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国語の「深い学び」とは-気付き、変容し、表現できているか

2019/10/24

「深い学び」とは何でしょうか? 新学習指導要領のキーワード「主体的・対話的で深い学び」の中でも、特にイメージしにくいのではないでしょうか。小三・小四の国語の授業を例に、「深い学び」をどのように捉えて授業に臨んでいるのか。秋田県横手市の国語のベテラン教諭 ・佐藤利美先生にお聞きしました。

プラスの変容=深い学び

私は単元の最初と最後で比較した時、その子にとって、プラスの変容が起こっている時、「深い学び」があったと捉えています。

例えば主題など、その単元を通して追究し、捉えさせたいことがあったとしましょう。その時、当初自力で考えていた時には、その周辺をさまよっている子がいたとします。

ところが友達と一緒に課題について考えたり、友達の考えと自分の考えを比較してみたりすることを通して、次第に主題に近付いていき、やがて自分の言葉で捉えられるようになっていく。その時、深い学びがあったと言えるのだと思います。もちろん教師が事前に、「ここまでできるようになってほしい」と考えていた、ねらいまで到達できれば理想的です。

しかし、そこまで到達していなかったとしても、その子なりに気付き、変容し、表現できるようになっていった時には、その子なりの深い学びがあったと言ってよいのだと思います。

表現力はまだ教師の期待するところまで育っていなかったとしても、子供たちの感じる力はすごいものです。時に予測しないような言葉で表現することもあります。その子供たちの実態を見とりながら、変容を生み出していくことが必要です。

そのようなプラスの変容を生み出すためには、教師の関わりが重要です。授業中、子供同士の交流だけで必ず深まるというわけではありません。 その時、子供の発言をきっかけにして、「それは本当にそうなの?」「どの文章(言葉)からそれが分かるの?」とゆさぶったり、切り返したり、問い返したりし、適切な課題を設定することを通して、それまでの見方・考え方を見直したり、それまでの見方・考え方でよいという確信をもったりする。そのような適切な教師の関わりが必要です。もちろん、それを行うためには、事前の教材研究が重要です。

子供は課題追究の過程で、読みを深める

3年の教材に「モチモチの木」という物語がありますが、おそらく単元の最初に、先生方は初発の感想を書かせるでしょう。その時、多くの子供たちは医者様を呼びに行った場面を捉え、「まめ太はじさまのために勇気を出したのがすごい」と感想を書くと思います。その一方で「まめ太はまた最後に臆病に戻ってしまったのがおもしろい」という感想を書く子がいるかもしれません。

私ならその時、主題にも関わる「勇気」という言葉を捉え、「どっちなんだろう」と問いかけ、課題として設定します。

もし臆病に戻ったという感想を書いた子がいなければ、「でもね、最後にまたじさまを起こしているけれど、まめ太は臆病に戻ったんじゃないのかな?」とゆさぶって課題にします。

そうすると、子供たちは課題を追究する過程で、ていねいに前後の文章を読みとりながら、「自分で自分を弱虫だと思うな」とか、「人間、やさしささえあれば…」というような主題に関わる叙述に触れながら、まめ太の変容やじさまとの関係を捉え直し、読みを深めることになるでしょう。

そのような、学習のねらいに沿った課題を子供の読みの実態をもとに設定をしていくために、教材研究をしておくわけです。

考えの相違を起点に深め合う子供たち
考えの相違を起点に深め合う子供たち

子供の読みに変容が起こるような、問いかけが大切

4年だと「ごんぎつね」という教材がありますが、この物語ではつぐないというところがとても大きいと思います。

初発の感想を見てみると、子供の中には一方的なごんのつぐないと捉えてしまう子も少なからずいます。もちろん、大人であれば、ごんのつぐないの中には、「兵十と一緒に…」という心情があることが読めるのですが、この学齢ではまだそのようには読みとれない子がいると思います。

そこで3年の事例同様、異なる考えがあれば、「どっちなんだろう」と投げかければよいし、「つぐない」の捉えが一面的であったとするならば、「つぐないだけなんだろうか?」とゆさぶっていけばよいと思います。前後の叙述を必ず読み直しながら、「つぐないだけじゃないんだな」「ごんと兵十は、一人ぼっちが共通するんだな」というところに気付き、読みを深めるはずです。

このように教材研究を基盤にし、子供たちの読みに変容が起こるような、課題(問い)を投げていくことが大切だと思います。

ごんぎつねの板書
ごんの思いは、つぐないだけではないことを読んでいった、授業の板書。
*クリックすると別ウィンドウで開きます

中学年では情意面も深めていきたい

中学年は「切なさ」のような感情が理解でき始める時期だと思います。例えば3年の段階では、「ちいちゃんのかげおくり」を読んで、「天国で会えてよかったね」と言う子が多く、「会えたのだけれども、命をなくした状況で会えた」のだという「切なさ」を読みとれることは少ないように思います。それでも適切な課題を設定し、次第に読めるようにしていきたいものです。

4年の「ごんぎつね」では、それをしっかりと読みとれる子も少しずつ増えてくると思いますし、それを読みとれるような授業を通して育てたいものです。

中学年では、国語の授業を通し、そのような情意面についても、深めていきたいものだと私は思っています。

取材・文/矢ノ浦勝之

『教育技術小三小四』2019年10月号より

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