学校行事で児童の参画意識を高め、自主性を育もう
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2学期には、運動会、学芸会、学習発表会、修学旅行など、子供たちが楽しみにしている学校行事がたくさんあります。学校行事は子供の自主性や実践的な態度を育てる大切な場です。子供が主体的に活動する時間を十分にとり、「みんなでつくった」「全力でやりきった」という感動を味わえるようにしましょう。
執筆/岡山県公立小学校教諭・橋本久美
目次
オリエンテーションでわくわく感を高めよう
学校行事では、まず学年や学級でオリエンテーションなどをすることが大切です。
教師の願いを伝える
①学校行事を通して身につけてほしい力を伝えましょう。
〈伝えるポイント〉
・学校行事のねらい
・学年や学級の目標と関連づけ
②学校行事に対する見通しを持たせましょう。
〈伝えるポイント〉
・学校行事の日時や活動内容
・練習や準備の時間の見通し
・前年度までの学校行事の様子
テーマを決めて仲間意識を高めよう
学校行事では、子供たちが「自分たちでつくる学校行事」と感じ、活動に取り組むことが大切です。学校行事の練習や準備に取り組む前に、子供たちによる話合いの時間を確保し、「どんな学校行事にしたいのか」を共有しましょう。
(例)運動会に向けてテーマを決めよう
- 「どんな運動会をつくりたいか?」について、みんなで意見を出し合う。
- 実行委員を中心に意見を分類する。
- 入れたい言葉(キーワード)を決める。
- 実行委員を中心にキーワードをもとにしてテーマの案をつくる。
- 学年全体に提案し、決定する。
すべての子供に活躍の場を与える
学校行事では、子供たちの参画の場を増やしましょう。参画意識を高めることが「みんなでつくった」という思いの高まりにつながります。
実行委員制度
すべての学校行事で実行委員を決めます。4月に年間の実行委員を決める方法もあります。すべての児童が、ひとり1役などの方法で実行委員を経験することにより、学校行事への参画意識を高めます。
運営や司会の見直し
学校行事の司会やアナウンスなど、子供ができることを教師がやっているということはありませんか? 「どこならば、子供に任せられるだろうか」という視点で、学校行事の運営を見直してみましょう。運営や司会を子供たちに任せることで、子供たちのやる気がぐーんとアップします。
意欲の低い子供への配慮を忘れずに
高学年になると、成功体験が少なく自信のない子供や、無気力な子供、人前でがんばることに恥ずかしさを感じる子供もいます。担任が「すべての子供に活躍の場を」ということを常に意識して学校行事に取り組むことが、多くの子供の自己有用感を高めることにつながります。
「なりたい自分」に向けて努力する姿を大切に
学校行事では「みんなでつくる」という意識とともに、行事を通して「なりたい自分」も明確にしましょう。
(例)運動会に向けての目標達成カード
- 「運動会を通して、どんな自分になりたいか」個人の目標を決める
- 目標を達成するための練習のめあてを決める(毎回の練習前)
- 練習の振り返りをする(毎回の練習後)
- 1週間の振り返りと次週のめあてを決める
成長を確かめ合おう(事後の活動)
学校行事後には、活動の振り返りを行い、個人や集団としての成長を確かめ合うようにしましょう。また、その振り返りを日々の生活や次回の活動に生かすようにしましょう。
学年や学級での振り返り
みんなで決めたテーマを達成できた喜びや、みんなと一緒に活動できた喜びをともに確認しましょう。また、集団がもっとよくなるための課題も出し合いましょう。
個人での振り返り
視点を示して振り返ることで、活動のよさや課題点、次への意欲とつなげることができます。
振り返りの視点(例)
- 自分のこと
- 友達のこと
- 集団のこと
- 今後に生かすこと
「みんなでつくる学校行事」となるように、事前や事後の活動を効果的に行いましょう。
目標達成カードの例
イラスト/北澤良枝
『教育技術 小五小六』2021年8/9月号より