小1 国語科「おおきくなった」板書例&全時間の指導アイデア

特集
【文部科学省教科調査官監修】1人1台端末時代の教科指導ヒントとアイデア

文部科学省教科調査官の監修のもと、小1国語科「おおきくなった」(光村図書)の各時の板書例、発問、想定される児童の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。

 小一 国語科 教材名:「おおきくなった」(光村図書・こくご 一上)

監修/ 文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/ 相模女子大学学芸学部 子ども教育学科専任講師・成家雅史
執筆/ 東京都北区立豊川小学校・橋浦龍彦

1. 単元で身に付けたい資質・能力

本単元では、観点をもって対象を観察し、気付いたことを文で記録できるようになることを目指しています。1年生のこの時期、生活科の学習でアサガオを観察していることが多いでしょう。観察カードの記録の仕方は、生活科の学習でも指導するでしょう。

国語の学習では、1年生であっても児童が既に無意識的に活用している観察の視点を自覚したり、新たな視点を獲得したりすることで、観察すること、記録すること、生活科と国語科の両面で活動をより楽しむことができるようになるでしょう。教師は、児童それぞれがどのような視点をもっているのか、どのような視点を新たに獲得してもらいたいのかを明確にし、単元をデザインしていきます。

2. 単元の評価規準

単元の評価規準

3. 言語活動とその特徴

本教材の前に、「ぶんをつくろう」で主語と述語の関係に注意して書くこと、「は」「を」「へ」の助詞や読点に気を付けて簡単な文を書くことを経験しています。児童が文を書くようになってからはまだ日が浅く、平仮名の学習の最中でしょう。観察を通して気付いたことを書き出す活動を、児童が楽しめるようにしていけるとよいです。

本教材では、九つの観察の視点が示されています。色、形、大きさ、高さ、太さ、数、匂い、触った感じ、重さの九つです。
文例は、葉っぱが大きくなったことを文章にして記録したものと、観点を四角囲みにして明確にしたものの二つがあります。
前者では、一番伝えたいことに「はっぱがおおきくなった」と題を付けています。「はっぱのおおきさは、わたしのてとおなじくらいです。さわると、ちくちくします。」というように、葉っぱの大きさを手と比較し、触った感じについても記録しています。「わたしのてとおなじくらい」と、比較の視点に気付けるようにもなっています。さらに、観察カードに、アサガオだけでなく、児童の手の絵も入れています。
後者は、数、形、色について、それぞれ「ふたつ。」「とがっている。」「さきがすこしあかい。」と三つの観点で記録しています。
「つぼみができた。ふたつもあるよ。」と、「も」を使って強調し、驚きを伝える表現も学ぶことができます。
授業では、それぞれのよさを整理し、以降の、観察して記録する活動で使えるようにしていきますが、多くの観点や書き方の違いに児童が戸惑わないよう配慮が必要です。整理した観点の中から、児童が自ら使いたいものを選び、年間を通して焦らず着実に観察の観点を増やしていくことが大切です。

本単元の学習は、下巻の「しらせたいな、見せたいな」で、文章の構成を考えてより詳しく観察したことを文章に書いて伝える学習につながっていきます。

強調の「も」については、この後も「ともだちのこと、しらせよう」の文例でも、「おねえさんに、とびかたをおしえてもらって、二じゅうとびを、五かいもとべるようになったそうです。」と使われています。繰り返し「も」に気付かせていくと、少しずつ児童が使えるようになっていくでしょう。

学習した観察の視点は、模造紙にまとめておいたり1人1台端末に保存したりすることで、年間を通して観察の際に活用できるようにしていくとよいでしょう。年間を通して児童に無理なく着実な指導を続けることで、少しずつ観点を獲得し、詳しく書くことができるようになるはずです。

4. 指導のアイデア

〈主体的な学び〉 観察すること、記録することに関心を持つ

この時期の児童は、新しい字が書けるようになっていく度に、小さな喜びを感じているでしょう。文字の学習を進めている最中の児童にとって、さらに文や文章にすることのできた成就感は、これからの書くことの学びへの大きな活力になると考えます。新たな観察の観点に気付き、それを活用して観察することでさらに文や文章にすることが見つかります。ノートの使い方を学習し始めて間もない児童が、自ら視点を選んで書くことができたという喜びは、その後の主体的な学びの素地になるでしょう。

学習した観察の観点を生かし、観察を繰り返すたびに記録することに慣れていくことで、「大きくなったから、重さも変わっているかな。持ってみよう。」など、新たな観点を使えるようになっていきます。折にふれて、これまでの観察カードを見返すことで、アサガオなどの植物の成長を振り返るだけでなく、使えるようになった観点を自覚することもできるでしょう。
観察すること、記録することを両輪にしてそれぞれを楽しみ、生活科の学習も国語科の学習も主体的に学べるようにしていきたいものです。

〈対話的な学び〉 観察カードを比較する

対話的な学びとなるよう、友達と観察カードを比較する活動を取り入れるとよいでしょう。この時期の児童ですから、隣の席の児童から始め、様々なペアで観察カードを比較していきます。横並びになって間に観察カードを置き、見せながら読み上げると、目と耳の両方から情報を得ることができて効果的です。
教師は「友達はどんなことを書いているかな。自分と比べてみよう。」と声をかけます。児童は「ぼくと同じだ。大きさを書いている。」と共感したり、「Aさんは『葉っぱが4枚になった』と数も書いている。」と新たな視点に気付いたりします。友達との対話を通して、「ぼくも数を使って書いてみたい。」など、主体的な学びにつながっていきます。

余裕があれば、児童が使えている観点とまだ使えていない観点を、単元前に種や双葉の頃の観察カードから確かめておくと、異なる観点同士の児童で意図的にペアを組み、新たな観点に気付かせやすくなります。
友達との観察カードの比較は、第1時に行えば、「もうそんな書き方を知っていたの。」という驚きをもつでしょう。観点を整理し、掲示等で可視化した上で単元末に行えば、「重さのことを書いたのか。次はぼくも使ってみようかな。」と今後の見通しを持つことができるでしょう。
観察カードを友達と共有する時間を大切にすることで、児童同士で自ずと観察の仕方が高まっていくでしょう。

〈深い学び〉 観察の観点を可視化する

深い学びを通して児童が書くことを見つける力、必要な事柄を集める力が高まるよう、観察の観点を可視化します。板書例のように、観点を短冊で色分けして模造紙に貼ります。「高さ」「太さ」など目で見て分かることは赤の短冊、鼻で分かる「におい」は黄色、触覚で分かる「触ったかんじ」「重さ」は青などで整理します。目や鼻などのイラストを添えるとよいでしょう。「太さ」は視覚だけでなく、手で茎を掴めば触覚でも捉えられます。しかし、ここでは何を使うと何に気付くことができるのか、児童が意識することをねらっています。もし、児童が気付いた場合は、二色の短冊に「重さ」と書いてもよいでしょう。

また、誰のカードにどの観点があったかを教師が事前に把握しておけば、授業の中で活用しやすくなります。授業では挙がりにくいと考えた観点を入れている児童だけでも、目星を付けておくとよいでしょう。
児童同士が観察カードを見比べていても、全体で気付かせたい観点が挙がらなければ、教師から意図的に紹介し、どのような観点を使っているかを投げかけることもできます。

掲示物には、短冊にした観点だけでなく、具体的な児童の観察カードの文も例文として入れます。児童名も入れることで、「これは、Bさんが使っていた高さの書き方だ。」と、対話によって使える視点が増え、学びの成果を実感できます。「形」「高さ」など、視覚で捉えられる観点は、言葉が観察している対象のどの部分を指しているかが分かるよう、短冊と絵を結んでおくことで、児童が絵と言葉をつなげて捉えることができるでしょう。

私の学級では、葉の形を「ハートみたい。」「蝶々みたい。」など、他の物に例えて記録している児童が複数名いたため、全体に紹介して「たとえる」として整理しました。

比較した書き方も、教科書の「わたしのてとおなじくらい。」だけでなく、「まえよりも、おおきくなった。」と「よりも」を使った児童がいました。教科書にない書き表し方も、児童が使えていれば可視化しておき、気付きを広げてもよいでしょう。観点や書き方を意識したり、使えたものを自覚したりすることにつながります。

授業の中で観点をまとめた模造紙は、校庭など外に持ち出し、児童が観察・記録をしながら必要に応じて見ることができるようにします。私の学級では、単元後のアサガオの観察をはじめ、体育館で行った移動動物園での動物の観察、寒い時期に育てたチューリップの観察でも活用しました。観察の度に活用していたため、国語科の「しらせたいな、見せたいな」での既習事項を確認した際には、児童から次々に視点が挙がりました。

また、これは想定外でしたが、同じ学年の先生が急遽お休みした日、その学級ではチューリップの観察を予定していました。そこで、補教に入る先生に観点をまとめた模造紙をお貸しし、観察の時間に活用していただきました。国語が専門でない先生にも、子供の学びが一目で分かります。

5. 1人1台端末活用の位置付けと指導のポイント

この時期に1年生が、自分で端末を操作することは難しいでしょう。
しかし、教師が学習の履歴を記録・保存しておくことは可能です。日付別に児童の観察カードとアサガオ等の写真を撮影して保存し、児童の端末からアクセスできるようにしておくという方法があります。
端末の操作に慣れたら、自分で保存された観察カードや植物を見返します。植物の成長に気付いたり、記録の仕方の上達に気付いたりすることができるでしょう。
授業の中で観点をまとめた模造紙は、写真にして端末に保存しておきます。長期休みに植物を持ち帰った際も家で観点を確かめながら観察・記録することができます。

6. 単元の展開(4時間扱い)

 単元名: きろくじょうずになろう かんさつのポイント

【主な学習活動】
・第一次(1時
① これまでの観察カードを読み返したり、友達と読み比べたりして、使っていた観点やこれから使いたい観点を見つける。

・第二次(2時3時
② 教科書の文例から、観察カードの観点を見つけ、次時に使いたい観点を選ぶ。
③ 見つけた観点で、観察カードを書く。(児童が操作に慣れるまでは教師が撮影し、一人一台端末に保存しておく。)

・第三次(4時
④ 観察カードを読み合い、よいところを見つけて伝え合う。

各自の板書例、教師の発問・児童の発言例

【1時間目の板書例 】

1時間目の板書例
「対話的な学び」のために

単元前に既に生活科の学習で観察した際のカードは、いわば観点の宝庫です。
児童は無意識的に使っている観点でも、それが学級の学びを広げる可能性を秘めています。教科書の「おおきくなった」をいきなり読んで観察の観点を知るのではなく、自分たちが既に獲得している観点にまずは気付くことが大切です。第1時の学習を終え、「もっと観察の仕方を見つけたい。」「他にもあるかもしれない。」という状態になっていれば、次時に教科書の「おおきくなった」を読んで学習する必要感が高まっていると言えるでしょう。

今日は、まず、みなさんが今まで書いてきた観察カードを読み返してみましょう。アサガオの何について書きましたか。

「葉っぱが大きくなった。」と書いています。

大きさについてだね。

「触ると、音がした。」と書きました。

触ったときのことだね。

友達と、アサガオの何について書いているかを比べて、新しく見つけたことを発表してみましょう。

Aさんは、「葉っぱは、苦そうなにおいがした。」と書いていました。

においのことも書くといいのか。

Bさんは、「種の時より重かった。」と書いていました。

重さのことを書いたのか。

そうですね。種のときと比べたのも良いですね。


【2時間目の板書例 】

2時間目の板書例
「主体的な学び」のために

前時に友達と観察カードを読み比べ、新たな観点に気付くことができているでしょう。「他にも観察の仕方を見つけたい。」という児童は、教科書の観察カードの例を目を輝かせて読むでしょう。「はっぱがおおきくなった」「つぼみができた」の二つの文例を読み、一つでも新たな観点を獲得できれば、児童は観察の時間にそれを使いたいと思うはずです。

教科書の観察カードの例と同じ観点で観察した児童がいれば挙手で尋ねたり、実際に観察カードを紹介したりします。既に児童の観察カードにあるものの、前時に挙がらなかった観点についても、児童の観察カードを使いながら扱うとよいでしょう。次時の観察・記録で使いたい観点を振り返っておくと、より見通しをもって観察・記録に臨めます。

今日は、さらに新しい観察のポイントがあるかどうか、探してみましょう。
教科書に二つの観察カードが載っています。

大きさや、触った感じが書いてあります。

それは、Aさんの観察カードにもあったね。

数、形、色が書いてあります。

数を書くのか。葉っぱがたくさん増えたから、使ってみたいな。

それでは、次の観察で、使いたいポイントを選んでみましょう。

わたしは、色を使ってみたいです。友達のつぼみとは、違う色をしていました。


【3時間目の活動例 】

1人1台の端末に、植物と観察カードを撮影・保存する

日付別に児童の観察カードとアサガオ等を撮影して保存しておきます。児童がどのような観点をもつことができるようになったのか、教師が評価することができます。端末に観察カードの写真を増やしていけば、児童自身が機器を操作できるようになったときに、植物の成長に気付いたり、観察・記録の仕方の上達に気付いたりすることができるでしょう。

授業の中で観点をまとめた模造紙は、校庭など、植物を育てている場所に持ち出して地面に広げ、観察・記録時に活用します。それにより、「触った感じを書こうと思っていたんだ。」「においも調べてみようかな。」等、児童が観点を確かめながら活動することができます。また、撮影して端末にも保存しておきます。そうすると、長期休みに植物を持ち帰った際も、家で観点を確かめながら観察・記録することができます。

○児童が見つけた観点をまとめた模造紙の例

児童が見付けた観点をまとめた模造紙の例

【4時間目の板書例 】

4時間目の板書例
「深い学び」のために

学習を通して見つけてきた観点を、実際に観察カードに使えたと自覚できることが、児童の深い学びにつながると考えます。
この時間では、前時に記録した観察カードに加え、それ以前に書いたものも持ち寄り、使えるようになった観点を自覚できるようにしていきます。

まず、教師が児童のものを、次に交流の例を児童同士で示し、様々なペアで観察カードを読み合う活動に入っていきます。ペアでの活動後、全体で、同じ観点に着目していても表現の仕方が異なる児童を取り上げると、より児童の思考が広がっていきます。

振り返りでは、読み合う中で友達にほめてもらった自分の観点を書くと、新たに使えるようになった観点の実感がもてるでしょう。

今日は、前回の観察で何がよく書けたか、自分で確かめたり、友達に見つけてもらったりしましょう。(活動例を教師と児童、児童同士で示す。)

Cさんは、「蔓が 5本 もあった。」と数を書いています。

「も」って、強い言い方も使っているね。

DさんとEさんの観察カードを比べてみてください。(スクリーン等に並べて映す)

2人とも、葉っぱの形に「みたい」を使っています。

Dさんは「蝶々みたい。」で、Eさんは「ハートみたい。」と書いているね。

同じ、葉っぱの形についてでも、何に例えるかはそれぞれですね。

イラスト/横井智美

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