「名前マグネット」自治的な学級をつくる12か月のアイデア#3
子供たちが主体的に学び合い、話合い活動を通して自分たちの力で問題を解決していく、そんな学級をめざしたいもの。この連載(月1回公開)では、『「日常アレンジ」大全』(明治図書出版)などの著書をもつ鈴木優太先生が、自治的な学級をつくるためのアイデアを紹介します。第3回は、「名前マグネット」を取り上げます。
執筆/宮城県公立小学校教諭・鈴木優太
目次
「名前マグネット」は「ミニホワイトボード」とセットで使おう
自らの成長が実感でき、学習意欲の高まりに効果があるのが「名前マグネット」です。
自分の名前(の書かれたマグネット)は自分で動かすことが大切です。そして、全員の学びの現在位置をひと目で確認することができます。達成状況を見合いながら子供たちの交流を促す点で、自治的な学級をつくるために重要な働きをするアイテムです。
ステージをクリアして、進む感じがうれしい!
自分や友達の名前が黒板に貼ってある、それだけでも授業への参加度が上がります。しかし、この「名前マグネット」を作成したのはいいけれど、授業の中ではあまり有効に使えていない学級が見られます。
その最たる原因は、黒板に直貼りしてしまっていることです。30人学級であれば30枚の「名前マグネット」を1枚1枚黒板に移動する作業が発生します。黒板に直貼りしてしまうと、準備や片付けが実はかなり大変なのです。
そこで、「名前マグネット」は、背面にマグネットが付いた「ミニホワイトボード」(100円ショップなどで購入できるもの)と「セット」で使うようにします。「ミニホワイトボード」から「ミニホワイトボード」へ移動させると、黒板への取り付けや取り外しが劇的に簡単になります。次の授業の準備も「ミニホワイトボード」を1枚移動するだけで済むからです。
「名前マグネット」は、色の異なる2枚を作ろう
「名前マグネット」は、名前のみ、3cm×5cmの大きさで、色の異なる2枚を作成しています。安価かつ簡単に作れる、子供の手になじむ大きさで、活用の汎用性が高い「2枚」を一度に作れる作り方を紹介します。
【作り方】
①マグネットシートを縦3cm×横5cmに裁断する
例:「マグタッチシートカット済み30mm×100mm×10片」を半分に切って使うのがおすすめ。
②名前ラベルを作る
例:24mmのラベルライターに、Excelの名簿から差込印刷(44mmで定長印刷)して学年全員分を一括作成する。子供たちが自分で手書きするのもよい。
③「色の異なる2枚」を作る
例:①の工程で色の異なる2種類のマグネットシートを裁断し、名前ラベルを貼る。
例:②の工程で色の異なる2種類の名前ラベルを作成し、マグネットシートに貼る。
「白」と「黄」や「赤」と「青」など、色の異なる2枚の「名前マグネット」を作ることがポイントです。例えば、課題1は「白」、課題2は「黄」など、1時間の授業の中で2つの課題を同時進行するなど、活用の幅が広がります。
予算が許すのであれば、両面で色が異なる「マグタッチシート両面カラー30mm×100mm×10片」を用いる(貼る、移動する以外にも、「ひっくり返す」ことができる)ことで、より立体的な活用が可能になります。
「運用コスト」を考えよう
「名前マグネット」は、話合いや役割分担などの学級活動でも重宝するため、自治的な学級づくりには欠かせないアイテムです。当番表などに固定(貼りっ放し)してしまっている学級は、実はとてももったいないです。「名前マグネット」は、子供たちの手で自由に動かしてこそ真価を発揮するアイテムだからです。
続けたことでしか子供たちの本物の力は育ちません。持続可能な実践を1日1日と積み重ねるためには、準備・片付けなどの手間が掛からないことが重要です。
「名前マグネット」と「ミニホワイトボード」は、アイテムとアイテムを組み合わせることで「運用コスト」が著しく小さくなる良例です。
「運用コスト」が小さい実践だからこそ、子供たち自身の手で運用することが容易になります。子供たちが自らの手でどんどん動かして、自治的な学級での体験を豊かに積み重ねましょう。
鈴木優太(すずき・ゆうた)●宮城県公立小学校教諭。1985年宮城県生まれ。「縁太(えんた)会」を主宰する。『教室ギア55』(東洋館出版社)、『日常アレンジ大全』(明治図書出版)など、著書多数。
参照/鈴木優太『教室ギア55』(東洋館出版社)、鈴木優太『「日常アレンジ」大全』(明治図書出版)
イラスト/木村旨邦、イラストAC
【鈴木優太先生 連載】
・子供同士をつなぐ1年生の特別活動(全12回)
・どの子も安心して学べる1年生の教室環境(全12回)
【鈴木優太先生 ご著書】
教室ギア55
「日常アレンジ」大全
学級づくり&授業づくりスキル レク&アイスブレイク