12月の先生のお話|グループ活動がうまくいかない時の言葉がけ

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学級経営を支える先生のおはなし|小三

愛知県公立小学校教諭

佐橋慶彦

12月は学期末ということもあり、学級全体で取り組むイベントごとが多い月です。グループ活動をする中で自分勝手な行動が目立つ子に対して、教師はどのような言葉がけをするのがいいでしょうか。グループ活動へのイメージをネガティブなものにしないためにも、適切なアプローチを心掛けたいものです。

執筆/愛知県公立小学校教諭・佐橋慶彦

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イラストAC

叱責ではなく、子供の視野が広がるような言葉掛けを

2学期も残すところあとわずかになりました。師走というだけあって、この12月はなかなか忙しい1か月で、残った学習や成績処理に追われてしまうこともしばしばです。

また、学級全体でイベントごとを行ったり、グループ単位で取り組んだりと、仲間と力を合わせて活動をする場面をよく見かけます。多くの時間をともに過ごしてきた仲間たちですから、きっと協力的な関わりが期待できるでしょう。

しかし、そんな中でも時折、ひとりよがりに自分のやりたいことを進めてしまったり、うまくできない子に攻撃的な言葉を発してしまったりといった自分勝手な行動が見られることがあります。そうした自分勝手な行動が増加するとグループの雰囲気はたちまち崩れてしまいます。

また、そのようなうまくいかない経験が積み重なっていくと、班活動や仲間とともに行う活動にマイナスイメージを持ってしまうかもしれません。そこで、今日は仲間とグループで活動に取り組んでいる際の教師の言葉がけについて考えてみたいと思います。

グループでの活動がうまくいかない原因のひとつに、どんな関わり方がよりよいグループなのかがはっきりしていないということがあります。そこで、理想のグループ活動のモデルを示すようにします。

「この班の話合いの様子を見て」

というように、うまくいっているグループにスポットを当てていきます。

「他の人の話に身を乗り出すように聞いているから、話を聞いてもらえているなと安心できるね」

「ここの班の話合いは、みんなが同じくらい話しているのがいと思います。」

などと、傾聴の姿勢や、対等性などを評価していきます。こうして、話合いの理想的なモデルを示すことで、グループ活動の質が変わっていきます。

また、自分勝手な行動が多く見られてしまう子に対しては、仲間のために自分の力を生かせるようになることを目標に、個別の言葉がけを続けます。

例えば、体育の時間に自分勝手なプレーをし、仲間に文句ばかり言っている子がいたとしましょう。ここで、この子供に「もっとまわりを見ないと」などと注意をしても、おそらく余計にイライラを募らせてしまいます。そこで、

「○○さんはとても~が上手だね。そのポイントをチームのみんなに分かりやすく教えられたら本当に一流だな」

「本当に上手な人は、一緒にやっているだけで楽しい気持ちになるよ。○○さんならそうなれる気がするな」

など、本人が自分から視野を広げられるような言葉を選びます。そして、もしチームの仲間がよいプレーをしたり、表情が明るくなっていたりしたら、すかさず「○○さんのおかげだね」と、仲間を助けた価値を伝えます。

大切なのは、まわりにも気を使うべきだと叱責することではなく、自分の力を周囲に生かす喜びを伝えることなのだと思います。体育でも、図工でも、他教科でも。得意な子には、まわりにそうではない仲間がいること、そして自分の力は人のために生かせることを伝えるようにします。

ただただ仲間と交流させる活動をすれば、仲が深まっていくというわけではありません。逆に、よくない関わりを続けていくと、関係性や学級の状態が悪くなってしまうこともあります。一年の終わりまで残りあと4か月。よりよい関わり方を具体的に示しながら、この学級の仲間と一緒に過ごせてよかったと思えるような締めくくりができればと思っています。

佐橋慶彦先生プロフィール画像
佐橋慶彦先生

佐橋慶彦(さはしよしひこ)●1989年、愛知県生まれ。『第57回 実践!わたしの教育記録』特別賞受賞。教育実践研究サークル「群青」主宰。日本学級経営学会所属。子どもがつながる学級を目指して日々実践に取り組んでいる。

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