小1算数「なんばんめ」指導アイデア(1/2時)《数を用いて順序や位置を表す》

特集
文部科学省教科調査官監修《1人1台端末時代の》教科指導ヒントとアイデア
タイトル 小1算数「なんばんめ」指導アイデア

執筆/埼玉県上尾市立原市南小学校主幹教諭・濁川究
監修/文部科学省教科調査官・笠井健一、浦和大学教授・矢部一夫

小二
算数 年間指導計画

単元の展開

第1時(本時)
数を用いて順序や位置を表すこと
前後にかかわる順序や位置の表し方

第2時
上下、左右にかかわる順序や位置の表し方
上下左右どちらからも見ることができる順序や位置の表し方

本時のねらい(単元の導入)

具体的な場面の観察を通して、集合数と順序数の使い方を結び付けながら数への理解を深めるとともに、数を用いて順序や位置を表すことができるようにする。

評価規準

  • 集合数と順序数の違いを理解し、数を用いて、順序や位置を表すこととができる。(知・技)
  • 数を用いて、順序や位置を表そうとしている。(思考・判断・表現)



くじを 2まい ひくことが できます。
ひきたい くじを おみせの ひとに つたえましょう。

算数イラスト1

くじはなん枚残っていますか。

算数イラスト2

6枚残っています。

みんなはどのくじを引きたいですか。

黄色と緑色が欲しいです。

一番前と一番後ろがいいです。

いろいろな引き方がありますね。では、C1さんどうですか。

C1
一番前と真ん中の緑色を引きたいです。

はい、どうぞ(1の黄色と4の緑色を渡す)。

C1
これじゃなくて、もう少し薄い緑色です。

これですか(4に変えて、3のくじを渡す)。

C1
そうです。この緑色です。

ほかに、一番前と真ん中の緑を選んだ人はこれですか。

一番前は合っているけど、緑がC1さんと少し違う緑です。

先生は、この緑(4の緑)だと思ってC1さんに渡したけれど、違う緑色のくじでしたね。「真ん中の緑色」では、間違えてしまう場合があるんですね。どう話したら、お店の人にみんなが欲しいくじを渡してもらえるでしょう。

一番前と一番後ろは取ってもらえるから、「前から〇枚目」「後ろから〇枚目」というように、番号を使えばいいと思います。

色だと分かりづらいから、1枚目とか2枚目みたいに数で伝えるといいと思います。



数を使って、自分の欲しいくじを伝えよう。

見通し

くじに、前から順に数を書いたらいいんじゃないかな。

数を書かなくても、「前から〇枚目」というように前から順に(頭の中で)数を付けたら分かるよ。

「前から〇枚目」「後ろから〇枚目」というように、前と後ろから順に数を付けると間違わないよ。

自力解決の様子

A つまずいている子

「この〇色」など、数を使って表すといった見方に気付いていない。また、「〇枚目」などの記述で終わっており、前や後ろといった基点に着目することができていない。


B 素朴に解いている子

前や後ろといった基点を決めて、なん枚目のくじを引きたいかを数を使って表している。


C ねらい通り解いている子

一つのくじの位置を表すのに、前や後ろといった二つの基点を使った表し方があることに気付き、それぞれについて、なん枚目のくじを引きたいかを数を使って表している。

学び合いの計画

この時期の子供は、集合数と順序数に混乱が見られる場合が多いです。本時では、くじを引かせるという場面を通して、順序数に特化した学習を行います。

導入段階では、微妙に異なる色画用紙を用いて、「緑のくじ」というだけでは一意に決まらないことに気付かせ、正しく伝えるためには数が必要であることが分かるようにします。

展開部分では、自分の伝えたいことをどのように表したら相手に伝わるのかといったことを目的として、数で表すことや、そのよさに気付かせていきます。一年生の算数の学習では、幼児期の体験活動と算数の世界の表現とを結び付けていくとともに、そのよさを味わわせることが重要です。

なお、本時では以下のことを大切にして学び合いを進めていきます。

①自分自身のなかでの学び合い

本時では、最初うまく表せなかったところが、数を用いて順序や位置を表すことができているといったふり返りが大切です。自力解決の際には、複数の解法に取り組ませるだけでなく、「自分の伝えたいことはしっかりと表せているか」「どのように説明したのか」「なぜうまくいったのか」など、自分自身の解法の内容についてふり返らせていきましょう。

②自分と友達の考えを通した学び合い

友達との話合いでは、単に自分の解法を伝えるだけでは不十分です。友達の考えと「同じ」「違う」といったところに目を向け、自分自身の考えを見直すことが重要です。

③考えと考えを比較検討することによる学び合い

異なる考えや似た考えをどのような視点に沿って学び合っていくのかは、数学的に考える力を育てるためにはとても重要です。第1学年の入学当初の段階ということもあり、教師を中心としながら、それぞれの考えの共通点・相違点や考え方のよさを全体で価値付けながら、学び合いを深めていきます。

ワークシート例

算数ワークシート

全体発表とそれぞれの考えの関連付け

どのくじが欲しいか、教えてください。

前から2枚目のくじと、前から3枚目のくじをください。

このくじと、このくじですね(教師がくじを手渡す際に、図に〇を付け、関連付けていく)。

算数イラスト3

後ろから2枚目のくじと、後ろから4枚目のくじをください。

算数イラスト4

二人とも欲しいくじでしたか。

はい。そうです。

二人とも間違いなく、欲しかったくじをもらえたようです。なぜうまくいったのでしょう。二人のやり方で、「同じ」と思うところはありますか。

色じゃなくて、「前からなん枚目」のくじといったように、数で伝えていました。

数だけじゃなくて、「前から」とか「後ろから」とかも使っています。

二人の考えは、「前からなん枚目」とか、「後ろからなん枚目」といったように伝えるのが「同じ」ところで、うまくいったようですね。「違う」ところはありますか。

2枚目が、どちらも同じ「黄緑のくじ」を選んでいるのに、言い方が違いました。

本当だ。同じ「黄緑のくじ」なのに、「前から3枚目」でも「後ろから4枚目」でも言えるね。

「前から」や「後ろから」という言葉が違うけど、選んでいるくじは一緒ですね。

「前から」と「後ろから」と言い方は、二つあるんじゃないかな。

そうだね。「2枚目をください」だけだと、同じ2枚目でも、「前から2枚目」だと黄緑だし、「後ろから2枚目」だと水色になってしまうので、はっきり「前から」と「後ろから」を言わないと、違ってしまいます。

この前、ほかのクラスで「前から2枚ください」といってくじを引いた人がいました。

算数イラスト5

それだと、黄緑1枚になってしまうので、もう1枚引かなきゃだめだよ。

え? 「前から2枚」というのは、黄色と黄緑の2枚ということでしょ。だから、2枚引いていることになるんじゃないかな。

どうなのでしょう。「前から2枚目」と「前から2枚」では、違うところはありますか。

「前から2枚」というのは、黄色と黄緑色のくじをまとめて2枚もらっています。

「前から2枚目」というのは、黄緑色のくじのことです。

みんなは、黄緑色のくじだけをもらいたかったら、なんと言いましたか。

前から2枚目とか。後ろから5枚目とかです。

前から2枚目と、前から2枚は違うのですか。

違います。2枚目は順番で、2枚はまとまりでもらっています。



・「前」や「後ろ」を使って、「前から2枚目」など、数で表すと分かりやすい。
・「前から2枚」はまとまりで、「前から2枚目」は一つだけの色紙を表す。

評価問題1

算数評価問題

子供に期待する解答の具体例

算数評価問題具体例

評価問題2

(教室の座席を利用して)
①まえから 4人目の 人は 立ちましょう。
②うしろから 4人目の 人は 立ちましょう。
③まえから 4人は 立ちましょう。

子供に期待する解答の具体例

集合数と順序数の表し方が分かり、正しく起立することができる。

感想

  • 数は計算だけじゃなく、いろいろなことを伝えるのに使えそうです。
  • 「〇人目」と「〇人」の違いが分かりました。「〇人」の一番最後の人が「〇人目」になっていました。

イラスト/横井智美、やひろきよみ

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