意味のない研修はやめませんか【赤坂真二「チーム学校」への挑戦 #13】


多様化、複雑化する学校の諸問題を解決するためには、教師一人の個別の対応ではなく、チームとしての対応が必須である。「チーム学校」を構築するために必要な学校管理職のリーダーシップとは何か? 赤坂真二先生が様々な視点から論じます。
第13回は、<意味のない研修はやめませんか>です。
執筆/上越教育大学教職大学院教授・赤坂真二
目次
「三顧の礼」に応えたはいいが
お陰さまをもちましてこの連載「チーム学校への挑戦」も2年目を迎えることになりました。どうぞよろしくお願いいたします。
2017年末くらいから自治体や学校の来年度(2018年度)の研修のご依頼が始まりました。今は少し落ち着きましたが、この1月はそれこそ毎日のようにご依頼のメールや電話をいただきました。中には本連載をお読みいただきご依頼をされる学校もありました。この場を借りてお礼を申し上げます。
毎年この時期になると、一年の研修を振り返ります。ほとんどが感謝の気持ちですが、割り切れない思いがないわけではありません。せっかくお邪魔させていただくのですから、それなりに貢献をしたいと思っています。一方で自分も小学校の教師でしたので、校内研修に向かう先生方の姿勢には差があることはよく理解しています。
講師の選定は、管理職や研究主任などがどこかで講師を知り、「ぜひ、この人の話を聞かせたい」という熱望から「なんとなく良さそうだ」という淡い期待レベルの間の気持ちで行われます。しかし、それは職員の総意や合意ではないので、その筋では著名な講師もほとんどの方にとっては見知らぬ人であるわけです。小学校勤務当時を思い出せば、不勉強な私は研修の日に初めて講師のお名前を知るということも度々ありました。そうした状態で聞く話は、なかなか自分の中に入ってくることはなく、ひたすら時間が過ぎるのを待つような場合もあります。したがって、そこで得た情報が自分の実践に反映されるわけがありません。もちろん学ぶ意欲が高く、どんな情報でも自分のものになさる方もいるでしょうが、そういう方ばかりではありません。
ある年に訪れたある学校では、管理職の方に「三顧の礼」のように度々ご依頼をいただきました。そのお姿に「これでは、お断りはできない」と出かけて行ったのですが、いざ会場に入ってみると、学級担任の半数が「年休」を取得して不在だったという場合もありました。とても残念でしたが、その先生方を責める気にはなりません。先生方のお気持ちがよくわかるからです。ただ、先生方の貴重な勤務時間に割り込み、こちらも多くの時間をかけて訪問しても、これでは誰も幸せにならないのではないでしょうか。お金と時間をかけて講師を呼んで研修をする以上は、それなりの効果を子どもたちに還元するべきです。「働き方改革」が叫ばれている昨今、「意味のない研修」は即刻やめるべきです。