中だるみの6月・11月・2月にぴったり! 学級の荒れを防ぐ具体的なチェックシート【ダウンロード可】
「魔の6月」「魔の11月」「魔の2月」という言葉があります。学期の中盤である6月・11月・2月は、子どもや教師の気がゆるみ、学級に荒れが見られるようになるからです。荒れの兆候を感じとるには、学校生活における「ていねいさ」と「切り替え」に注目することがポイントです。そこで今回は、子どもたちの具体的な行動を確認できるチェックシートを紹介します。
指導/大阪府公立小学校教諭・松下隼司
劇団俳優を経て、公立小学校の教壇へ。得意のダンス指導で日本一になったり、絵本作家にチャレンジしたりと、精力的な毎日を過ごす松下隼司先生。その教育観の底には、子どもも指導者も毎日楽しく、笑顔でありたいという願いがあるそうです。そんな松下先生から、笑顔のおすそわけをしてもらうコーナーです。
子どもにも使えるチェック表だから、効果てきめん♪
「魔の6月なんてない」
「魔の11月なんて、経験したことがない」
と言う先生も、中にはおられます。本当にすごい先生だと思います。尊敬します。うらやましいです。
だって、恋愛や結婚生活に例えるなら、「倦怠期がない」と言っているのと同じです。恋愛の達人です。理想のパートナーです。
でも私は、恋愛の達人でも、理想の夫でもありません。
そして、もちろんスペシャルティーチャーでもありません。
だから、学級担任として、これまで様々な中だるみによる荒れを経験してきました。
特に教師歴5年未満のときは、中だるみ、学級の荒れの予兆にも気づきませんでした。気づけないので、どんどん荒れが拡大、進行していきました。気づいたときは、すでに崩壊寸前だったこともありました。
今年度、教師になって21年目です。
荒れの予兆を、子どもたちの学校生活の「ていねいさ」と「切り替え」から見て取れるようになってきました。
ここでは、子どもたちの「ていねいさ」と「切り替え」の具体的な行動を紹介します。
教師がチェックするだけでなく、子どもたち自身も自分の行動を振り返ることができるチェックシートを作りました。
先生方のお役に立てれば嬉しいです。
【1】ていねい度チェック
体育の授業前、着替えがめちゃくちゃだと、友達の服と混ざってしまうことがあります。それが原因で、服が見当たらなくなることもあります。
「脱いだ服は、きちんとたたみなさい」と事後指導をするのでは、教師も子どもも気分はよくありません。トラブルが起きる前、荒れが出始める前にチェック表を使うことで、事前に「ていねいさ」についてざっと押さえることができます。
期末個人懇談会の資料に使うこともできます。「ていねいさ」という観点で、子どものがんばりや課題を具体的に保護者に伝えられます。
【2】切り替え度チェック
時間になったら気持ちを切り替えたり、場所によって行動を切り替えたりできるようになることは、自分だけでなく、まわりの人のためにも必要です。
学年が小さいほど、気持ちや行動を切り替えるのが苦手な子どもが多くいますが、うまく切り替えられなかったときより、落ち着いているときの方が指導が入りやすくなります。
「ていねい度チェック表」と合わせて、期末個人懇談会の資料に使うこともできます。「気持ちや行動の切り替え」という観点で、子どもの様子を具体的に保護者に伝えられます。
期末個人懇談会で、保護者に、
「うちの子、授業が始まったらちゃんと席に着いていますか?」
と質問されることがあるでしょう。そんな質問にも、資料を使って説明できます。
月ごとに記録を書かせると、子どもの変容や努力も保護者に伝えられます。保護者の安心感にもつながります。
ご自身の学校の事情や、子どもの実態、指導に合わせて、チェックシートをご活用ください。
拙著『むずかしい学級の空気をかえる 楽級経営』(東洋館出版社)からチェックシートを引用しています。よろしければそちらもご覧ください。
松下隼司(まつした じゅんじ)
大阪府公立小学校教諭。第4回全日本ダンス教育指導者指導技術コンクールで文部科学大臣賞、第69回(2020年度)読売教育賞 健康・体力づくり部門で優秀賞を受賞。さらに、日本最古の神社である大神神社短歌祭で額田王賞、プレゼンアワード2020で優秀賞を受賞するなど、様々なジャンルでの受賞歴がある。小劇場を中心に10年間の演劇活動をしていた経験も。著書に、『むずかしい学級の空気をかえる 楽級経営』(東洋館出版社)、絵本『ぼく、わたしのトリセツ』(アメージング出版)、絵本『せんせいって』(みらいパブリッシング)がある。
イラスト/したらみ 横井智美