小6国語「私たちにできること」指導アイデア

教材名:「私たちにできること」光村図書

指導事項:〔知識及び技能〕(1) カ 〔思考力、判断力、表現力等〕B(1)イ・ウ 
言語活動:ア

執筆/神奈川県公立小学校教諭・有光鉄男
編集委員/文部科学省教科調査官・大塚健太郎 神奈川県公立小学校校長・丹羽正昇

単元で付けたい資質・能力

①身に付けたい資質・能力

本単元では、相手の行動の変容を期待して、具体的な事実や考えを基に、説得力のある文章を考え、まとめる力を育成します。提案する文章を書くためには、提案する相手に、提案の内容を理解してもらうとともに、提案の内容に沿って行動してもらいたいという具体的な思いが必要です。それは説得力のある文章を書くための原動力ともなります。

また、相手の行動に変化を期待し予想することが、書き手の目的や意図を明確にさせることとなり、言葉による見方・考え方を働かせることにもつながります。

②言語活動とその特徴

本単元の言語活動は「地域の憩いの場となっていたビオトープをもう一度再生するために、どのようなビオトープにしていくかを提案する文章」を書く活動です。

総合的な学習の時間の学びと関連させ、実生活や実社会を意識させることで、子供たちは必要感や切実感をもって学習に取り組むことができると考えられます。また、何度も調査をしたり、提案する相手の方と意見交換をしたりすることが可能であることも大切です。

単元の展開(10時間扱い)

主な学習活動

第一次(1・2時)

①地域の方などの意見を踏まえ、どのようなビオトープにするか課題や学んだことを出し合い、「地域の憩いの場となるビオトープになるようにしよう」という学習課題を設定し、学習計画を立てる。

【単元】学校や地域の方の憩いの場となるビオトープになるような提案書を考えよう。

②教科書のモデル文や企業で実際に使われている提案書等を参考にして、提案書を書くために必要なことを考える。
→アイデア1 主体的な学び

第二次(3~8時)

③地域の専門家にもらったことを基に、必要な資料を集める。

④⑤問題点や課題点を踏まえ、具体的な調査内容や具体的な事例を取り上げながら、提案書を見直す。
→アイデア2 対話的な学び

⑥各自で書いた提案書を基に、相手の行動の変容を想像しながらアドバイスをし合い、提案書をよりよいものにしていく。
→アイデア3 深い学び

⑦⑧提案書を清書する。

第三次(9・10時)

⑨書いた提案書を他のグループで読み会い、推敲する。

⑩完成した提案書を校長先生や地域の方に渡し意見をもらう。学習を振り返る。

アイデア1 子供でも実現可能な提案を書けるように、話題設定をしよう

主体的な学び

提案書を書く場合、相手の行動の変容を期待し、子供が具体的に提案内容をまとめられるかが重要になります。提案内容を具体化させるためには、提案しようとしている対象や相手のことをよく理解し、何のために提案するのかという目的を明確にする必要もあります。

具体的で実現可能なビオトープにするために、今までに学んだことや情報を整理して、実現させたいことの優先順位や、できることとできないことなどを付箋紙や思考ツール等で分類し、提案書を作成する際に必要な情報を可視化することが大切になります。

付箋紙や思考ツールを使って思考の過程を可視化することで、付け加えたほうがよい情報や差し替えたほうがよい情報を的確に把握することができます。その結果、子供自らが課題解決に向けて粘り強く取り組むことができると考えます。

▼ワークシート

ワークシート

アイデア2 単元途中で自己批正・相互批正する時間を設け、子供の試行錯誤を促す

対話的な学び

文章の精度を上げるには、単元の途中であっても視点をもって振り返ることが大切です。視点を明確にして自己批正したり、ペアなどで読み合って相互批正したりすることにより、自分の提案書のよさや課題を早い段階で明確にすることができます。

そのためには、提案書の作成途中に意図的に複数回見直す時間を設けることが必要です。その時間内に、子供は、詳しく書く必要のある場合や簡単に書いたほうが効果的である場合など、相手や目的、必要に応じて書き表し方を工夫することができます。

相手や目的、必要に応じて書き表し方を工夫することができます。

また、そのような学びの中で、子供は試行錯誤することのよさに気付くことができるので、自己内対話やペアによる対話のよさを実感することにもつながります。

作成途中でお互いの提案書を読み合ったら、事実と意見の区別がなく書いていたことが分かったので、どのように伝えればよいのかが、具体的に分かってよかったね。

学校のみんなにビオトープのよさを知ってもらうには、どう活用しようとしているのかという内容が少し足りなかったんだね。もう少し、ビオトープの活用方法を詳しく書いてみよう。

5年生には、ビオトープの管理を引き継いでもらいたいから、学校にとって、どれだけビオトープが大切なのかが伝わるような事実を集めて書くことにしよう。

難しい専門用語や、めだかの種類などはみんな知らないと思うから、提案内容のところで写真を使って説明をしたほうがいいかもしれないな。

アイデア3 対話を通してアドバイスを送り、提案内容の精度を上げる

深い学び

ここでは、提案する相手の反応を予想しながら、自分だけでは思いつかない内容や情報などをお互いに出し合い、提案書の仕上げへと向かいます。そのためには、提案者の意図を踏まえながら、提案書のどの部分を話し合うのかを明確にするように教師が働きかける必要があります。

提案書のどの部分を話し合うのかを明確にするように教師が働きかける必要があります。

そのためには、教師が予め提案書の内容を指導事項に照らして把握し、子供一人一人への指導のポイントを把握しておく必要があります。

そうすることで、文章の構成に着目して、筋道の通った文章になるように、「考えと理由や事例」「疑問と解決」などのつながりや配列を意識した文章全体の筋道を整えていくことなどに焦点化された話合いにすることができます。

教師が、指導事項に示されていることを的確に把握し、有効なアドバイスを送ることで、子供同士の話合いが深まり、提案書の精度を上げることにつながります。

教師の働きかけ

○○さんは、地域の人に説得力ある提案にしたいと思っています。提案の順番や内容のつながりに着目して意見を言いましょう。

ビオトープを憩いの場所にしたいという考えはいいと思うから、そう考えた理由をもう少し詳しく書いたらどうかな。

地域の人にも大切にされるビオトープをつくるにはどうしたらよいのかという視点だから、その解決策の一つとして、地域の人と一緒にビオトープをつくるための具体的な方法を付け加えるといいと思います。

イラスト/佐藤雅枝 横井智美

『教育技術 小五小六』2021年6/7月号より

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