高学年女子からの個別相談でやってはいけないことって?

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小学生「思春期」のトリセツー高学年対応に自信が持てる!ー
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高学年の女子は、大人の女性へと成長していく途中にあり、心も体も大きく変化する時期です。思春期の子供たちのメンタルヘルスはとても大切。高学年の担任は、気持ちのコントロールが複雑になってくる女子の成長を把握し、上手な接し方を考えていきましょう。ここでは、「こころ」について解説します。

監修/東京都品川区保育課訪問相談員、東京都特別支援教室巡回相談心理士、学校心理士・上羽明子

高学年女子のこころ

高学年女子のこんな行動・言動に気を付けよう

個別に相談に来たときは

個別に相談に来たとき1
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指導ポイント

比較的、男子よりも我慢することが多い女子が相談にくるということは、当人にとっては大きな問題であると捉え、些細な内容でもよく話を聴き取ることが大切です。内容によって教師が介入する割合は違ってきますが、当人がどのようにしたいのか、自分で努力できる線はどこまでかを、話し合いながら解決策を考えていくとよいでしょう。

信頼回復の一手
すぐに対応できない場合や、約束を忘れて対応できなかった場合には、正直に謝り、話をする具体的な時間や場所を伝えましょう。

友達に目配せしたときは

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指導ポイント

言葉にならない表情や仕草に気付いても、面倒だからとスルーするのはよくありません。必ずエスカレートするからです。責めるのではなく、「何か言いたいことがあるのではないかと気になって」という思いやりの姿勢から対応するとよいでしょう。

休み時間にグループで話しているときは

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休み時間にグループで話しているとき2
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休み時間にグループで話しているとき4

指導ポイント

休み時間に遊ぶでもなくグループで集まっているときは、噂話や悪口を話していることが多いようです。噂話からもめごとに発展したり、排他的なグループ化が進んだりすることがあります。早めに声をかけておくとよいでしょう。

女子のグループ化をどうする?

原因
女子がグループ化になるのは、教室内の人間関係に不安を感じていることが多いようです。さらに、これまでに嫌な経験をしていることもあります。グループ化のすべてが悪いわけではなく、排他的でなければ、発達段階としてグループを作っていくことは成長の過程といえます。

方針
教師や友達は、失敗したり困ったりしたときには必ず助けてくれるという安心感を学級に育てておきます。多様なグループ活動を経験できるようにし、男女問わず誰とでも関われるよう、学校生活で育てるように心がけましょう。

具体策
常日頃から、どのようなことを推し進め、どのようなことは許さないのかなど「担任が大事にしていること」を、子供たちに具体的に話すようにします。授業の中で教え合い、助け合う活動を意図的に組み込んでいくことも大切です。

男女問わず、誰とでも関われる学級に育てよう!

「誰とでも楽しく」というテーマで学級活動を計画する

お化け屋敷イベント

例えば、お化け屋敷イベントは、誰とでも仲よくなるおすすめの活動です。ペアを組み、暗闇の教室の中、ダンボールで作ったお墓に花を置いてくるというミッションをクリアするというもので、「誰とでも楽しく」というテーマに沿った活動を子供たちが考えることがポイントです。

友達といっしょに学ぶって楽しい!

友達といっしょが楽しいと思える活動

授業の中で、誰とでも関われるように仕組むことが大切です。例えば、外国語活動では様々な友達とコミュニケーションしたり、体育では得意な子が苦手な子にアドバイスしたりなど、いっしょに学ぶことが楽しいと思える活動を工夫しましょう。

子供たち自身で、分析する
~アンケートで子供たちを把握しよう~

次のようなアンケートで、子供たちの気持ちを把握してはいかがでしょう。

子供たちのアンケート
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アンケートの結果、子供の意見が出てきました(抜粋)。

アンケート結果
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高学年女子への接し方ポイント

学級経営
得意なことは人のために傍楽き(働き)、苦手なことは助けてもらう学級を目指しましょう。潜在能力を見抜き、「*3つのき(期待し、機会を与え、鍛える)」で自主性を育て、「よいことはよい、悪いことは悪い」と示すことで、誰でもいつでもチャレンジできる安心で優しい風土ができます。
*昭和女子大学理事長 坂東眞理子氏の言葉

授業
グループ活動で教え合い、助け合い「ありがとう」の関わりを重ねれば、どの子も活躍できて問題行動を起こす暇がありません。「一人一人に学ぶ喜びを」を心がけ、一人一人への児童理解が肝です。

生き方指導
子供は教師の鏡です。女性教師は、「こんな風になりたい」と憧れてもらえるような生き方を心がけましょう。男性教師は分け隔てなく、一人一人に声をかけますが、スキンシップは要注意です。生き方と指導を一致させ、「どのように生きたいか」、自らの振る舞いを考える機会が女子を育てます。

取材・文/浅原孝子 イラスト/やひろきよみ

『教育技術 小五小六』2019年10月号より

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