理科室のルール・使い方を指導するツボ【理科の壺〜理科担任のはじめ方】

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理科の壺/進め!理科道~理科エキスパートが教える、小学校理科の指導法とヒント~
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國學院大學人間開発学部教授

寺本貴啓

子どものころ、理科室に行くとなると「今回はどんな実験ができるのかな?」と、わくわくしたものです。学級担任になると、年度初めにクラスでルールを決めますよね? みんなが使う理科室を使う際にも、年度初めにルールを決めて共通理解をしておきたいですね。「ケガをしないため」「高価な備品を壊さないため」「トラブルの際の対応方法」など、比較的危険が伴う授業だからこそ、ルールを考えておきたいものです。
優秀な先生たちの、ツボをおさえた指導法や指導アイデア。今回はどのような“ツボ”が見られるでしょうか?

執筆/神奈川県公立小学校教諭・水野安伸
連載監修/國學院大學人間開発学部教授・寺本貴啓

理科授業をするときの“教師の心得”

教科書会社の年間指導計画をHPで見てみると、学年によっては4月から実験が始まります。理科の学習をするうえで実験は大切ですが、「安全に実験ができるか心配」「実験をするときのルールはどうすればよいの?」と私もよく耳にします。そこで今週は、「理科室の使い方、どんなルール?」「理科室の使い方、どうやって教える?」をテーマにしました。子どもが安全に実験を行うためにどんなことに気を付けるか、そのためにどんな指導を心がけていけばよいのか、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

以前から理科室には「使用上のルール」のようなものが掲示されている学校もあるかと思います。それを見直す意味も込め、特に理科室を使い始めるこの時期に皆さんと考えていくことで、一年間、安心して理科の実験が行えるようにと思っています。

それでは、よろしくお願いします。

その1 理科室の使い方、どんなルール?

理科の実験で「危険がある」といわれると、皆さんはどんな実験を思い浮かべますか?「火を使う実験」「薬品」などが当てはまるでしょうか。火を使った実験は4年生から、薬品を使った実験は6年生。しかし、理科室を使用する上でのルールは、「その実験かぎり」ではなく3年生のうちから学んでおく必要があります。つまり、学年や児童の実態に応じた指導も大切ですが、学校として、「理科室のルール」を定め、3年生から6年生まで育てていく必要があります。

実験中、器具が破損してあわてる子供たち

では、理科室の使い方やルールは、どのようなものが考えられるでしょうか。

私は理科室使用のルールとして、

  • 服装(◯上着のチャックを閉める、ボタンを留める ◯上着の首元から出ている紐は中にしまう 長い髪は結ぶ 燃えやすい素材の上着を着ない)
  • 実験を始める時と終える時には実験机を濡れ雑巾で拭く
  • 実験中は必要な器具等以外をしまう。椅子をしまい、立って行う

以上3点を必ず確認しています。

これらを基本のルールとしていますが、学年や実態に応じて、「実験器具の準備」「教師の指示をよく聞いて行う」なども必要と考えます。

また、実験の内容に合わせて必要なルールもあります。詳しくは『その2』で考えましょう。

特に年度初めの今は、地震が来た時の対策も考えておく必要があります。私は、学校行事で行われる避難訓練として「理科室からの避難」を実践しました。実験中を想定し、地震の起きた際にはどのように避難すればよいのか、確認しておくとよいでしょう。

では、子どもたちに「理科室の使い方」について、どのように教えていけばよいのでしょうか。

その2 理科室の使い方、どうやって教える?

基本的な「使い方」に関しては、教師から指導していく必要があると考えます。

私は、理科室の使い方について、掲示物を作成しています。多くの学校で、このような掲示物があるのではないでしょうか。

掲示板に貼られた、理科室のルール

掲示物を用いる利点として、実験前後にチェックしながら安全に実験が行えます。それだけではなく、3~6年生全ての学年が同じルールのもとで実験が行えます。学校として理科室使用のルールと位置付けることが可能なため、年度初めの今の時期に、掲示物を見直しておきましょう。掲示物があることで、年度途中からは子ども同士で確認したり、班の友達に声をかけたりしています。それでも、年間を通して、実験前には必ず教師が口頭で伝えるようにしています。

また、実験の内容に合わせて、使い方のルールには付け加えも必要と考えます。

例えば、

  • 「顕微鏡の持ち運び方」
  • 「保護眼鏡の使用」
  • 「太陽を直接見ないようにする」
  • 「薬品をこぼしたり、器具が割れたりしたときにはすぐに先生を呼ぶ」などです。

教科書には、巻末などに「理科室の使い方」「器具の使い方」などが掲載されています。まずは教師が予備実験をする際に、安全面について考えなければいけません。その時にはこうした情報も参考にしながら、基本のルールにプラスして、指導していきましょう。

今週は「理科室ルール・使い方の指導」について、安全な実験を行うためにという視点から考えました。

子どもたちは、理科の実験をとても楽しみにしています。年間を通して、安全に実験を行うために参考にしてみてください。

「このようなテーマで書いてほしい!」「こんなことに困っている。どうしたらいいの?」といった皆さんが書いてほしいテーマやお悩みを大募集。先生が楽しめる理科授業を一緒に作っていきましょう!!
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理科授業をするときの“教師の心得”とは?

執筆者プロフィール
水野安伸●みずの・やすのぶ 神奈川県公立小学校教諭。理科を中心に日々実践研究を行う。「これからはじめる“GIGA”全学年・全単元×1人1台端末×活用事例」(日本標準)執筆。
横浜市小学校理科研究会6年部会部長、日本初等理科教育研究会会報編集委員。

寺本貴啓先生

<著者プロフィール>
寺本貴啓●てらもと・たかひろ 國學院大學人間開発学部 教授 博士(教育学)。小学校、中学校教諭を経て、広島大学大学院で学び現職。小学校理科の全国学力・学習状況調査問題作成・分析委員、学習指導要領実施状況調査問題作成委員、教科書の編集委員、NHK理科番組委員などを経験し、小学校理科の教師の指導法と子どもの学習理解、学習評価、ICT端末を活用した指導など、授業者に寄与できるような研究を中心に進めている。

イラスト/したらみ

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