卒業式アイデア|未来への思いをつなぐ「学校PR動画」制作

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6年間お世話になった学校に卒業生として何ができるのか。子供たちから生まれたアイデアが「学校PR動画」の制作だったそうです。この大胆な思いつきを形にして、記録と記憶に残すことに成功した先輩教諭のアイデアをご紹介します。

鳥取県公立小学校教諭・河崎美華

学校へ恩返しをしたいという思いが、学校PR動画制作に結実した

この実践は前任校である郡家東小学校(以下、東小)で好評を得たアイデアです。6年生はこれまでお世話になった東小のために何か恩返しできないかと考えました。その結果、下級生、就学予定の未来の子供たち、保護者、地域の方などに向けて、学校の魅力を伝える学校PR動画を制作することを決めました。

なぜ6年生はこんなアイデアを思いついたのでしょうか。その動機は、動画に盛り込む内容を検討した学級会の提案理由に書かれていました。

「東小で過ごす時間もあと少しとなりました。 いろいろな経験を通して、自分たちは成長できたし、みんなと出会えたこの東小は自まんの学校です」

子供たちは別離が名残惜しく、自分たちのクラスでもっと何かがしたかったようです。

スライドショー形式の動画は、10時間あれば作成できる

この動画はスライドショーを流す形式のものです。 写真があれば作ることができるので、「10時間あればできます」 と河崎教諭。卒業までのカウントダウンが始まった年明けの時期からでも、十分実施可能とのこと。その制作の条件と手順は次のようになります。

スラードショー形式の動画を制作

制作条件(事前に決まっていること)

  • 3分間の動画にする
  • 動画は「始め、中、終わり」で構成する
  • ナレーションは入れない

制作手順

  1. 事前に全校児童に「東小の好きなところ ベスト1」のアンケート調査を実施する (休み時間)。
  2. ウェビングマップに学校の魅力を書き出し、大きな魅力を抽出する(1時間)。
  3. 自分たちが思う学校の魅力とアンケート結果をもとに、学級会で動画に盛り込む内容を決める(1時間)。
  4. ICT支援員の協力を仰ぎ、動画制作のやり方を指導してもらう (1時間)。
  5. PR動画の手本として地元の観光協会が制作した動画を見てから、使用する写真を選び、絵コンテを作る(2時間)。
  6. パワーポイントを使い、写真を並べる (2時間)。
  7. タイトル画面制作やBGMを入れるなどの作業(2時間)。
  8. 完成に向けて整える (1時間)。
ウェビングマップに学校の魅力を書き出し、大きな魅力を抽出する

制作には、国語、図工、総合的な学習の時間などの時間を使い、進行の打ち合わせは休み時間などを利用しました。 ナレーションについては、制作に時間がかかることから、入れないことにしました。

動画には、東小の魅力として縦割り班活動、学級会、集会活動の3つを盛り込むことになり、担当グループに分かれて作業を行いました。

1年生は目を輝かせて「6年生、すごーい」と

この動画制作を通して、どこが学校の魅力かをうまく言葉に表せなかった子供たちが、別のグループのスライドを見て、自分たちの学校のよさを再認識する光景が見られました。また、動画を見た1年生が「6年生はすごー い」と歓声を上げました。「6年生はこれまで以上に学校のことを好きになり、誇りをもって卒業に向かうことができました」と河崎教諭は話しました。

ここが活動のポイント
タブレット端末で作業を行うので、制作進度をそろえることがポイント。グループごとにどこまで進んだかを逐一報告させ、担任が制作進度を把握するとともに、子供たちは現状のスライドを見せ合い、互いのスライドのでき具合を確認するようにしました。
また、制作過程では、必ず振り返りを行い、「なぜこの作業をするのか」「今、行っている作業が何につながるのか」を意識させることを重視しました。

子供たちは現状のスライドを見せ合い、互いのスライドのでき具合を確認するようにしました。

取材・文/高瀬康志

『教育技術 小五小六』2022年2/3月号より

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