【相談募集中】卒業までに雰囲気の悪いクラスを立て直したいが、今は何をすべき?

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学級崩壊・学級の荒れ:立て直しからリアルな緊急避難まで

愛知県公立小学校教諭

佐橋慶彦

初めて6年を受け持つ先生から「みん教相談室」に相談が寄せられました。発言力のある児童によって学級が落ち着かないが、卒業までの残りの時間で改善したいという内容です。回答したのはみんなの教育技術で連載を持ち、子どもたちの「らしさ」を引き出す学級経営に定評のある愛知県公立小学校教諭・佐橋慶彦先生。そのアドバイスをこちらでシェアします。

写真AC

Q. 反抗的な児童たちによってクラスの雰囲気が悪く、夜も眠れません

初めて6年生の担任をしています。新学期当初から「◯組が良かった」と不平や不満を言い、「自分のクラスは最悪で面白くない」と言われるようになりました。みんなで楽しいクラスにしようと声かけをしても、発言力のある子ども数人が「無理、何もしたくない」と言って周りの子どもたちは、何も言わない状況です。大半の子どもたちは、大人しくあまり発言をしません。発言力が強く反抗的になる子が4人いて、なかなか話合いが進みません。

私と子どもたちの信頼関係もまだ築くことができておらず、授業中も、私語が増えたり、ネガティブな発言があったりしてクラスの雰囲気が悪くなり、私が注意してしまうという悪循環です。ポジティブシンキングやリフレーミングの大切さについて子供たちに話し、私自身も理解はしているものの、なかなか行動にうつすことが出来ません。

また、クラスの子供たちの中で、支援学級の子に対してきつい言葉をかけたり避けたりという言動が多く見られるようになってきたのも気がかりです。支援学級の子は、自閉症スペクトラム症で、自分の欲求を抑えるのが難しく、思ったことがすぐに口に出てしまうので、周りの子供たちはイライラしています。また、その子は普段から鼻をほじったり、汗を手でふいたりするので、「汚い」と言ってその子の机を移動することを避ける子さえ出てきました。その都度、その子にも周りの子供たちにも話をしますが、なかなか改善されません。

そして、最近では、私自身も避けられるようになりました。私が隣を通ると鼻をつまんだり、通り過ぎると「くさいわ」と隣の子どもたち同士で話したりするのが聞こえます(主に2人)。 話をしても「そんなこと言ってない。やってない」と、言われて何も言えなくなってしまいます。

学級経営ができていない自分が情けなく、子どもたちからも信頼されず、バカにされる日常に、夜も眠れず、2時間おきに目が覚めて、毎日心身ともに辛い状況です。 あと少しで卒業です。 このまま、クラスの雰囲気が悪い、楽しくないクラスで終わりたくありません。何かできる事や、アドバイスをいただければありがたいです。よろしくお願いします。(ブルー先生・40代女性) 

A. クラスの“小さな向上的変化”にも、大きな価値があることに目を向けてみては

ご質問いただきありがとうございます。いただいたご質問から、難しい状況の中でも色々な働きかけされていることや、傷つく子がいないようにと、奮闘されている様子が伝わってきました。そんな心身ともに大変な状況にあっても「残りの時間で何かできることは」とご質問されたブルー先生のお気持ちを考えると、胸が詰まる思いです。その責任感と誠実さに、敬服致します。

実は、私も初めて受け持った6年生に苦い思い出があります。ここには書けないような心無い言葉を毎日のように受け、真剣に話しても「ウザッ」「はっ?」と呟かれる始末。私がプリントを配ると、同じところを持ちたくないと手を拭う子もいました。夜は毎晩のようにうなされて起きていましたし、人の目が怖くなって通勤中はいつもフードを目深に被っていました。

ただ、私とブルー先生との事例で異なるのは、私はブルー先生のように色々と働きかけることが出来ていなかったというところです。当時初任だった私には、ただ頭ごなしに怒ること、媚びるようにほめること、見て見ぬふりをすることしかできませんでした。

しかし、冒頭でも申し上げました通り、ブルー先生は色々な策を講じられています。ポジティブシンキングやリフレーミングを促すことはとても有効な働き掛けであると思いますし、支援学級の児童との間に起こる課題にも目を背けることなく取り組まれています。

きっと、ご質問にも書かれていた、当初からあったという不満感や、反抗的な一部の児童の影響など色々なことが相まって、難しい状況になっているのではないかと思います。ですから、どうかご自身のことを責められないようにと願います。

学級経営をしていると、ついついその時々の状態を切り取るように評価してしまいます。子どもたちが一定の規律の中で、意欲的に活動していないと「学級がうまくいっていない」と感じ、自分に大きな責任があるように思ってしまうのです。また、一人でも子どもとうまく信頼関係が築けないことがあると、自分は「至らない先生」であるように思えてきます。

しかし、本当は「テストの点数が低かった子が、いつもより少し良い点が取れたこと」に価値があるように「難しい状況にあった学級に見られた小さな向上的変化」にも大きな価値があるはずです。私も、学級が難しい状況にあり、自分のことを責めたくなる時や、自分の取組を過度に反省してしまう時は、そんなふうに自分に言い聞かせるようにしています。

「卒業に向けて気持ちが変わった子が何人かいた」
「ふざけている子がいる中で、授業を頑張っている子がいた」
「私語がいつもより少ない授業があった」
「うまくいっていない児童と少し会話が交わせた」

そういった小さく感じる変化も、難しい状況の中では大きな大きな成果です。今日まで教壇に立ち、奮闘されてきたこともその一つ。支援学級の児童のように、ブルー先生によって守られてきた子どもたちが何人もいるはずです。例え、三十点の一日であっても。その三十点はブルー先生が闘い続けてきたからこそ得られた三十点です。

ですから、どうかご自分のことを責められないように、そして無理をなさらないように。心身ともに健やかに過ごされる日が、一日でも多くあることを願っております。


みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。

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