小6国語「やまなし」京女式板書の技術

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見やすく理解しやすい「単元別 板書の技術」元京都女子大学教授・同附属小学校校長 吉永幸司監修
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今回の教材は宮沢賢治の「やまなし」です。「作品の世界を捉え、自分の考えを書こう」を目的にしたこの学習では、「五月」と「十二月」の二つの場面を比べて読むことが重要です。作品の世界を捉えられやすいように工夫した板書を紹介します。

監修/京都女子大学附属小学校特命副校長・吉永幸司
執筆/京都女子大学附属小学校教諭・酒井愛子

 

教材名 「やまなし」(光村図書)

単元の計画(全8時間)

1 作品を読み、学習課題をもつ。
2 初発の感想から学習の見通しをもつ。
3 「5月」の場面を読み、情景を絵に描く。
4 「12月」の場面を読み、情景を絵に描く。
5 「5月」と「12月」の場面を比べる。
6・7 資料「イーハトーヴの夢」を読み、宮沢賢治の生き方や考え方にせまる。
8 賢治の生き方を重ね、題名「やまなし」にこめられた思いをまとめる。

板書の基本

〇「作品の世界を捉え、自分の考えを書こう」を目的にした「やまなし」の学習では、「五月」と「十二月」の二つの場面を比べて読むことが大事な学習内容です。そのため、板書では、比べる視点を明確にしました。

〇板書では、「比べる視点」「五月」「十二月」が見分けられるように工夫しました。学習内容として、教材文全体から「かにの会話や様子」「水や光の様子」「上から来たもの」に関わる表現を板書できるようにしています。

〇授業の前半では、「五月」「十二月」の場面を比べました。「クラムボン」「あわ」「かわせみ」「やまなし」などの、どの子にも見つけてほしい語句は早い段階で板書しました。

〇授業の後半では、場面の順序でなく、「作品の世界」に関わる語句を板書に集約させました。つまり、場面を象徴する語や文に注目させるようにしました。「自分の考えをまとめる方向」に導くことを意図した板書です。

板書のコツ(5/8時間目前半)

板書例
8時間目前半の板書

板書のコツ①

「めあて」を板書しました。「五月」と「十二月」を比べるということの意味は理解できました。しかし、「どのように学習を進めるか」ということが難しいであろうということを予想して板書を表にしました。

板書のコツ②

「やまなし」の全体を読むことから学習を始めました。読む過程で、「かにの会話や様子」「水や光の表現」「上から来たもの」というように見つけていきました。最初に視点を決めて発表と話し合いを進めたのではありません。

 「五月」の「二ひきのかにの子ども」「クラムボン」は、すぐに子供が見つけました。「クラムボンははねて笑ったよ」のように詳しい内容を表す文は板書をしませんでした。構成につながらないと考えたからです。

「かわせみ」「やまなし」を板書し、これからの学習に見通しをもたせるようにしました。

板書のコツ③

「なめらかな天井」について「波が青白い火を燃やしたり、けしたりしているよう」と比べた子の発言を取り上げました。これは作者の独特な表現であることを理解させたいと考えたからです。その意味を理解して「五月」の「静」と「十二月」の「動」を板書しました。

板書のコツ(5/8時間目後半)

構成/浅原孝子

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