卒業式・6送会など、担任に必須なスピーチ力を鍛えよう 〜卒業に関する、スピーチスキルあれこれ

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マスターヨーダの喫茶室~楽しい教職サポートルーム~
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卒業特集ー6担初心者もこれで安心!ー 
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元山形県公立学校教頭

山田隆弘

これからの時期は、卒業関連行事が目白押しです。6年生の児童を輝かせるためにどんな心構えの事前指導が必要でしょうか。その場しのぎではいけません。何をどう話すか、ポイントをとらえておきたいです。スピーチ力を高め、感動的なものになるようにしていきたいです。また、保護者さんの前でのスピーチ力も鍛えたいですね。

【連載】マスターヨーダの喫茶室~楽しい教職サポートルーム~

1 スピーチ力を鍛えよう

学級づくりが上手だな、児童としっくり行っているな、と思えるせんせいは、スピーチが上手です。指導の言葉が児童にすんなり入ります。一朝一夕ではいかないので、伝わるにはどうするか、スピードや間の取り方、明瞭な発音、滑舌などを鍛えておきたいです。もちろんアドリブ力やパフォーマンス力も必要です。そして、卒業生の担任は、大人向けのスピーチも磨きをかける必要があります。忙しい時期ですが、早めにどんな場でどんなスピーチが必要かを洗い出しましょう。だいたいの話す内容やポイントをおさえておき、当日アレンジできるようにしたいですね。いずれにしても付け焼き刃ではできません。本気で取り組むのであれば、録音機器でスピーチを録音したり、家族の前でスピーチ練習をしたりするのもいいですね。しっかり事前準備をしたいものです。

2 卒業関連スピーチ力を鍛えよう

6年生を送る会(6年生に感謝する会)に向けてのスピーチ

ポイント1 学校の活動では、全校生の前で見せる最後の姿であることを伝えます

ポイント2  特に6年生は1年生との関わりが深いので、1年生へのメッセージやパフォーマンスを!

ポイント3   在校生へ残す言葉、特に5年生に向けて、何をどう伝えるかを考えさせたいです


一か月後に、「6年生を送る会」が開かれますね。5年生のとき、みなさんは送る側の代表として、さまざまなことを企画してがんばりましたね。この会はあなたたちが全校生の前で見せる集大成です。立派ないい姿を見せたいですね。
下級生の子たちは、みなさんにいろいろ感謝のメッセージをくれると思いますが、特に1年生は大事だね。4月に、1年生の教室に行って、たくさんのことを教えてあげましたね。1年生は6年生のお兄さんお姉さんを慕ってくれて可愛かったですね。最後に、この子たちと握手やハグをするのもいいかもしれないね。
また、 学年に応じてなにか返事を考えてみてはどうかな。あとは、5年生に何を託すかですね。自分たちの思いをしっかり伝えたいです。みなさんのこの学校への思いをたくさん出してみてほしい。それを何かのカタチにしてみてはどうかな。歌でもいいし、メッセージでもいいし、画像や動画の編集でもいいし、歌でもダンスでもいいし何ができるか考えてみましょう。

卒業証書授与式の朝

ポイント1 緊張を解きほぐしてあげましょう
(自分も緊張しているとは絶対言わないように…)

ポイント2 準備万端整えたことに自信をもたせましょう

ポイント3 何かあってもお説教はなし、スマイルでいきましょう

卒業証書授与式に臨む児童の姿は全国的にさまざまあるようです。私服のちょっとおしゃれなもの、レンタルでの羽織袴、制服がある学校はそのまま制服で胸章リボンなどをつけてでしょうが、わたしの居住地はなぜか、進学する中学校の制服を着ることになっています。いずれにしてもいつもと違う服装です。輝いてみえます。


みなさんが登校してくる姿をみていると、一段と大人になった感じがします。今日はお日様もみなさんの卒業をお祝いするかのように柔らかな日差しを届けてくれています。
(天候が悪いときは…天候が悪い中、元気に登校してくれてありがとう。みなさんの晴れ晴れとした笑顔で、悪天候も吹き飛ばしてやりましょう!等)
今日は保護者の皆さんやお客様もいらっしゃってちょっと緊張気味だと思いますが、こういった緊張というものは、大切な儀式にふさわしいものです。めったにない機会なので、ぜひ緊張を楽しんでほしいな。式の作法は練習したとおりにやってくれればいいのです。間違えてもだいじょうぶです!
6年間の毎日を思い出したりやこの校舎や友だちの別れなどをかみしめながら今日一日を思い出に残る日にしたいですね。せんせいはみんなと別れるのが寂しくて、昨日の夜から泣いています。でも、笑顔、笑顔、超スマイルでいきます。

卒業証書授与式前日 教職員へのスピーチ

ポイント1 今日まで6年生に関わっていただいたことへの感謝を示します

ポイント2 卒業する児童への思いや成長の姿に触れます

ポイント3 式場設営、式の準備に関わってのそれぞれの立場からの支援に感謝の意を伝えます


本日は、明日の式の準備をしていただきありがとうございます。いつもの教室が卒業へむけてのデコレーションとなり、いよいよだなという感をもちました。思えば、この卒業する児童たちと出会ったのは○年前でした。とてもやんちゃな子が多く、悩みはつきませんでしたが、人と関わってぶつかって、そしてつながっていくというこの成長の過程を一緒に歩むことができたことはほんとうに貴重な経験だったと思います。この子たちとはこれからもつながっていけるような気がします。これも多くのせんせい方のご支援があってのことと感謝しています。明日はいろいろなアクシデントがあるかもしれませんが、どうぞ大目にみていただき、児童の門出をお祝いしていただければうれしいです。それでは明日、どうぞよろしくお願いいたします。

卒業証書授与式終了後 最後のメッセージ

ポイント1 晴れがましい立派な式になったことをほめたいです

ポイント1 一つだけでいいので「贈ることば」をいれましょう

ポイント3 卒業できたことはおうちの人、友だち、校舎、多くのせんせい、すべてのもののおかげだという感謝の気持ちをもたせましょう


見事だった! 感動した! 立派だった! みなさんとのお付き合いは○年間でしたが、ほんとうに意義深い日々でした。せんせいは未熟でなかなかみなさんとうまく接することができなかったし、うまく育てていくことができなかったかもしれない。ごめんね。でも一生懸命接したし、キミたちもがっちり向き合ってくれたことは間違いのない事実です。楽しいことも辛いこともたくさんあったけど、今では楽しいことやみなさんの笑顔しか覚えていない! 最後に皆さんに贈りたい言葉があります。せんせいの大好きな、さだまさしさんの言葉があります。せんせいは、この言葉がとても好きです。
「小さな物語でも 自分の人生の中では 誰もがみな主人公」
「私の人生の中ではわたしが主人公だと」
というものです。人生は誰のものでもない、自分だけのものです。優しく接してつながりながら自分の物語をつくっていってほしいです。みんな一人ひとりが主人公なんですよ。
卒業おめでとう!

わたしは、軽くBGMを流してスピーチをしてきました。この言葉を歌っている曲「主人公」もいいですし、井上陽水さんの「結詞(むすびことば)」や「少年時代」も大変な名曲で、スピーチBGMとして秀逸です。

児童へのプレゼントとして、絵の上手なせんせいは似顔絵などを。写真の好きなせんせいはミニフォトブック、書の上手なせんせいは、短冊に字を書いて渡すことがあります。わたしは、下手くそでも自筆でこういったお気に入りの言葉を書き、プレゼントしていました。
また、かつては住所を書いた封筒を渡し、辛くなったら手紙を書きなさい、という実践もしました。今では個人情報保護の問題から難しくなってきていますが、こういったプレゼントもいいですね。ともあれ、準備期間が必要です。しっかり当日に備えたいです。

保護者の前で(祝賀会・謝恩会)

ポイント1 改まった場所でも、リラックスした場所でも季節感は出したいです

ポイント2 保護者をはじめすべてのことに感謝するという気持ちをいれたいです

ポイント3 長い話は禁物です

 ょっとフォーマルなバージョン
早春のうららかな日差しのこの季節、いよいよ旅立つことになった教え子たちです。本日は立派に卒業証書を受け取ってくれました。この度はご子息様のご卒業おめでとうございます。光陰矢のごとしと言われるように、小さな体で大きなランドセルを一生懸命背負って校門をくぐった日から6年、ランドセルはすっかり体に馴染み、軽々と背負えるものになってきました。中学校では真新しい制服に身を包み、希望をいっぱい詰め込んだ新しいカバンで元気に登校してくれるものと思います。
本日は、このようにわたしたちのために、お心のこもった会を開催してくださいまして、本当にありがとうございます。
わたしたちは、子どもたちとともに歩み、泣き笑い、同じものを見て感激し、子どもたちの成長する姿にいつも感動させていただいておりましたので、むしろわたしたちが教員として成長させていただいたと感謝しています。
これも、子どもたちを送り出す温かい御家庭、保護者の皆様のおかげであり、いつも愛情を注いでくださったからこそです。
保護者の皆様、6年間、本学年、学級に御協力賜り本当にありがとうございました。
お子さま方の健やかなご成長をお祈りしてあいさつとさせていただきます。

 ちょっとくだけた、そして泣かせるバージョン
桜が咲くとお別れだなと思っていましたが、とうとうその季節がやってきました。保護者の皆様、本日は皆様のお気持ちのあふれる会にお招きいただきありがとうございます。本日の卒業証書授与式での、子どもたちの態度は見事でした。とても見違えるようでした。一挙一動が力強く、練習の時のロボットのようなぎこちなさがまったくなかったです。お家でもかなり練習にお付き合いいただいたのではないかと思います。
子どもたちが在校中は、何度も「このせんせいだいじょうぶかな」「このせんせいにまかせていいのかな」と疑問をもたれたことでしょう。わたしもちょっとそう思います。でも、毎日精一杯努めさせていただきました。全力でお子さまの成長を支援したつもりです。これがわたしのすべてです。いたらないことが多々あったと思います。どうぞ力のなさをお許しください。
わたしはこの子たちと、これから一生お付き合いさせていただきたいと思います。苦しいとき、悲しくなった時、子どもたち、どうぞわたしを訪ねてきてください。全力で悩みを聴きたいです。そして、子どもたち、うれしい時、お祝いの時などどうぞわたしに姿を見せてください。全力でお祝いします。
この○年間、こんなわたしにお子さま方をお預けいただき、本当にありがとうございました。健やかな成長と幸せを心から祈っています。

原稿を手元に置き、淀みなく正確に読む人も多いですが、やはり相手の目を、顔を見渡しながら、ノー原稿で話す方が、聞き手もよく聞いてくれます。
代表児童のスピーチも、原稿を丸暗記して思い出しながら話すのではなく、何度も練習して、間をとり感情を込めるようにしながら話すと、より心に響くものになります。こういった事前指導も必要ですね。まずは、担任自らのノー原稿スピーチ力を鍛えていきたいです。

【参考図書】
井澤忠夫『心にひびく意義のあるSpeech入学・卒業式のスピーチ』(大泉書店)
佐藤允彦『心に響く入学式・卒業式のスピーチ』(大泉書店)
鳥谷朝代『心に残る入学式・卒業式のあいさつ』(日本文芸社)
『教育技術小5小6 2020年2月号』(小学館)
さだまさし『さだのはなし』(自由国民社)

イラスト/したらみ


  こんな問題を抱えているよこんな悩みがあるよ、と言う方のメッセージをお待ちしています!

その他にも、マスターヨーダに是非聞いてみたい質問やアドバイス、応援メッセージも大募集しています! マスターはすべての書き込みに目を通してますよ!


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山田隆弘先生

山田隆弘(ようだたかひろ)
1960年生まれ。姓は、珍しい読み方で「ようだ」と読みます。この呼び名は人名辞典などにもきちんと載っています。名前だけで目立ってしまいます。
公立小学校で37年間教職につき、管理職なども務め退職した後、再任用教職員として、教科指導、教育相談、初任者指導などにあたっています。
現職教員時代は、民間教育サークルでたくさんの人と出会い、さまざまな分野を学びました。
また、現職研修で大学院で教育経営学を学び、学級経営論や校内研究論などをまとめたり、教育月刊誌などで授業実践を発表したりしてきました。
『楽しく教員を続けていく』ということをライフワークにしています。
ここ数年ボランティアで、教員採用試験や管理職選考試験に挑む人たちを支援しています。興味のあるものが多岐にわたり、さまざまな資格にも挑戦しているところです。

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