教室の荒れを防ぐ!給食・掃除・休み時間の子供との関わり方

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学級崩壊・学級の荒れ:立て直しからリアルな緊急避難まで
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今年度の後半を子供たちと楽しく過ごすために、クラスを落ち着かせる「子供との関わり方」について考えます。この記事では、休み時間・給食・掃除の時間の子どもとのコミュニケーションの具体例をご紹介していきます。

監修/奈良県公立小学校教諭・小野領一、東京都公立小学校指導教諭・小島大樹

小学校 給食
写真AC

休み時間の荒れ対策

休み時間の企画は子供たちに立てさせる

クラス全体で遊ぶ日を決めているクラスもあるかと思います。クラスをよくするためには、とてもよい企画だと思います。

しかし、これは常に子供発信の企画であってほしいものです。教師が「今日は全員で遊ぶ日だよ」と言うと、子供にとっては強制になってしまいます。

授業でも一緒、休み時間も一緒になってしまうと、オンとオフがなくなってしまいます。ですから、子供発信にします。係などに声をかけて「やってみない?」と提案してもらいます。

あくまで強制するのではなく、気軽に友達と遊ぶという感覚で参加できるようにするとよいでしょう。

先生が参加する場合は思いっきり全力で遊びます。「先生、大人げない」と言われるかもしれませんが、子供は先生が全力で遊んでくれるのが心地よいのです。

子どもたちに休み時間の計画を立てさせる

信頼関係を築くことを重視し、深追いはしない

クラスが荒れだすと、教室や廊下といった室内でも、プロレスごっこやボール投げなど荒い遊びをするようになります。放っておくと大きな怪我にもつながりかねないので、絶対にやめさせます。私は、指導を流してはいけない行為は、「命に関わること」「いじめに関すること」だと思っています。それ以外は指導をしますが、深追いをしません。

教師と子供たちとの信頼関係に不安がある場合は、教師が何を言っても子供たちに指導は入らないので、まずは子供たちとの関係性を良好にすることを重視します。しかし、指導しなければ、ズルズルと子供たちの規律が緩んでしまうので、指導をしつつ、指導の深追いをしないといった意識が大切なのです。

子供たちとの信頼関係が構築できれば、多少厳しく指導をしても大丈夫です。

休み時間の過ごし方は子供の気持ちを尊重

クラス遊びをしようとしても、嫌な顔をしながら参加する子もいるでしょう。そういった子は普段は、どんな遊びをしているのでしょうか? 友達とけんかをしてしまい、外遊びは好きだけど、参加すること自体に抵抗感があるのでしょうか? 様々な可能性があります。

そんなときは、子供に直接「どうしたの?」と聞いてもよいと思います。ここでは、子供のクラス遊びに参加したくないという気持ちを受け入れつつ、「参加したくなったらおいで」と本人のチャレンジに任せることです。必ず参加させようとすると「義務」になってしまい、楽しめません。義務にさせないためにも、主体的に判断できるようにさせてあげてください。

最終的に、参加できた場合には、「どうだった? 楽しかった?」「参加しようとする姿がうれしかったよ」など、気持ちを受け入れる姿勢を示します。参加できなくても「参加しようって気持ちが少しでもあったんじゃない? そんな姿がうれしいよ」と、参加しなかった気持ちも受け入れる姿勢を示します。

子供の心の中では様々な葛藤がありながら決めた決断です。それをあくまでも受け入れようとする姿勢が子供の気持ちを引きつけることになるのではないでしょうか? 大人も、自分の思いを受け入れようとしてくれる人のことを尊敬します。子供も一緒です。

休み時間の過ごし方は子どもの気持ちを尊重する

休み時間のトラブルとその防止策&対応策

●男の子の場合

男の子のトラブルは次のように対処します。

①子供たちをクールダウンさせる。
②教師が双方の話を聞きとって、事実確認を行う。ただし、延々と話を聞きとっているとわけがわからなくなる場合があるので要注意。
③どうすれば喧嘩にならなかったのかを子供たちに考えさせ、それをお互いに口に出して言わせ、約束をさせる。
④最後にお互いに謝らせる。これは形式的なものでも構わないので、必ずさせておく。謝ったという既成事実がない場合、子供も保護者も納得せず、クレームに発展する恐れがある。

喧嘩両成敗が基本ですが、手を出した子には少し厳しめに指導を行います。弱者を守ってあげないと、教室内に安心・安全が保障されないからです。

また、あまりにも力関係に差がある場合は、力関係の弱い子供が本当の気持ちを話せなくなる恐れがあるので、個別に話を聞きます。

●女の子の場合

ポイントは3つ。とにかく話を聞く、頭ごなしに指導をしない、みんなの前で叱らない。

しっかり話を聞き、最後に、「でも先生は〇〇してもよかったんじゃないかなって思うよ」と言うくらいで指導は留めます。

ただし、指導を緩くすればよいといったことでは決してありません。話をしっかり聞き、説得するように指導することが大切なのです。

時として、男の先生ではどうしても対応しきれない女の子のトラブルもあります。その際は、同僚や上司の女性教師の協力が必要です。学校全体でフォローする体制が重要です。

●クラス全体への指導

トラブルを防止するのではなく、トラブルを通し、教師の思いも踏まえた指導を子供たちに行い、育てていくことを意識します。

トラブルが起これば、個々に指導はします。でも、個別対応ばかりだと子供たちも辟易し、学級の雰囲気も重く淀んでしまうでしょう。だから、個別指導ばかりを対症療法的に行うのではなく、全体指導で何がダメなのか、はっきり知らせることも必要なのです。

障害があることや身体的特徴をバカにしてからかい、いじめる。こういったことは最低だときちんと伝えるべきなのです。教師が解決する、対処することももちろん必要ですが、子供たちにこういった基本的な考え方を伝え、子供たちを育てていくことが大切なのです。

基本的な考え方をしっかり全体に伝える

給食時間の荒れ対策

ルーティンが崩れそうな時は、できている子をほめる

給食の準備時間は、午前の授業が終わり、ホッとしてついつい気が緩みます。ルーティンになっていることが崩れ、ダラダラと時間を過ごしてしまい、給食をじっくりと食べられないということもあるのではないでしょうか?

ポイントは、基準を示すことです。「20分までに配膳の準備を終えるよ」と伝えておけば、子供もここまでにやればよいのだと見通しが立ちます。できていれば、ほめればよいのです。

準備等はルーティンになってしまう分、教師も「できて当たり前」の感覚になってしまっていることがあります。当たり前のことが崩れそうになっているなと感じたら、当たり前に行っていることをぜひ称賛してあげてください。一生懸命にやっている児童はたくさんいます。

気を付けなくてはならないのは、称賛されるから動く子にしてはいけないということです。称賛は「君の行動は正しいよ」というメッセージを送ることです。この称賛は徐々に間引いていくのです。少なくしていけば、称賛されるから動くのではなく、自分の判断で動ける子が育つようになっていきます。

出来ている子を褒めよう

子供を先生の席に呼んでランチ面談を楽しむ

先生が各班を回ってランチを食べるということをしている先生も多いのではないでしょうか? 子供と一緒に給食をとりながら、児童理解をしたいというすてきな活動です。これとは違って、個人面談、グループ面談という形で先生と話をする「ランチ面談」はいかがでしょうか? 先生の席に子供が来てランチをするのです。個人でも複数人でもよいと思いますが、できるだけ少数のほうがよいと思います。大人数になってしまうと、特定の子ばかり話をして、聞き役に徹してしまう子も出てきてしまいます。子供のことを知りたいのであれば、少人数のほうがよいでしょう。

話題は他愛もないことがよいでしょう。いきなり「なんか困っていることない?」などと聞かれたら、子供も構えてしまいます。あくまでも少人数でおしゃべりを楽しむという行為だと考え、「好きなテレビは?」「好きなアイドルは?」という感じで気楽に話します。子供の意外な一面を見ることができますよ。

ランチ面談

掃除の時間の荒れ対策

さぼる子を叱るのではなく、頑張っている子を称賛する

掃除の時間にやりがちな指導が、掃除をさぼっている子を叱ってしまうことです。もちろん必要なことですが、一生懸命に掃除をしている子を称賛してあげましょう。称賛するポイントとしては、行動を認めることです。「君のやっていることは、クラスみんなのためになっているよ」というメッセージを伝えることです。

一生懸命に掃除をしている子に価値付けをするポイントとしては2つあります。

1 余裕のない人数配置にする

掃除や給食当番ともに言えることですが、きっちりと大人が掃除の分担を決め、その役割をきちんと果たしているのかで評価することが多いように思います。しかしこれでは、「人のために汗を流す」という姿勢や「自分から考えて動く」という主体性や思考力・判断力を育むことは難しいでしょう。他律的な人間を育てるのではなく、自主的にしかも、考えて動けるようにしたいものです。

具体的には、「もう少しこの仕事に人がいると助かるんだけどな」と感じるような人数配置をします。すると、必ずと言ってよいほど仕事が進んでいない分担を手伝う子供が出てきます。みんなの仕事を手伝っている姿は素晴らしいものです。それを価値付けるのです。友達の行為が価値付けられると、手伝う子が増えてきます。そのように行動が変わった瞬間を見逃さず、その子たちも価値付けてあげましょう。仕事はみんなで支え合って行うものであるという文化ができ、よい行動をたくさんするようになります。

2 ちりとりを称賛する

ちりとりでゴミを取る仕事はとかく敬遠されがちです。子供たちの心理としては、「やりたいこと」ではなく、「やらなくてはいけないこと」になっています。教師にとっても、ちりとりでゴミを集めることは、「当然やらなくてはいけないこと」です。だから、教師も「やらなかったら叱る」という発想になっていて、やっても称賛することがないのかもしれません。

ちりとりでゴミを集めている子供がいたら、「みんなが嫌がる仕事をしてくれて、うれしいな」などと、全体の前でぜひ称賛してあげてください。次の日からちりとりをやりたがる子供が増えるでしょう。

敬遠されがちな役割をしている子供をほめる

子供の主体性を信じ、行動を促す

全体に掃除指導をしても、「あれ? 汚いぞ! ゴミが残っているし、掃除用具の片付け忘れもある!」なんてこともあります。

教師が、「まだゴミが残っているよね」「ほうきも片付いていないし」「どうするといいかな?」「このままでいいのかな?」と言うと、「先生、今やってもいいですか?」と言ってくれる子がいます。1人が動けば、数人が動きます。そんな子をぜひ認める言葉がけをしてください。

その後、その子たちの掃除が終わった後に、
「自分かもしれないと思って動くことは素晴らしいことだね。さらに素晴らしいのは、自分ではなくても動くことです」と伝えます。人のために働くことの価値を伝えることです。

その上で、②「今後、こんなふうに2回も掃除しないようにするためには、どうすればいいかな?」と、子供に方法を考えさせる発問をします。子供の主体性を信じて、行動を促すようにするのです。

このように2段階で布石を打ちます。仮に②で子供たちが考えた方法が失敗し、またちゃんとした掃除ができていなくても、①で打った布石があるので、一生懸命に掃除をしている子がいます。その子のことを全体で広め、「この前考えた方法ができていれば、〇〇さんはやらなくてもよかったと思うんだよな」と言えば、次の日から掃除はきれいに行われていくでしょう。

子供の主題性を信じ、行動を促す

取材・文/出浦文絵 イラスト/山本郁子

『小四教育技術』2018年11月号より

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