小5国語「多様な情報を読み取り、自分の考えを深めよう」指導アイデア

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アイディア❷ 対話を通して考えを形成しよう。

第二次では、立場を決め根拠となる資料をもとに考えをまとめる作業を行いますが、ここで、二つの対話を通して考えを形成していきます。

【資料との対話】

資料を「根拠を探す」という視点をもって自分なりに読んでいきます。

【ワークシート例】

※順位は、意見文に取り入れたい順位

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それぞれの資料が示す事実が、自分の考えの根拠となるのかを考えさせます。まずは個人でも考えられるよう、学級の実態に合わせて段階的に進めていきましょう。資料によっては、自分の立場とは異なる事実もありますね。それをもとに、反対の立場からの意見も予想できます。

【他者との対話(ペアや小グループ)】

「根拠となる事実」を書き出したワークシートをもとに、意見文に書きたい「自分の考え」と「その根拠となる事実」を話し合いましょう。ペアやグループで互いに質問したり考えを述べ合ったりし、「考え」と「根拠」の整合性や、どの根拠を示すのが効果的かなどを検討します。少人数だと、気軽に意見を述べ合うことができ、話し合う中で自分の考えがまとまっていくのを実感できます。考えがまとまったら、カードに書きます。

考えと根拠がちょっと合わない気がするよ。

この考えだと、これを根拠に示したほうが、説得力があるよ。ぼくと反対の考えだけれど、資料は一緒だね。どの部分を根拠としてあげているのかな。

【カードの例】

〇さらに全体交流に向けて
【ペアや小グループの組み合わせの工夫】

○同じ立場で、選んだ資料が違う組み合わせ
○違う立場の組み合わせ
○違う立場だが、同じ資料を選んでいる人の組み合わせ

自分と反対の立場の人の意見を予想し、質問を考えたり、逆に質問されたときの答えを考えたりするとよいですね。

「資料との対話」「ペアや小グループでの対話」を通し、書き手の考えや友達の考えにふれたり、問い直しをしたりして、自分の考えを明確にしていけるようにしましょう。

アイディア❸ 交流を通して考えを深めよう《深い学び》

前時までのペアや小グループで対話したことをふまえて、全体で交流を行います。それぞれの立場から考えを述べ、立場や根拠となる資料ごとにカードを整理していきます。互いの考えや根拠について比べ、質問したり意見を述べ合ったりしながら、考えを広げたり、深めたりすることができるようにしましょう。交流を通して自分の考えが変わることもあります。交流を通して深まったことや変化したことなどを振り返り、自分の考えを明確にし、書いてまとめます。

【板書例】

板書例
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資料4 のグラフによると、観光客数が増加しているので、自然が壊される確率が高くなると思います。

同じ資料4 ですが、観光客の増加によって、自然のよさを知る人が増えて、それが自然保護につながると思います。

自然を知ることも大切です。資料6 のマタギの人の言葉に「教えられてきた」とあるように、関わることで伝わっていくと思います。

同じ資料だけれど、立場によって、とらえ方が違ったり、違う資料でも、共通点があるのですね。

意見交流の仕方については、必要に応じて五年(上)「意見こうかん会」で学習したことを想起させながら指導しましょう。意見カードを根拠となる資料ごとに整理しながら、事実と事実、意見と意見を関係付けて、共通点・相違点なども見出していくとよいでしょう。交流によって考えを広げたり、深めたりすることが活動のねらいです。交流後に、自分の考えを書いてまとめることで、考えを整理したり変容を自覚したりすることができるでしょう。

《発展》
第三次は意見文を書く活動になりますが、教科書教材の資料に加えて、白神山地や他の自然保護についての関連図書からも根拠として取り上げて書くと、さらに説得力のある意見文を書くことができるでしょう。

調査官からのワンポイントアドバイス

国立教育政策研究所 教育課程調査官 菊池英慈

【ポイント①】課題意識を持たせ、文章の特徴を明らかにしよう!

意見を記述した文章を書く学習指導では、課題に応じてどのような種類の文章(文種)で書くのか明確に意識できるようにすることが重要です。そのためには、子供たち自身が誰に向けて、どのような目的で書くのかを見通しを持たせる必要があります。そこで、アイディア①では、身近な例を挙げ、自分ならどの考えが良いと思うかという課題意識を持たせ、目的を持って教科書を読むようにしています。このように、課題解決に向けて追究意欲を駆り立て、さまざまな文章を読んだり説得力のある意見文を書いたりしていくようにしましょう。

【ポイント②】考えを形成していく指導は段階を追って行おう!

本事例では、「資料との対話」と「他者との対話」を通して、自分の考えを形成できるようにしています。「資料との対話」では自分の考えを支える根拠を資料から抜き出し、さらに「他者との対話」で自分の考えとその根拠の整合性や効果的な根拠を吟味し合う活動を位置付けています。高学年では、こうした考えと根拠との関係を十分に捉えて書くことが重要です。このように、意見文にまとめていく際には、自分の立場を明確にする、根拠を吟味する、考えと根拠を統合して書き表していくという丁寧な指導を心がけていきましょう。

イラスト/和久田容代

『小五教育技術』2018年9月号より

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