【新採先生へ】自分の教育観を作るための学びとは

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新採教員として生活を始めたみなさん、学校の環境にも慣れてきたら、自分自身の教育観を作り、教員としてのステップアップを目指していきましょう。オーソドックスな視点を大切にした上で、先生として成長するための学びのポイントをアドバイスします。

執筆/岡山県公立小学校・南 惠介

新規採用 教室環境の確認
他の先生方の教室を覗いてみよう

その1:周囲から学ぶ

成長するために最も大切にするべきことは、周囲の先生から学ぶということです。

まずは、その学校の文化を理解しつつ、そこに根ざした教育を進めている、「職員室の先生」から多くの情報を得るようにしましょう。

「周囲から学ぶ」とは、具体的にどうすればよいのでしょうか。具体的には次の二つです。

○ 職員室の先生に聞くこと
○ 教室を覗くこと 

まず、職員室の先生方は「あなた」のことをよく知っています。だからこそ、あなたに合った方法を考えてくれます。

また「聞く」ことで、人間関係がつくられていきます。

じつは、初任者に気を配っている先生方は案外多いのですが、その一方で、なかなか声をかけづらいと考えている先生も多くいます。「お忙しいのにすみません」と一声かけて、ぜひ教えを請いましょう。

次に「教室を覗くこと」について述べます。

初任者ということで、授業を見せてもらうことは多いと思います。しかし、それ以上に、自分からこの先生の授業が見たいと声をかけ、一つでも多くの授業を見せてもらうことは非常に有益です。

そして、授業だけでなく、放課後にいろいろな教室の様子を見に行くのも勉強になります。

掲示、机の配置、小物の使い方、整理整頓の仕方などを見ていくことで、教室環境のつくり方を学ぶ機会となるだけでなく、学級経営や授業づくりも間接的に学ぶことにつながります。

その2:書籍や校外の研修で学ぶ

今の学級の課題や皆さんの興味や必要感に応じて、校内の研修が進むことはまずありません。その時々で必要なことや、興味があることは自分からどんどん学んでいきましょう。そのためには、本を読むことが一番適しているように思います。

また、校外の研修にも参加してみましょう。

著作を持つ先生方の中には、官製研修や民間のセミナーなどで講座を持つなど、実際に話を聞くことができる人も少なからずいます。また、それほど有名ではなくても、実力があり、話が上手な先生方もたくさんいます。

その3:子どもから学ぶ

教師自身を伸ばしていくために一番大切で、そして一番難しいことは、やはり「子どもから学ぶ」ということでしょう。

子どものその時の表情や行動の表面から学ぶことは、本当に多いものです。

特に先生を困らせる子、学習が苦手な子。そのような子を表面だけでなく背景も含めて、「見取ろう」とし、そのために自分は何ができるかを考えることで、本当に力のある教師に成長していくと思います。

新規採用 子どもから学ぶ

これは一朝一夕にはいきませんが、今から意識して教室で過ごすことで、いろいろなことが見え、そして手立てを打つことができる教師に成長していきます。

その4:教育観をつくる

誰と一緒にいる時間が長いかは、実は大きな問題です。

この時期に「この先輩すごいな」「こういう先生になりたいな」と思える先生を見つけ、できるだけ一緒にいて、話をしたり、仕事の仕方を見たりするとよいでしょう。

そういう先生に限って多くの仕事を抱えて、非常に忙しそうにしています。しかし、だからこそ声をかけ教えを請う。いや、同じ空気感を感じることですら価値があるのだと思います。

新規採用 教育観をつくる

自分に関わろうとしてくれる先生も大切にしつつ、しかし、それ以上にモデルとなる先生に食いついていくことは、後の教師人生に大きな影響を与えます。

それは現段階のあなたが、「現場でどういう先生になりたいか」ということが、「教育観を選んでいる」ことに他ならないからです。

もう一つ付け加えると、書籍やネットなどの実践やネタの裏側には、「どういう先生か」イコール「どういう教育観か」が潜んでいます。

良いアドバイス、実践やネタでも「自分に合わないな」と思えば、それは「しない」という選択をするのが、じつは正解だと思います。

ただ、年齢やキャリア、生活の変化に応じて「教育観」は変わっていきます。いろいろな先生の考え方を尊重しつつ、柔軟に多くの考えに触れながら学んでいくとよいでしょう。

おわりに

最後になりましたが、若い時期の「先生」って、やっぱり特別です。周囲のアドバイスも大切にしつつ、あなたらしさも大切にしてください。そして、子どもたちにとって「お姉さん先生」「お兄さん先生」であることを存分に楽しみつつ、皆さんが子どもと一緒に成長していかれることを願っています。 

イラスト/バーヴ岩下

『教育技術 小一小二』2019年9月号より

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