【相談募集中】子供たちの前に立って授業をすることが怖い

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先生のための個別相談サービス【みん教相談室】相談&回答一覧

佐賀県公立小学校教諭

小倉美佐枝

小学校の特別支援学級を担任する先生から「みん教相談室」に相談が寄せられました。過去の経験から、前に出て授業をすることに不安があるそうです。これに回答したのは、みん教の音声番組・ミサエラジオでの愛情深いポジティブトークで人気の佐賀県公立小学校教諭・小倉美佐枝先生。その内容をシェアします。

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イラストAC

Q. 過去の経験から、子供たちの前で授業をすることに不安があります

今は特別支援学級を担任しています。入り込みがほとんどのため、前に立って授業をすることはほとんどありません。2年前に、クラスがうまくいかず休職してしまった経験からか、前に出て授業をするのに強い不安があります。学級担任として前で話をする自分を想像すると、マイナスのことばかり考えてしまいます。異動してきたため、同僚の先生方は自分が休んでいた事を知りません。このままではダメだとは思っていますが、どうすればいいのかわかりません。(SY先生・20代男性)

A.過去の自分を受け入れて、「今どうしたいのか」に目を向けてください

相談内容を読みながら、正直、もったいないなあと思いました。

これまでに、いろいろな思いをされて、いろいろな経験をされたことでしょう。ただ、今の自分自身の状態や状況をあまりにもマイナスに捉えられているのではないでしょうか。

「小学校の先生」というのは、学級担任というイメージが強いですよね。その中でも、いわゆる「通常学級」の担任であることがいちばん良いかのように思ってしまうことがあります。今、ご自身が担任されている「特別支援学級」も大切な学級であり、その「学級担任」であるのだということを見つめていただきたいと心から思います。

特別支援学級に在籍する子供にとっても、大切な先生なのです。その子の前で話す先生はきっと、その子の成長を願って、あの手この手と考えて、指導・支援されていることでしょう。それだけでも立派な、素敵なことだと、私は心から思います。

そして、いつも私が担任する子供たちに話していることをお伝えしますね。

未来はどうなるかなんて誰も分かりません。自分の未来なのに、自分でも分からないものです。でも、過去は自分を作ってきた大切な資料です。その資料の数々は、あなたが危機的な状況にあわないようにするための「参考材料」になります。過去をダメなものと思うのは、本当にもったいない。過去の自分を大切なお守りにして、「今どうしたいのか」を考えて、やってみてください。

そう言うと、とても大きな目標を立ててしまう人が多いので、「今どうしたいか」という内容は、お米粒くらい小さなことで構いません。例えば、今日、15人の子供にあいさつをする。とか、今日、15人の子供に「ありがとう」と言う。とか、そういう小さな何気ない行為を目標にして、積み重ねてみてください。

人と人とのつながりは、簡単にはできません。お米粒くらい小さな関わりの積み重ねの中で、つながっていくと、私は信じています。「このままではダメだ」というよりも、「今日、1つがんばった」という思いを増やしていってくださいね。そう思って行動していくと、きっとご自身が担任する子供たちに対しても、そういう視点で見ることができるようになると思いますよ。

人前で話すことに関しては、少ない人数から始めてみてください。1人から5人、5人から10人……そうやって人数を増やしていきながら、話す経験をしたら、いつの間にか慣れていきますよ。それにね、人前で話すことに不安を感じない、緊張しないという先生の方が少ないと思いますよ。

先生方が余裕そうに見えるのは、毎日毎時間の繰り返しの中で経験がたくさんあるからです。良いことを言おう、うまくやろうと思うと、変に緊張します。大勢の前で話す子供たちには「かぼちゃだと思って!」とよくアドバイスします。同じように、ほかのものだと思ってやってみるのも手だと思います。

今すぐに、人は変わりませんから。ぼちぼちです。遠い場所からですが、私も心から応援しています。


みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。

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