子供が輝く作品展・展覧会の工夫
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作品展や展覧会は、これまで学習したことを作品を通して発表するものです。子供、保護者、地域の方々に作品鑑賞を通して、子供たちのよさや成長が十分伝わるよう、準備していきましょう。
執筆/東京都県公立小学校主任教諭・柳生実華
目次
わくわくがあふれた会場に!
体育館を会場とする学校も多いことと思います。普段の体育館とはがらりと雰囲気を変えて、美術館のようなわくわくがあふれる会場づくりを考えましょう。
会場の入り口には、メッセージボードを置いてメッセージを記入してもらったり、会場の入り口で作品の一部を渡し、来た人から貼り付けて、全員で一つの作品を完成させたりするのもよいでしょう。
作品展示には、ブラックライトを使った演出も効果的です。市販のボタンや釣りに使うウキは、ブラックライトを当てると光るので、作品の周りに並べると、不思議な世界をつくり出すことができます。
また、ペットボトルに色水を作って入れたり、カラーセロハンと水を入れたりして、LEDライトを置くと、さまざまな色に変化するのを楽しめます。
当日に向けて
学校だよりや学級だよりなどで、作品展や展覧会のお知らせをすることはもちろんですが、子供たちに招待状を作らせてみてはどうでしょう。日時や場所、鑑賞時の注意事項はあらかじめ印刷しておき、子供たちには、メッセージを書かせます。「がんばってつくったよ! 見にきてね」など、子供たちの心がこもったお知らせをもらった保護者もうれしいはずです。
また、作品の制作過程が分かるような動画を撮っておき、会場の真ん中で大画面を使って映す準備もしておくとよいですね。
出来上がった作品だけではなく、過程も大事に見てほしいという願いが伝わるはずです。
いよいよ作品発表会!
準備が整ったらいよいよ、作品発表会です。子供たちが安全に楽しく鑑賞できるように、学年ごとに鑑賞の時間を設定したり、休み時間の鑑賞では、見守りの担当を決めたりしましょう。
鑑賞するときの約束を、事前に学校全体や学年の教師で決めておくことが大切です。
見る時の約束(例)
①会場内は走らない
作品が壊れたり、怪我をしたりすることがないように、走ったり、ふざけたりしないで見ることが大切です。
②大きな声で話さない
作品を見ながら、「○○のところがすてきだね」などと話したくなる気持ちも分かりますが、じっくりと鑑賞したい人もいます。また、音が出る作品もあるかもしれません。美術館のマナーにもあるように、声の大きさには気を付けさせたいものです。
③友達の作品のよいところを見付ける
会場にはいろんな友達の作品が展示されています。鑑賞する前に、「自分が気に入った作品を一つ見付けてみよう!」と声をかけることで、子供たちは目的をもって鑑賞することができることでしょう。見終わった後の交流にもつながります。
また、自由に鑑賞させるのもよいですが、ぺアになって互いの作品を紹介し合うなどの活動をしてもよいですね。異学年のペアもおすすめです。
作品展・展覧会が終わったら……
作品発表会が終わったら、さっさと片付けて持ち帰るのではもったいない。作品発表会の余韻に浸り、「よし、来年はこんな作品を作ってみよう!」などの意欲を高めるためには、どんな工夫ができるか考えてみましょう。
写真に撮って教室に!
子供たちが時間をかけて制作した作品の数々を写真に撮って、しばらく教室掲示しておくのもよいですね。作品の写真を1冊のノートにまとめ、作品集にしておくのもおすすめです。
感想の交流を!
「お気に入りの作品」を見付けて、メッセージカードに感想を書かせたら、作成した本人に手渡しに行くのはどうでしょう。特に異学年で交流ができると、その後の関係づくりにもつながります。
子供たちが主体的に取り組むために
子供たちが主体的に展覧会に参加できるように、「展覧会特設コーナー」をつくってみてはどうでしょう。制作過程を写真に撮っておき、「大変だったところ」や「工夫したところ」「ぼく・わたしのおすすめポイント」などを書かせて掲示します。
学級集会として、「my作品、ここ見て集会をしよう」などという活動を考えて、実施するのもよいでしょう。お互いに自分の作品の見どころを紹介し、作品と一緒に写真を撮ったり、互いに賞状やカードを贈り合ったりするなどの活動も考えられます。学級会で話し合い、どんな活動をしたら、展覧会がより盛り上がるのか考えて活動してみましょう。
また、コロナ対策も兼ねて展覧会を楽しく安全に案内できるように、フェイスシールドを作ってもよいでしょう。「ハッピーシールドを作ろう」ということで、自分で描いたイラストなどをラミネートフィルムにはさんで加工します。台所で使うスポンジを切って、おでこのところに合わせて貼り付け、ゴムやひもなどを付けてフェイスシールドを作ります。
展覧会が、作品づくりをして鑑賞し合うだけの会にならないように、アイデアを出し合い、工夫してみましょう。
招待状(例)
イラスト/佐藤雅枝
『教育技術 小一小二』2021年10/11月号より