【相談募集中】講師をして9年、一次で不合格。卑屈になって前に進めない

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元札幌市立小学校長

佐藤裕三

教員採用試験を受けるも一次で不合格となり続け、9年間、講師をしているという先生からの相談が、みん教相談室に寄せられました。卑屈になっている自分をどう捉え直し、どう進んでいけばいいのか。ここでは、元札幌市立小学校長・佐藤裕三先生からのアドバイスをお届けします。

イラストAC

Q.講師をして9年、一次で不合格。卑屈になって前に進めません

講師をして9年、一次で不合格です。 毎年不合格者の順位は上がっていますが、二次にいけません。 年齢も年齢で自分が講師であることを隠したい、恥ずかしいと思うようになり、年下の正規の子と比べてしまい嫌になります。 卑屈になりすぎて前に進めません。 考え方を変える必要があるのはわかっていますがどう変えればいいのかわかりません。

(みーさん・女性20代)

A.ネガティブな感情も自分の一部だと受け止めていいのです

9年間、1次試験を突破できずにいる自分を、周りの若い先生方と比べて落ち込んでしまう。その感情は自然なものですし、心に浮かぶことは止められません。ただ、それは「学級が荒れて毎日が辛い」「校務の負担が大きくて耐えられない」、つまり仕事がうまくいかないという悩みではない。だったら相談者の方には、9年という実績からすれば教員としての資質がある。そう思いながら相談文を読ませていただきました。

実際に悪口や陰口を言ったり講師を馬鹿にした態度をとったりする人がいるのであれば、それはハラスメントの問題として信頼できる方に相談した方がいいです。そうではないのなら、貴方は自分で自分を縛ってはいないでしょうか。自分で自分を卑下して、誰か幸せになりましたか?

教員の仕事は、一言で言えば「学習者の人間的成長の手助けをすること」だと私は考えます。大事なのは、私たちが責任を負うべきは「目の前の子どもたち」であるということです。子どもたちにとって、自分の先生が正採用か、講師かなど何の意味もありません。この先生は自分たちのために最善の努力をしてくれるかどうか。そこに尽きるのです。

子どもの前でも自分の感情に流されてしまうのなら、教職を諦めても仕方がないことです。でも、朝、教室に向かいながら「子どもたちには笑顔を見せよう」と思って毎日努力できるなら、まだまだチャレンジは終わっていません。自分を卑下してしまう感情も、大事な自分の一部として受け止めてしまえばいいのです。ただ、それは一部でしかないのだから、心の中に引き出しを作って、時々出してながめるだけにしておきましょう。

未来のことは分かりません。希望がかなって正採用になれたら何よりです。でも、ひょっとしたら違う人生の選択の場面が来るかもしれません。その時に「いろいろあったけど、自分は精一杯努力してきた」と思えたら素敵だと思いますよ。


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