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ベテラン愛され教師の『連絡帳キラーフレーズ』集

2019/3/20

教師と保護者をつなぐツールの一つ、連絡帳。そこに書かれる内容は、日々の伝達事項や保護者からの相談、クレームなど多岐にわたります。「こんな連絡帳の書き込みにはどんな回答が正解?」そんな疑問にベテラン教師である兵庫県尼崎市立公立小学校主幹教諭 佐藤隆史先生が一刀両断。よくある6つのケース別に、保護者の安心感や信頼を得られるようなキラーフレーズをまとめました。

写真/髙野宏治

連絡帳は保護者やご家族に安心を与えるもの

連絡帳は、使い方次第で保護者とよりよい関係を築くことも、反対に関係が悪化することもあります。電話や懇談会などと違い、連絡帳でのやりとりは言葉が「残る」ということを忘れてはいけません。言葉を尽くしたつもりが誤解を生んだり、一言で済ませてしまったために「冷たい」印象をもたれたりしてしまう、などが連絡帳の難しさです。幾度かの失敗体験から得たことは、子どもと保護者のことを第一に考えて対応する、ということでした。ちょっとした「フレーズ」や、ほんの「一言」で保護者の安心感、信頼を得ることができるのです。

ケース1:単純な連絡

「熱が38度あるので、今日はお休みさせていただきます」

このような欠席の連絡に対して、「了解しました。お大事に」などの一言で済ましてはいませんか? 忙しい合間を縫って返事を書くと、つい事務的に返答しがちです。
以前、保護者から「佐藤先生はいつも『わかりました』ばかりですね」と、笑いながら言われたことがありました。自分に子どもができ、親の気持ちがわかるようになって、あの頃は「情」がなかったと気付きました。保護者には「あなたの子どもを大切に思っています」「いつもあなたの子どもを見ていますよ!」ということを、連絡帳の返事で表現することが大切なのです。

先生の回答例
「昨日は、とても元気に外で縄跳びをしていた○○さん、どうしたのでしょう・・・。心配です。どうぞゆっくりと休ませてあげてください。お大事に」
「○○君のいない教室は、ぽっかりと穴が空いたような寂しい感じがします。一日も早くよくなって教室に戻ってきてくださいね。待ってます」

ケース2:クレーム(苦情)

1.「お便りを持って帰ってこない。ちゃんと持たせてほしい」
2.「行き当たりばったりの一貫性のない指導はやめてほしい」
3.「隣の席の○○君が乱暴なので席を替えなければ学校には登校させない」

クレームに対しては、連絡帳で返事をするか、電話を使うかは一概にどちらがよいとは言えません。けがをしたり、不登校が絡む場合は、直接会って話すようにします。前述の三つのような場合は、電話で保護者の思いを聞きながら、叶えられる要求に対しては誠意をもって実現に向けて努力していく旨を伝えます。といっても何も返事を書かないわけにもいかないので、次のように回答します。

1.への回答例
「机の中に入ったままになっていました。今後、私のほうから声をかけていきます。またこのようなことが続くようでしたら、いつでも連絡してください」

「悪いのはあなたの子どものほうです」と言いたいところですが、言ったところで「はい。ちゃんと言って聞かせます」という保護者はそもそもクレームモードで書いてきません。“自分の子どもに躾が行き届いていない現実を認めたくない”“頼りないわが子は教師の支援を受けて当然だ”という考えのアダルト・チルドレン保護者が確実に増えています。そういった保護者にはしっかり寄り添ってあげる必要があります。また、機会あるごとに「成長してますよ」「できるようになってきましたよ」と伝え、安心させてあげることが何より大切で、実際に子どもがそうなるようにもっていく、できることを仕掛けていく必要があります。

2.への回答例
「ご指摘いただき、今一度指導のあり方をふり返る、よい機会を与えていただいたと思っております。ありがとうございました」

上から目線のクレームに対しては、「そんな指導はしておりません!」などと戦いモードに入らないことが肝要です。思い当たらないことなら、これも電話で、「よろしければ、私の行き当たりばったりなところを詳しく教えていただけるとありがたいのですが」と尋ねて、それに対しては「そうでしたか。はっきりと言ってくださって感謝しています」と、相手の自尊心を引き立てておくほうがそのまま収束していくことが多いようです。このような理不尽なクレーム(というより、鬱憤晴らしなのですが・・・)に対しては相手の土俵に乗らないことです。

3.への回答例
「ご心配をおかけして申し訳ございません。すぐに席替えをし、○○君には私のほうからきちんと話をし、厳しく指導していきます。気になることがございましたら、すぐにお知らせください」

子ども同士のトラブルで加害者と被害者が明らかな場合は、曖昧な返事やとくに加害者側の気持ちを被害者側の保護者に伝えるのは、後々こじれることが多いです。被害者の立場に立ち、担任として子どもの安全を保障していく旨を伝えることで保護者は安心し、信頼関係も築かれていくことでしょう。

ケース3:学校での様子が知りたい

「うちの子は、学校であったことを家でまったく話してくれません。ちゃんとやっているのでしょうか」

学級通信などで子どもたちの様子を伝えている場合は問題ないですが、そうでない場合は、個別に子どもの様子やエピソードを交えて伝えてあげるのがよいでしょう。

先生の回答例
「授業では必ず発表しています。今日も算数の時間に自分の解き方をみんなにわかりやすく説明していました」
「雨が降っていたので、教室で友達と得意な将棋をしてとても楽しそうな様子でした」

ケース4:安心したい

「ママ友のLINEから、○○ちゃんのグループでうちの娘を仲間外れにしようと企んでいると知りました。どうすればいいのでしょうか」

最近、ほとんどの保護者がSNSでつながっています。そこで流れる情報の中には、ときに保護者を不安に陥れてしまうものもあります。そんな連絡帳には「ほっ」とする一言を書き添えておくとよいでしょう。

先生の回答例
「大丈夫です。『友達が悲しむようなことをしたら許しません』と日頃から言っていますので、今一度念押ししておきます。また不安に思われたらいつでもご連絡ください」

ケース5:担任とつながりたい

「習い事のお迎えの時間や、緊急連絡をしたいので、先生のメアドを教えてください」
「SNSのグループを作ったので、先生も仲間に入ってください」
「金曜の夕方に○○さんと△△さんを呼んで焼肉パーティーをするので、先生もぜひ来てください」

このような公私混同してしまう保護者も中にはいます。曖昧な返答はせず、相手に不快感を与えずに希望に添えないことを伝えましょう。

先生の回答例
「ご厚意はとてもありがたいのですが、そのようなことは本校職員は禁じられておりますのでご了承ください。連絡は密に電話でさせていただきます。何卒、ご理解くださいますようお願いいたします」

ケース6:感謝を伝えたい

嬉しい例として、保護者からの励ましや感謝の言葉が連絡帳で届くこともあります。感謝の言葉は「感謝」で応え、惜しみなく表現することで、いろいろな場面で保護者からのバックアップが得られます。「ありがとうございました。今後ともよろしくお願いします」で終わらせるのはもったいないです。

先生の回答例
「そのように言っていただけると『ほっ』とします。○○さんからのお言葉で新たな勇気が湧いてきました。とてもうれしかったです。○○君のいきいきとした笑顔が忘れられません。ありがとうございました」

■連絡帳で使えるワンポイントアドバイス

文章に「?」を使わない

「?」マークは文章中で浮いて見え、不信感として伝わることがあるので使用しない方がよいでしょう。
例「お家の机の上にはないですか?」

字は丁寧に書く

字のうまい下手に関わらず、わかりやすく丁寧に書きましょう。とくに数字(6と0、1と7など)は注意。

漢字よりもひらがなを使う

「この間は、有難う御座いました」より「このあいだは、ありがとうございました」の方がやわらかく、親近感がわきます。

否定的な言葉は書かない

部分的な否定のつもりでも「全否定」と受け止められてしまうので避けましょう。

命令文・否定文は誤解のもと

「えんぴつ書きはしないでください」より「えんぴつ以外で書いていただけるとありがたいです」が丁寧な印象です。

ロジックより「気持ち」を添える

「ほっとしました」「心配しました」など気持ちを一言添えましょう。

原因追及より「新しい提案」を

「なんでこんなことをしたのでしょうか」よりも「~なやり方もありますが、どうでしょうか」というように、過去に執着せずに、「どうありたいか」「どうあるべきか」の未来志向で書きましょう。

言いにくい「お願い」はシンプルに伝える

「お願い」「断り」「注意」など保護者に言いづらい内容は、回りくどくなるほど相手は戸惑い、イライラさせます。何をどうしてほしいのか具体的にシンプルに伝えましょう。例「恐れ入りますが、以前お願いしていました諸費の件ですが、お願いしていた期日より一日早めて納入していただきたいのです。いかがでしょうか」

『小一教育技術』2016年4月号より

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