【相談募集中】職員室内の不和が日に日に悪化しています
異動してきた先生によって、職員室内の不和が日に日に悪化していると「みん教相談室」に相談が寄せられました。神奈川県公立学校教頭・鈴木夏來先生は、それは「混乱期」であるという可能性を挙げ、2つの対策を提案しました。その内容をシェアします。
目次
Q. ある教員によって職員室内の雰囲気が悪くなりました
職員室内の不和が日に日に悪化しています。今年度、他校から先生方が異動されてきました。以前いた学校は規律、制度などもしっかりしていたそうです。
その先生方は、本校のやり方が緩くて気に入らないみたいなのです。授業の仕方、規律の整え方、難しい児童への対応などについてです。その先生方が仰ることはごもっともだとは思います。しかし、その方は、不満を他の教員(かつて同じ職場にいた人たち)へ漏らすので、その先生から伝わった偏った考えが広まり、それに対して、元々在籍している本校の先生方の不満もふくれ上がっています。
私は3年目のペーペーなのでなにも言えませんが、陰でグチグチ言ってるのは腹が立ちます。かといって、言っていることは大正論なので、どうすれば良いのか本当にわかりません。管理職は見て見ぬふりです。なにか今後のアドバイスをいただけたら幸いです。(なっさん先生・20代女性)
A. 新しく形成された組織によくある「混乱期」かもしれません
ご相談いただき、ありがとうございます。
なっさん先生は、職員室内の不和について案じておられるのですね。陰でグチグチ言われているのを耳にすると、まるで自分が批判されているかのように感じますよね。不安になったり、腹が立ったり、傷ついたり。その批判がまた正論であるならば、なおさらどうすることもできませんよね。
私からはいくつか提案をさせていただきます。
1 混乱期ならば、静観してみる
なっさん先生は、職員室内の良い雰囲気について、どんな状態であることを想像しますか? 無関心で、無気力で、無批判な状態でしょうか。おそらく、そんなことはないと思います。
それが批判的な意見であれ、その意見が言える職員室は、ある意味自由だとも捉えることができます。健全な職場なのかもしれません。 一切の批判を許さなかったり、異論を封じたり、無批判に受け入れるばかりだったり、管理職の顔色ばかり伺っている職場は、逆に不健康だとも言えます。
授業の仕方・規律の整え方・難しい児童への接し方について、意見が出るということは、熱い思いを持つ先生が多くいらっしゃるのでしょう。そして、やり方が過激であれ急進的であれ、「現状を変えたい」と考えていらっしゃるのだと推測します。
新しく形成された組織やチームには、一定の時期を過ぎると、意見や主張がぶつかり合う時期が来ます。これは、タックマンモデルにおける「混乱期」と呼ばれています。意見のぶつかり合いがとっても大事なのです。
(ぜひ、「タックマンモデル」でインターネット検索してみてください。組織の成長段階についての詳しい説明や、具体的な対応策を知ることができます)
このぶつかり合いを経て初めて、考えが違っても共通の目的のために、お互いを尊重し合う雰囲気が生まれます。ひょっとすると、今の職員室はその時期なのかもしれません。だから、管理職も「見て見ぬふり」という見守りを続けているということも考えられます。
もしそうであるとしたら、いったいいつまで待てばいいのか……? 収まるまで待てば良いのです。
2 不祥事防止に繋げてみる
「いや、そうは言っても待っていられない」
「職員室での誰かの批判は、雰囲気が悪くなるので、自分には耐えられない」
と、先生がお考えならば、次のようなことを管理職や先輩に伝えてみるのはいかがでしょうか?
(例)児童が持ち込んだスマートフォンや、児童用のタブレット端末で職員室の話題が盗聴されたというニュースがありましたよね。万が一にも録音されたり、SNSにアップされたりしたら、大変なことになってしまいます。私はそこを心配しています。教職員一人一人を守るためにも、職員室で不満や愚痴を言うことは控えていただきたいと、管理職から声をかけていただけませんか?
管理職は不祥事防止に敏感です。方針が変わることも期待できるのではないでしょうか。
みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。