ほめ言葉」を考えることができると、より「子どもたちを成長に導く授業」になると思いました。ある時の指導助言で「指導案は児童観が9割」と言われたことがあります。それに加えて、指導観にどれだけ子どもの成長への願いをこめ、どれだけ授業で「ほめ言葉」を投げかけられるかが重要になると感じました。そして、この観点を日々の授業でも意識して、これからも授業力を磨いていきたいと思います。ありがとうございました。
●古舘
岡さんありがとうございます。「ほめ言葉」に引っかかる感性こそ、岡先生の芯ですね。先生の実践をお聞きし、ご自身の経験・目の前の子どもたち・日々のインプットをバランスよく組み立てていらっしゃるのだろうと感じておりました。そのバランス感覚が本当に絶妙で、自分を俯瞰しながらも、子どもの内側を掘り下げているのだろうと思えました。先生のように分厚い教師になりたいなあと憧れています。
■袴田 峻
課題4「夏休みは写真で「子どもを見る目」を養い、新学期に備える!」への取組が自分の見る目とマインドを一つ成長させてくれたと感じます。 はじめに、『「わかったつもり」になってはいけない。「理解できるわけがない」という前提のもとでそんな中でも子どもたちを理解し続けようとする姿勢が大切だ』と古舘先生はフィードバックで言ってくれました。「そう簡単に子どもは変わらない」そんな思いをA君という子を通してものすごく感じさせられた1年間でした。しかし、その考えを頭に入れながらも決して見捨ててはいけない。教師として自分ができることはA君によさを伝え続け、A君の変容を信じ続けることだと心に決めて、夏休み明けを過ごしていきました。その結果、2学期、3学期とA君自ら考え。自発的に価値ある行動をする場面がグッと増えてきました。以前の「わからないからやらない」「わからないから机に突っ伏す」のではなく、「わからない時は声を出す」「椅子から立ち上がり行動する」という姿が増えました。自分の見る目も以前よりもA君のよさに目がいくようになりました。まだまだ成長できると信じ続け、次学年に送り出したいです。 次に『成長は目に見えません。数値化もできません。そして、3歩進んで2歩下がるようなことも日常です。そんな中で無理に成長を見える化してしまったら、安っぽくなってしまう気がします。陳腐なものになってしまう気がします』この古舘先生のお言葉が自分のマインドに安心感を与え、目指すべき道を教えてくれたように思えます。数値として成長を残すことも大切だと思いますが、テストの点数と違い、心の成長は数値化できない? と思います。じゃあ、それをどう伝えるかは、子どもの成長ノートや、価値ある行動を収めた写真、そして何よりも教師の心から出るその子のエピソードが何よりの事実であるなと感じました。この事実を本人にも保護者にも伝えたいです。 子どもたち1人1人の小さな成長から大きな成長のエピソードを自信もって、笑顔で語れるようにこれからも「見る目」と教師として強くしなやかな「マインド」を醸成していきます。1年間、課題に対する添削・フィードバック本当にありがとうございました。
●古舘
袴田さんありがとうございます。先生の吸収力、実行力があれば子どもたちが変わっていくのは当然とも言えそうです。学びに貪欲な若い先生を見ていて、私も勇気と元気が湧いてくる思いでした。数値化できないものを形にしようとする。見えないものを見ようとする。そんな営みの連続が教室にはあります。そこに期待し、希望を見いだせるような教育界を目指しましょう。今後ともよろしくお願いします。
■みかん
12月「課題8:授業の振り返り方」で、指導案を使ったリフレクションを行いました。自分がいかに子どもたちを褒めていなかったかを痛感し、その後の授業では意識して褒めるようにしています。古舘先生から直接指導していただけたこの連載に感謝しています。途中からの参加だったので、新学期には課題1から順に取り組んでいきます。ありがとうございました。
●古舘
みかんさんありがとうございます。指導案がゴールになってしまうことって「あるある」だと思うんです。でも、産みの苦しみを乗り越えた指導案は何にも変え難い宝物です。だったら「宝の持ち腐れ」にならぬよう、きちんと磨いてあげることって大切だと思うんです。それを見事にやってのけたみかんさんの実践報告には圧倒されました。まさにリフレクションを体現したようなご実践でした。
■わだち
六送会への取組の記事を読んで、自分の中でモヤッとしていたことを言語化、さらにその回答まで頂けたように感じました。学校の当たり前って、こうやって変えていけるんだなという働き方についての示唆を得られると同時に、この実践に取り組める5年生を育てる1、2学期にしたいとも思う記事でした。プロジェクトが進行していく過程もオープンチャットで共有していただけて、たいへんありがたく思います。
●古舘
わだちさんありがとうございます。私の中でも、6送会の記事は大変思い出に残っています。子どもたちと取り組んだその過程を見ていただき、本当に嬉しいです。こうやって事実で示すことって大事だと思うんです。「ネタの出し合い」じゃないんです。その子らの成長の時間に対する誠意だと思います。わだちさんにこうして価値づけていただいて再確認できました。きっと子どもたちも喜びます。
■いち
心に残っているのは、授業の振り返り方の記事です。私が学級崩壊させてしまった時が、まさに学級崩壊マニュアルに載っていたことをしていたなと今更ながら気付かせていただきました。その逆転の発想で先生が作られたという「授業づくりマニュアル」を今後意識したいなと思いました。そして、指導案をもとに振り返るということが斬新でした。ぜひやってみたいと思いました。オープンチャットに入ったのは11月ですが、記事は遡って4月から読ませていただきました。今年度は育休中だったため実行できなかったのが残念です。復帰したら全記事のリフレクションに取り組んでみたいと思っています。(オープンチャットが終わってしまうのが残念ですが)別記事で、6送会についてもとても衝撃でした。つい、前年度がこうだったからという流れになりがちのところです。負担は少なく、でもとても素敵な会をということをできるようにしたいものです。もっとよくするには? と考える時間とアイデア、それを実行に移せる力が必要だなと感じました。一年間の連載ありがとうございました。
●古舘
いちさんありがとうございます。私もオープンチャットが終わってしまうことを残念に思いますが、でも終わりがあるから美しいとも思います。またどこかでご一緒できたら嬉しいです。学級崩壊は誰もが恐れます。でも恐れるだけじゃダメで、向き合わないといけません。そこに目をつけられたいちさんは、きっと復帰しても大丈夫です。ぜひこの連載を活用していただき、何かの折に教室の様子を教えていただけると幸いです。
■ぽんぽこ
グループに入ったのは12月ですが、4月の記事が印象に残っています。育休中なので日々の教育活動をリフレクションすることはできませんでしたが、我が子(4歳と0歳)の育児を振り返りながら練習しています。仕事をしていた時は、2学期に自分の学級に自信が持てなくてモヤモヤすることが多かったので、課題6と課題8の記事は大変勉強になりました。復帰後、必ず実践していきたいと思います。本当にありがとうございました。
●古舘
ぽんぽこさんありがとうございます。言葉づかいが悪くなりますが、「母ちゃん先生」には本当に頭が下がります。いろいろな感情を抱えながらの学校勤務は、容易なことではありませんよね。それでも学びをキャッチしようとするぽんぽこさんの真摯な姿に勇気をもらえます。2学期以降のモヤモヤは、その原因のほとんどが「自分自身」にあります。ぜひ復帰後に実践されてみてください。
■コメダ大好きおじさん
一人でやるより複数でやるリフレクションのよさに気付きました。一人では中々続けることが難しかったのですが、今回はリフレクションしている同志の存在だったり、シェアしたときに古舘先生から新しい視点を貰えたりすることが刺激になって、続けることができました。皆さんありがとうございました。リフレクションしなくても日常は回ります。リフレクションしてもすぐに劇的な変化が訪れるわけではありません。しかしリフレクションすることで、じんわりと、見え方が変わり、考え方が変わり、行動の質が高まっていきます。自分を中心に、日常が好転していきます。LINEグループは一度3月末以降で終わってしまいますが、今後は同僚にシェアするなどして続けていこうと思います。
●古舘
コメダ大好きおじさんありがとうございます。全くその通りです。コミュニティがあれば続けられる。それが学校でできたら良いのですが、なかなか難しい。だからこそ、この場が豊かになるのだと思います。垂れ流しになりがちな日々にリフレクションをピン留めする感覚って大切です。そして、ご自身の半径5メートルに拡大しようとするその姿勢もまた、教師として大切にし続けたいですね。あっぱれです。
■こさゆう
授業の振り返りの仕方の記事に興味を持ったことがきっかけで参加しました。現場にこそ、学びがたくさんあることを感じ、地に足つけた学びを大切にしたいと思いました。
●古舘
こさゆうさんありがとうございます。興味を持っていただけて嬉しいです。ありがとうございます。きっと、こさゆうさんがアンテナを張っているから興味を持てたのでしょう。そんな姿勢に背筋が伸びる思いです。教室は宝物です。学級は宝石箱です。外の学びと同時に、内側の身近な学びに目を向けられたら、もっと働き方が充実しそうな気もします。空中戦ではない、地上戦で頑張りたいですね。
9名の先生方、本当にありがとうございました。
こうしたサイトの記事は、正直読者が見えません。フィードバックも少なく、閲覧数もあまり把握できません。誰のために、何のために書いているのかわからなくなる時があります。でも、オープンチャットがあり、既読がつき、投げかけた課題が提出される。そのやりとりが、確かな読者の存在を教えてくれていました。
皆さんがいてくれたおかげで、私は皆さんに発信しようと矢印を向けることができました。
1年は締め括られますが、ぜひまたバックナンバーとしてお読みいただいたり、何かの折にご連絡いただけると幸いです。
ぜひ、「自分もまわりも笑顔になる」という目的を忘れず、来年度も頑張っていきたいと思います。長期間にわたってお読みいただき、ありがとうございました。
古舘良純
いかがでしたか?
コミュニティは解散となりますが、当連載はサイト内に残ります。「来年度こそは自分を根本から改革したい!」という先生はぜひ、二期生として改めて課題1から取り組んでみてください。そして編集部まで感想をお寄せください。今年一年、お疲れ様でした!