小4 国語科「あなたなら、どう言う」全時間の板書&指導アイデア

特集
【文部科学省教科調査官監修】1人1台端末時代の教科指導ヒントとアイデア

文部科学省教科調査官の監修のもと、小4国語科「あなたなら、どう言う」(光村図書)の全時間の板書例、発問例、想定される児童の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。

小四 国語科 教材名:あなたなら、どう言う(光村図書・国語 四上)

監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/大妻女子大学家政学部児童学科教授・樺山敏郎
執筆/鹿児島県錦江町教育委員会・尾崎裕樹

1. 単元で身に付けたい資質・能力

本単元では、対話を通して自分と相手の意見の共通点や相違点を捉え、考えをまとめる力を付けます。そのために、立場を変えながら対話をすることで、感じ方の違いを捉え、よりよい対話の仕方について考えていきます。

2. 単元の評価規準

単元の評価規準

3. 言語活動とその特徴

子供たちの生活の中で、自分の思いがうまく伝わらなかったり、自分の意に反して相手に嫌な思いをさせてしまったりすることはよくあることです。そこで、本単元では、子供たちが共感しやすい身近な生活の場面を取り上げ、よりよい対話の仕方について考えます。生活の場面をロールプレイで追体験し、互いの立場で何を考え、どのように言葉にして伝えればいいのか、その言葉で相手がどんな感情になるのかをグループで考え、共有していきます。
子供たちは、立場を変えれば主張が変わること、その主張の仕方で相手の受け止め方が変わることに気付くことができます。他者の考えや自分の考えの共通点や相違点に着目させ、いろいろな考えに触れることができるようにすることで、よりよい対話についての考えを深めていきます。

4. 指導のアイデア

〈主体的な学び〉 話合いの見通しをもつ

子供たちに話合いをさせても、話合いが進まず意見が出にくくなったり、自分の考えを発表し合って終わってしまい、考えが深まらなかったりすることがあります。子供たちが主体的に話合いを進め、考えを深めていくためには、何について何のために話し合い、どのように話合いを進め、収束(意見をグループで一つにまとめる)させるのか否かについて検討し確認するようにします。そのためには、話合いのポイントを教師が整理して指導していくことが大切です。

子供たちが主体的に学ぶためには、子供に話合いの見通しを導入の段階でしっかりともたせる必要があります。

〈対話的な学び〉 ロールプレイによる言葉の働きの理解

本単元では、姉と弟の対話をロールプレイすることにより、互いの思いを実感していきます。対話を実体験する場合、自分の発した言葉や相手の言葉によって感じたことを客観的に捉え、言葉に思考や感情を表出する働きがあることを理解する必要があります。話し言葉は、流れていってしまい自己評価が難しいものです。

そこで、対話をする人(姉、弟)、それを見る人に役割を分担して、全員が三つのすべての役割を経験できるようにします。その際、姉と弟の対話の内容をシナリオ化したワークシートを準備し、感じたことを書き込めるようにしておきます。自分が行ったロールプレイを友達に客観的に評価してもらうことで、それぞれの立場への自分の考えをもてるようにします。そして、互いの考えの共通点や相違点に注目していくようにします。

〈深い学び〉 学習課題に即したまとめ

導入で設定した学習課題に対する子供一人一人の学びの成果を学習のまとめとして文字言語で表出できるようにし、それを学習評価につなげることが重要です。
ここでは、「自分とは違う立場になって対話」して、互いの考えの共通点や相違点に注目して自分の考えをまとめるようにします。そのために、二人のやり取りとして、どのような言い方をすればよかったのかについて検討するようにします。さらに、実生活へ活用するために大切なことについて整理することも大切です。

学習課題に即したまとめができるように、子供の思考に沿って単元全体をノートやワークシート等で振り返り、よりよい対話にするにはどうすればよいのか考えをまとめていくことができるようにします。

5. 1人1台端末活用の位置付けと指導のポイント

(1) ロールプレイや対話の様子を客観的に見る
子供たちがロールプレイや対話をしている際に活用します。
本単元では、立場を変えてロールプレイをして、立場による感じ方の違いを体感し、立場を変えた対話に対しての自分の考えをもてるようにします。
また、グループでよりよい対話の仕方について話し合います。その際、ロールプレイや話合いの様子を端末で録画し、いつでも繰り返し見ることができるようにします。そうすることで、ロールプレイの際に、言い方がどうだったのか、感じ方がどうだったのか、また、話合いのどんなところがよかったのか、だれの考えを取り入れて自分の考えを深めたのかなどに気付くことができるようになります。

これまでは、話す言葉は流れていき、話合いの様子を後から確認することは簡単ではありませんでした。しかし今は、端末の動画撮影機能を活用することで、誰が何を言ったのかが繰り返し確認できるようになり、どのような話合いをすべきだったのか、話合いの話題からそれていないかなど観点をもって子供自身が確認することができます。端末を活用して自分たちの様子を振り返ることにより、対話的な学びを活性化するようにしていきます。

(2) 考えの共有と記録を行うことによる考えの深化
本単元では、よりよい対話の仕方についてグループを中心に話し合います。そこで、自分たちのグループで考えたよりよい対話について、お互いの考えを共有し考えを深めて行くために端末を活用します。

全体で考えを深める際には、これまでのロールプレイの様子や話合いの様子を全体に提示しながら自分やグループとしての考えを発表します。さらに、各グループの考えを端末で全体に共有することで、よりよい対話の仕方について学級全体で高めていきます。

このように、動画を提示したり、考えを共有して深めたりする際に、視覚的に端末画面を活用することで自分の考えを深める手立てにしていきます。

6. 単元の展開(3時間扱い)

 単元名: あなたなら、どう言う

【主な学習活動】
・第一次(1時
これまでの対話の動画を見ながら、自分の思いがうまく伝わらなかった経験やその時の気持ちを話し合い、対話の仕方について学習課題を焦点化する。
学習課題:自分とはちがう立場になって対話し、考えたことをまとめよう 

・第二次(2時
姉の立場になって、弟に何というか考え、その後、それぞれの立場でやり取りをする。〈 端末活用(1)〉
・姉の思いだけ知らせ、理由とともに姉の気持ちを考える。
・姉、弟、やり取りを聞く人の役割を交代してやり取りをし、なぜそのような言い方をしたのか考える。

・第三次(3時
よりよい言い方について考え、全体で考えを交流する。〈 端末活用(2)〉

全時間の板書例、発問例と想定される児童の発言例

【1時間目の板書例 】

1時間目の板書例

〇 単元の導入では、子供たちが学習内容に興味をもてるようにすることが必要です。また、単元の学習全体の見通しをもつことも大切です。
そのため本時では、これまでの話合いの様子を動画で見せて、自分たちの話合いの仕方を振り返らせるとともに、学習後にどんな力を身に付けたいのかを考えます。
役割を決めた話合いを行うことの具体的な見通しをもつことができるように、次のような話合いのポイントを基に、子供に話合いの仕方を指導していきます。

【 話合いの指導のポイント 】

話合いの目的:立場を変えてやり取りをして、どのように感じるかを共有し、よりよい言い方ができる。
話合いの内容:姉と弟の会話から互いの思いをどのように言葉にしたらよいか考える。
話合いの進め方:役割(司会、記録など)、話合いマニュアルの活用の有無、時間、形態(グループ、全体)などを設定する。
話合いの収束:
グループでどのような考えが出たのかを集約して全体に報告する。(グループで一つの考えにまとめるわけではない)

教科書の内容を子供と確認し、学習計画を立てる際、どのような話合いをするのかが具体的にイメージできるようにし、話合いへの意欲を高めることができるようにします。


【2時間目の板書例 】

2時間目の板書例

〇 本時では、対話をロールプレイし、どう感じたかを出し合いながら互いの思いを実感していきます。その際、「姉の言葉が強くて命令されたようだった」など、発した言葉とともに口調や態度に着目させたり、どう言えばよかったのか考えさせたりすることで、言葉には、考えたことや思ったことを表す働きがあることに気付くことができるようにします。教師は、子供のワークシートの分析や話合いの観察をしながら、知識・技能の観点について評価し、指導や助言を行います。

<教師の発問、児童の発言例>
~子供の考えの整理~

姉の役と弟の役とで、それぞれどんなことを感じましたか。

姉の役をしたけど、こっちは急いで片付けてほしいのに言い訳されたような感じがしました。やり取りを見ていたAさんから、「とっても困っているように見えたよ。」と言われたので、本当に困った弟で、弟を非難するような気持ちだったと思います。

弟の役をしたけど、何だか姉に命令されたような感じがしました。やり取りを見ていたBさんから、「どうしてそんなことを言うの、という不満そうな感じが出てたよ。」と言われ、自分のしていることを分かってほしいと強く思っていたことを確認できました。

どうしてお互いの思いが違っているのでしょう。

姉と弟の状況が違うからだと思います。姉は弟が片付けるためにおもちゃを出していたことを知っていれば、言い争いにはならないと思います。

お互いの状況を知らないと、感じ方が変わってくるということですね。どんなふうに言うと相手の状況が分かって理解し合えるのかな。

姉が、おもちゃを出しているわけを最初に聞いたらよかったかもね。


【3時間目の板書例 】

3時間目の板書例

〇 前時の立場を変えたロールプレイを、実際の言い方と心の声に分けてワークシート等に記述していきます。自他の対話を比較し、自分の考えと友達の考えの共通点や相違点について話しながら、よりよい対話にするにはどうすればいいのか自分の考えをまとめていくようにします。学習課題に沿ったまとめができるよう、ワークシートやノート、板書も子供の思考に沿って構成を考えていくことが大切です。

<教師の発問、児童の発言例>
~まとめの場面~

みんなの考えを整理していくと、弟と姉は一緒に片付けることができましたね。どんな言い方をしたから、片付けることができたと思いますか。

姉が、最初から慌てて怒って「片付けなさい」と言うのではなく、どうしておもちゃや本を出しているのか、理由を聞くことができたのがよかったと思います。

弟もきれいにしようとしていたから、片付けようという思いは同じだったことが分かり合えました。

まず姉が弟のことを考えたから、弟も姉の思いがすぐに分かったんだと思う。

どんな言い方をしたらいいのかな。まとめていきましょうか。

相手のことをまず考えた言い方が大切だと思います。そうすると、けんかにならずに、よい対話ができると思います。

相手がどう思っているか想像しながら話すといいと思います。

相手の立場で考えるとよいということかな。


イラスト/横井智美、小野寺裕美

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