8月の先生のお話|学習意欲が低下した子供への一言
8月に入りましたが、教員の皆さまはどのような夏休みをお過ごしでしょうか。1学期の疲れをリフレッシュできるよう残りの期間もゆっくり休息して、2学期に向けて充電してください。
長期休み明けは子供たちのやる気スイッチがなかなか入りません。そんな学習意欲が低下している子供たちに向けた言葉掛けを、今回は考えてみたいと思います。
目次
スイッチが入らない子供たちには「短い言葉掛け」を
子供たちにとって長い長い長期休暇です。楽しい思い出を作ったり、好きなことをしたりと、ゆったりとした時間を過ごす子も多いのではないかと思います。しかし、そのせいか2学期になっても学習のスイッチがなかなか入らない子供たちがいます。
そのままにしておくと、ずるずると学校生活への意欲が低下していってしまうかもしれません。そこで、今回は学習に向かえない子供たちにどのような言葉掛けをしていったらよいのかを考えてみたいと思います。
うまく学習に向かえない子供に有効な手段として「短い言葉掛け」があります。教室を回りながら、短い言葉掛けを全員にしていきます。一人の児童のもとに立ち止まることはあまりせず、
あ、書き始めているね
よい字だね
書き出しが面白い
などと端的に伝えます。
仮に準備が遅れている子がいたとしても、「今から出すところかな」とつぶやくだけに留めます。すると、次に通る時には多くの子が準備を済ませています。そうしたら、また「おっ、出たね」とだけつぶやきます。次に通る時にはおそらくノートを書き始めています。一見、何も指導をしていないかのように思えますが、見ていることをただ伝えるというところに、この言葉掛けのポイントがあります。
厳しい注意や大きな賛辞は、確かにその場では大きな効果が望めます。子供たちは行動を変えるでしょう。しかし「叱られないように」「誉められたいから」と教師の反応を基準に頑張るようになると、叱ってくれる、あるいは褒めてくれる先生がいなくなった途端に意欲が低下してしまいます。
また、教科書を教師が代わりに開くなど、手取り足取り助けてあげる支援も同様に、助けてもらうのを待つようになってしまう可能性があります。
この言葉掛けはあくまでも子供たちに気付きを促すものです。ノートを開こう、書こうと決めるのは子供たちです。すぐに効果が出るとは限りませんし、もしかしたらその日はノートを開かないかもしれません。それでも粘り強く言葉掛けを続けていくと、子供たちは自分から学習に向かうようになっていきます。
期間が長く、行事も多い2学期ですから、よいスタートを切りたいと子供たちを急かしたくなってしまいます。しかし、ここで焦ると長い目で見た時に、子供たちの主体性を奪ってしまうことになるかもしれません。ゆるやかに子供たちを見ることができるように、今日は学校に来られていればOK、1時間でも頑張れれば大丈夫、と自分に言い聞かせながら、2学期のスタートを迎えたいと思います。
佐橋慶彦(さはしよしひこ)●1989年、愛知県生まれ。『第57回 実践!わたしの教育記録』特別賞受賞。教育実践研究サークル「群青」主宰。日本学級経営学会所属。子どもがつながる学級を目指して日々実践に取り組んでいる。