平泳ぎってどうやって教えたらいいの?(手のかき編) 【使える知恵満載! ブラッシュアップ 体育授業 #29】
平泳ぎの指導について、前回は平泳ぎのけり(カエル足)を取り上げました。今回は平泳ぎの手のかき(ハート形プル)から、けりとかきのコンビネーションについて紹介します。
今回も一斉指導とペアでの相互のお手伝いで、確実に技能を身につけていきましょう。
執筆/筑波大学附属小学校教諭・齋藤直人
監修/筑波大学附属小学校教諭
体育授業研鑽会代表
筑波学校体育研究会理事・平川 譲
目次
1 手の動きを確認!
平泳ぎでは、しっかりと水を捉える手のかき(ハート型プル)を体で覚える必要があります。カエル足同様、はじめは陸上で、正しく手を動かせるようになることを目指しましょう。
①腕を伸ばす
両手をまっすぐ上に伸ばして、けのびの姿勢になります。
②ひじを曲げながら手を下ろしていく
手のひらを外側に向けて、ひじの力を抜いて、腕を下ろしていきます。
③ひじを曲げて、手を下げていく
ひじを曲げ、手を肩幅に広げてから手のひらを下に向けます。ひじが上に、指先が下になるように、手のひらからゆっくり下ろしていきます。
④両手をそろえる
脇をしめて、顔の下で手をそろえましょう。そこから腕を伸ばして、①のけのびの姿勢に戻ります。
2 ウォーキング平泳ぎ
水中を歩きながら手のかきの動きを練習します。それと同時に息つぎのタイミングも身につけさせるようにしましょう。
①歩きながら水をかく
体を前に倒して顔を水につけ、手のかきをしながら前方に歩きます。水の中では少しずつ息を吐き出しましょう。
②息つぎをする
手で水をかくタイミングに合わせて(両手を顔の下でそろえたとき)、顔を上げて「パッ!」と息を吐いて、呼吸しましょう。
3 手だけ平泳ぎ
水中で平泳ぎの手の動きを練習します。ビート板を太ももではさんで、カエル足は使わずに、かく力だけで水中を進めるようにしましょう。
①ビート板をはさむ
ビート板をひざと太ももではさみ、かべをけってスタートします。水の中に頭を入れ込み、きれいなけのびの姿勢をとります。ビート板は、背中側にはみ出るようにはさむと、下半身が浮きすぎるのを防げます。
②手をかき始める
前進が止まる前に手をかき始めます。
ひじがなるべく高い位置(水面の近く)になるようにします。手で逆さのハートを描くイメージで手を動かします。
③息つぎをする
両手を顔の下でそろえたときに、脇をしめて、顔を上げて「パッ!」と息を吐いて、呼吸します。その後、おでこから水に入るようにして、けのびの姿勢に戻ります。「のびて~、パッ! のびて~、パッ!」のリズムでタイミングをとります。
4 1キック・1ストローク平泳ぎ
ここまで練習してきたカエル足と手のかきを合わせて、平泳ぎの習得を目指します。動きのリズムを大切にしていきましょう。
①けのびからスタート
かべを強くけり、けのびでしっかり伸びてスタートします。
②「パッ!」と息つぎ
手で水をかいて、脇をしめて、顔を上げて「パッ!」と息を吐いて息つぎをすると同時に、足を曲げてカエル足の準備をします。
③「けって~」で伸びる
ゆっくりとしたリズムでけり、足をしっかり閉じてけのびの姿勢に戻ります。
※手と足を動かすタイミングがわからず、前に進まないことがあります。泳いでいる子の横で一緒に進みながら「けって~、パッ! けって~、パッ!」と声をかけましょう。
【参考文献】
平川譲、清水由、眞榮里耕太、齋藤直人(2016)『水泳指導のコツと授業アイデア』ナツメ社
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執筆
齋藤 直人
筑波大学附属小学校 教諭
筑波学校体育研究会 理事
1985年 山形県庄内町生まれ。「体の基本的な動きを身に付け、高めること」を目指した対話(声かけ、お手伝い)でつなぐ体育授業を研究。全国の子どもたちや先生方が、今よりほんの少しでも体育授業を好きになってもらえる方法を模索中。著書に『対話でつなぐ体育授業51』(東洋館出版社)等。
監修
平川 譲
筑波大学附属小学校 教諭
体育授業研鑽会 代表
筑波学校体育研究会 理事
1966年千葉県南房総市生まれ。楽しく力がつく、簡単・手軽な体育授業を研究。日本中の教師が簡単・手軽で成果が上がる授業を実践して、日本中の子どもが基礎的な運動技能を獲得して運動好きになるように研究を継続中。『体育授業に大切な3つの力』(東洋館出版社)等、著書多数。
イラスト/佐藤道子