「学級じまいのレクは人間コピー」自治的な学級をつくる12か月のアイデア#12
子供たちが主体的に学び合い、話合い活動を通して自分たちの力で問題を解決していく、そんな学級をめざしたいもの。この連載(月1回公開)では、『「日常アレンジ」大全』(明治図書出版)などの著書をもつ鈴木優太先生が、自治的な学級をつくるための授業や特別活動のアイデアを紹介します。第12回は、学級じまいで役立つレク「人間コピー」を取り上げます。
執筆/宮城県公立小学校教諭・鈴木優太
目次
「チームスクラッピング」も大切
学級開きの「チームビルディング」は力を入れて行うけれど、学級じまいの「チームスクラッピング」に力が入れられることはあまりありません。
しかし、学級集団としての「区切り」が、新たなステージへ進むために大切だと私は考えます。
学級開きで効果的な「チームビルディング」のレクが、学級じまいの「チームスクラッピング」にも役立つことに気付きました。新しいスタートを気持ちよく迎えるために、学級の「おしまい」を演出する、こんな活動はいかがですか?
一人一人のよさに気付くアクティビティ「人間コピー」
「人間コピー」は、グループで協力する活動を通して、一人一人のよさに気付くアクティビティです。
参照:著/日本学校グループワークトレーニング研究会、監修/坂野公信『改訂 学校グループワーク・トレーニング』(図書文化社)
「人間コピー」というゲームを行います。みなさんは、これから優秀なコピーマシーンに変身します。廊下に貼ってある絵を、各班1人ずつ交代で見に行きます。班のみんなで机の上の紙にそっくり同じように描きます。班の仲間との協力が大切です。
私は、振り返りカードを活動前に配付します。子供たちが見通しをもつためです。
活動の“後”に書く振り返りカードです。友達や自分のいいところを見つけられるように取り組みましょう。
【学級じまいでの「人間コピー」の進め方】
①4人班をつくる。
②廊下に貼ってあるお題の絵を、班の1人が見に行く。
③見てきた人はお題の絵を口頭で説明、3人でそっくりに書く(12分間)。
※手ぶらで何回も見に行ってOK。
子供たちは1人1本ずつえんぴつを出します。真っ白なA3用紙を班に1枚ずつ配付。準備ができたら、タイマーをスタートします。
「学級じまいのメッセージ」をお題の絵に盛り込もう
学級じまいで「人間コピー」行うときのポイントは、お題の絵の中に「学級じまいのメッセージ」を盛り込むことです。
この年は、「3年2組を超えよ! すてきな4年〇組をみんなでつくろう!」というメッセージを忍ばせました。
きっと、1年間育ててきた学級目標に込めた願いを体現するような子供たちの姿が見られることでしょう。学級目標を、飾り物にしていてはもったいないです。学級じまいでは、『学級目標降下の儀』【子供同士をつなぐ1年生の特別活動】⑫もおすすめです。併せてご参照ください。
活動中に、子供たちは「学級じまいのメッセージ」と「学級目標」を何度も目にし、何度も口にします。ワクワクドキドキの「体験の真っただ中」というのが、子供たちにとってインパクトが大きいのです。
私は、何人かの子供たちが描いた絵をコラージュして実施しました。お題の絵を子供が描く場合は、絵の作成から「人間コピー」実施までの期間を空けるとネタバレ防止になります。
答え合わせはあっさり、大切なのは振り返り
12分間のタイマーが鳴ったら、書き上げた作品を黒板に貼り出します。絵の出来上がりの正確さよりも、活動の振り返りが大切です。答え合わせはあっさり、元の絵を見るくらいにとどめます。どの班もよく描けていることを称え合いましょう。
活動前に配付していた振り返りシートを机の中から取り出して、記入します。
【振り返りの進め方】
①自分も含めて1人ずつ名前が入るように書く。
・いい意見を出してくれた人は?・・・・・・( )さん
・みんなの意見をまとめてくれた人は?・・・( )さん
・よく絵を見てきてくれた人は?・・・・・( )さん
・順番をゆずってくれた人は?・・・・・・・( )さん
②全員の意見を聴き合う。
③グループ全員で話し合って決める。
・いい意見を出してくれた人は?・・・・・・( )さん
・みんなの意見をまとめてくれた人は?・・・( )さん
・よく絵を見てきてくれた人は?・・・・・( )さん
・順番をゆずってくれた人は?・・・・・・・( )さん
④振り返りを記述する。
次のようなやりとりや振り返りの記述が見られました。
「このゲームをやると全員活躍できるのがとてもいい。」
「学級目標に近づきました。」
「次の学年でもみんなよろしく。」
「協力は大切だしこれからの人生でも使っていくことなので、これからもたくさん協力したいです。」
「また、思い出ができました。」
「人間コピー」は、学級開きや運動会や宿泊学習の行事前などの「チームビルディング」で取り組むのが定石でした。しかし、このように学級じまいの「チームスクラッピング」のタイミングで行うのも効果的です。ワクワクドキドキの「体験の真っただ中」に、子供たちのマインドは形づくられていきます。
いいクラスになったな。よし、4月から、もっといいクラスにするぞ!
子供たちにとっても教師にとっても思い出を胸にしまいつつ、依存してしまう過去になってしまってはいけません。
「いい始まり」につながる「いい終わり」が必要です。
活動の中に「学級じまいのメッセージ」を盛り込む演出で、最後の最後まで子供たちと温かい体験をたっぷりとしてください。
このようなレクのアレンジのコツをまとめた本が拙著『学級づくり&授業づくりスキル レク&アイスブレイク』(明治図書出版)です。ぜひ、活用してください。
鈴木優太(すずき・ゆうた)●宮城県公立小学校教諭。1985年宮城県生まれ。「縁太(えんた)会」を主宰する。『教室ギア55』(東洋館出版社)、『「日常アレンジ」大全』(明治図書出版)など、著書多数。
参照/鈴木優太『教室ギア55』(東洋館出版社)、鈴木優太『「日常アレンジ」大全』(明治図書出版)、多賀一郎監修、鈴木優太編、チーム・ロケットスタート著『学級づくり&授業づくりスキル レク&アイスブレイク』(明治図書出版)
イラスト/高橋正輝
【鈴木優太先生 連載】
・子供同士をつなぐ1年生の特別活動(全12回)
・どの子も安心して学べる1年生の教室環境(全12回)
【鈴木優太先生 ご著書】
教室ギア55
「日常アレンジ」大全
学級づくり&授業づくりスキル レク&アイスブレイク