「家庭学習ラベル」で家庭学習の確認・返却が劇的に速くなる|自治的な学級をつくる12か月のアイデア#2

連載
自治的な学級をつくる12か月のアイデア

宮城県公立小学校教諭

鈴木優太
連載「自治的な学級をつくる12か月のアイデア」執筆/鈴木優太

子供たちが主体的に学び合い、話合い活動を通して自分たちの力で問題を解決していく、そんな学級をめざしたいもの。この連載(月1回公開)では、『「日常アレンジ」大全』(明治図書出版)などの著書をもつ鈴木優太先生が、自治的な学級をつくるための授業や特別活動のアイデアを紹介します。第2回は、「家庭学習ラベル」です。

執筆/宮城県公立小学校教諭・鈴木優太

「家庭学習ラベル」で、家庭学習の確認・返却が劇的に速くなる

家庭学習は、提出されたものから次々に丸付けや押印をします。

ある程度の冊数を見終えたら、ノートや家庭学習カードの右上に貼った「家庭学習ラベル」(詳しくは後述)の「色」を確認します。

同じ色が5人分揃ったものから「くばるものコーナー」(参照:ありがとうが飛び交う教室へ『ありがとうばん』)に置いて返却します。

家庭学習ラベルが貼られたノート。
「家庭学習ラベル」が貼られたノート。黄色のラベルだけが4冊で、12番が未提出なことが一目で分かる。

5人分揃っていない色だけ「番号」を確認します

例えば、写真の場合、黄色は4冊なので、番号を確認すると「12番」が提出されていないことが分かります。必要な場合は、個別にそっと声かけをします。

このような手順にすると、教師の家庭学習の返却までのスピードが劇的に速くなります。私は朝のうちに全員分を確認し、返却までしてしまいます。1日の中で家庭学習チェックの時間を工面することに労力を使うことがなくなると、授業に安定してエネルギーを注げるようになりました。

こうした仕組みと利点を子供たちに丁寧に説明をします。そして、「家庭学習ラベル」は、子供が「自分で貼る」&「自分で貼り直す」ことを大切にしています

子供たちの「自立のための家庭学習」と考えるからです。これが、提出の習慣化に効果的です。

「自分で貼る」&「自分で貼り直す」ことがポイント

「家庭学習ラベル」は、ビニールテープを4cmに切って出席番号を書いたものです。

他のテープやラベル類も試したのですが、貼り直すことができて丈夫、どの学校にも必ずあることからビニールテープが最適と考えます。

5人ずつ「色」を変えます。

1〜5…赤
6〜10…青
11〜15…黄
16〜20…緑
21〜25…桃
26〜30…紺 など

少しだけビニールテープを重ねることで、カッターマットから各自の保管用のクリアファイルへの貼り替えが格段に高速化する。
「家庭学習ラベル」作成時の裏技。ビニールテープを少しだけ重ねてから切ると、まとめて移動できるため、各自のクリアファイルへの保管が楽になる。

作成時は、写真のように少しだけビニールテープを重ねておいて切ることで、カッターマットから各自の保管用のクリアファイルへの貼り替えが格段に高速化します。

教師がまとめて作り貯めしておいてもかまいませんし、係の子が作るのもよいでしょう。

子供たちは、各自のクリアファイル(お便り入れや連絡帳袋など)に20枚ほど貼って保管します。番号はネームペンで自分で書くことにしてもよいでしょう。新しいノートなどに更新したときに、ここから自分で貼り替えます。

「家庭学習ラベル」は、20枚ほど作成し、各自のクリアファイルに貼っておく。新しいノートなどに更新したときに、ここから自分で貼り替える。
作成した「家庭学習ラベル」は、各自のクリアファイルに20枚ほど貼っておく。新しいノートに更新したときなどに、ここから自分で貼り替える。

「右上」に貼るのは、確認のしやすさのためのルールです。提出の時には、向きを揃えるルールもとても大切です。これらのルールは、学習の取組を見守る先生への思いやりであることも伝えます。

家庭学習ラベルに貼られたノートと音読カード。1色につき5人分揃っているのが一目瞭然。教師が確認したあとは「くばるものコーナー」に置いておく。気付いた人が配るのが鈴木学級のルールだ。
家庭学習ラベルが貼られたノートと音読カード。1色につき5人分揃っているのが一目瞭然だ。教師が確認したあと、「くばるものコーナー」に置いておき、気付いた人が配るのが鈴木学級のルール。各自への返却が劇的に速くなる。

「家庭学習ラベル」はとても便利なので、あらゆる物に貼りたくなります。しかし、私はそうはしていません。あくまでも、家庭学習に限定して運用しています。それは、「家庭学習ラベル」を貼ったものが家庭学習! と印象付くからです。

そのために、「自分で貼る」&「自分で貼り直す」という営みをとても大切にしています。こうすることで、提出忘れの子が激減します。

家庭学習は「マグネットクリップ」で掲示しよう

「開いたまま」でもノートの提出者の確認を素早く行える方法があります。

「マジックペン」と「家庭学習ラベル」の合わせ技です。

ラベルの貼られたノートの「上部」をラベルと同じ色の水性マジックペンで塗っておくのです。すると、ノートを開いた状態のままでも、同じ色5人分揃ったものは提出完了と一目で分かります。ノートを閉じて背表紙に貼ったラベルを確認して、ノートをまた開き直す、という手間がいりません。

家庭学習したページを「開いたまま」ノートを提出することで、確認を速く行える。
開いたまま提出された家庭学習ノート。ノート上部を家庭学習ラベルと同じ色の水性ペンで塗っておくと、提出者がすぐに分かる。

そして、子供たちが一生懸命に取り組んだノートを、教室に貼り出しましょう。コピーをとったり、デジタルカメラで撮影したものを印刷したりする学級もあるでしょう。しかし、教師の手間がかかると継続が難しくなり、掲示の旬を逃してしまうこともあります。

そこで、「マグネットクリップ」を活用します。すると、書き立てのノートを子供たちが「自分の手」で貼り出すことができます。「感化を促す実物掲示のアイデア」や、拙著『教室ギア55』(東洋館出版社)、『日常アレンジ大全』(明治図書出版)に詳細をまとめているので、ぜひ参照ください。

先生だけがノートをチェックをするのではなく、教室の仲間と互いに見合うことで、学び合いや感化が促されます。家庭学習ノートを黒板に「貼って提出」することだってできます。

マグネットクリップを使って教室の後方に、家庭学習ノートをそのまま掲示。子供たちが互いのノートを見合うことで、学び合いや感化が促される。
マグネットクリップを使って教室に、家庭学習ノートをそのまま掲示。子供たちが互いのノートを見合うことで、学び合いや感化が促される。

教師が内容を決める宿題ではなく、子供たちが内容を決める自主学習に取り組んでいる学級があります。また、クラウドやデジタルドリルが学校現場に導入され、家庭学習でも活用され始めています。そうは言っても、漢字ノート、計算スキル、音読カードなどを家庭学習として取り入れている学校や学年も多いのではないでしょうか。

今回紹介した「家庭学習ラベル」が、子供たちの「自立のための家庭学習」の一助になるならば幸いです。


鈴木優太(すずき・ゆうた)●宮城県公立小学校教諭。1985年宮城県生まれ。「縁太(えんた)会」を主宰する。『教室ギア55』(東洋館出版社)、『日常アレンジ大全』(明治図書出版)など、著書多数。

参照/鈴木優太『教室ギア55』(東洋館出版社)、鈴木優太『「日常アレンジ」大全』(明治図書出版)

【鈴木優太先生 連載】
子供同士をつなぐ1年生の特別活動(全12回)
どの子も安心して学べる1年生の教室環境(全12回)

【鈴木優太先生 ご著書】
教室ギア55
「日常アレンジ」大全
学級づくり&授業づくりスキル レク&アイスブレイク

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