【相談募集中】「死ね、ころす、きもい」と子どもに暴言を吐かれ頭がおかしくなりそうです
特別支援学級の生徒から毎日のように暴言を吐かれているという悲痛な相談が「みん教相談室」に届きました。これに回答したのは杉並区立済美養護学校主任教諭・川上康則先生。自身のメンタルヘルスを第一に、その上で解決の糸口を見出すヒントも指南してくださいました。その内容を紹介します。
目次
Q.特支学級の生徒から毎日のように暴言を吐かれてツライです
中学校で担任をしています。通常級のクラスを4クラス教えており、さらに特支学級の授業も教えています。科目は英語です。4月からずっと特支学級の授業がしんどくて悩んでいます。特支の生徒は4人なのですが、1人は1年生、残り3人は2年生です。1年生は大人しいのですが、残りの2年生に毎日のように暴言を吐かれます。
「死ね、ころす、きもい」
「日本に住んでいて英語なんていらない」
「高校には行かないから勉強なんていらない」
など50分の授業で30回は言われます。もう頭がおかしくなりそうです。どんなマインドで授業にのぞんだらよいのでしょうか。また、通常級4クラスだけを授業したいのですが、どうすればよいでしょうか。(たぬき先生・30代女性)
A.まずは自分を守る行動を。状況が好転しそうなら新しい景色が見える可能性も
たぬき先生、特別支援学級の授業をするのが厳しいのであれば、まずは管理職の先生に「通常学級4クラスだけを担任したい」「特別支援学級の担当は外してほしい」と伝えてみてください。先生ご自身のメンタルヘルスを考えると、それが一番よい方法だと思います。毎日のように暴言を吐かれ続けて、それでもやり通しなさいというのは酷です。まずは、ご自身のことを大切になさってください。
もし、校内の先生の中に関わり方のコツを指南してくださるような方がいて、「もう少し頑張れそうだな」と思えるようであれば、これをよいきっかけととらえ直してみるのもよいと思います。彼らが期待するような授業を追求することで、今後の教師人生の幅も広がるでしょう。学校には勉強が好きな子、英語が得意な子、先生のお好みな子ばかりが通うわけではありませんから。
その一方で、特別支援学級の生徒たちの気持ちもよく分かります。はたして「こんな生徒たちと一緒に過ごすのは嫌だな」と思っているような先生の授業を楽しめるでしょうか。彼らの暴言は、「もっと私たちに分かりやすい授業をしてほしい」「もっと私たちの学び方を知ってほしい」という心の叫びかもしれません。
「死ね・殺す・キモイ」は、実は、「難しい、悔しい、もどかしい」であると理解できれば、関わり方は大きく変わります。授業をもっと楽しく、生徒たちに失敗を感じさせずに、彼らの達成感や充実感を高めようという気持ちをもって、もう一度、自分自身の接し方や、授業の進め方を見直してみてください。
そうすれば、暴言にいちいちイラついていた自分がどれだけチッポケな気持ちだったかが分かります。そして、彼らのような一見難しい生徒こそが、関わりの糸口を見出すことの楽しさをもたらす存在として愛おしく見えてきます。
教職の楽しさは、それを乗り越えてからでないと見えてきません。だから、たぬき先生。登れない山だと感じて諦めるのも安全を選んだという人生ですし、乗り切って新しい景色に出合おうとするのもまた人生です。どうぞ、より豊かな人生を選んでいただきたいと思います。
みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。