学級目標は教師が意図をもって決めよう
学級目標は1年間の”よりどころ”。教師が意図をもって決めることが大切です。
執筆/東京都公立小学校主任教諭・佐藤あすか
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目次
学級目標は、子供たちだけで決めさせない
「子供たちのための目標だから子供たちで話し合って決めさせよう!」
ついやってしまいがちなのが、このように「子供たちに任せて、子供たちみんなで意見を出し合って決めること」です。子供たちに任せて決めてしまうと、担任がもつ思いとは、ずれてきてしまうことがあります。
新しい学年がスタートする4月。学年の先生と一緒に「学年目標」を決めます。そのうえで自分の学級のことを考え、「こんな学級をつくっていきたい」「こんな子供たちを育てていきたい」という思いをもつことと思います。その思いを、学級目標に盛り込むことが大切です。
しかし、だからといって、担任が一方的に決めてしまっては、子供たちに不満をもたせてしまうことにもつながります。それを「守りなさい」と言われても、子供たちは納得しないでしょう。
子供たちだけで決めてしまうと、こんなことも……
担任が一方的に決めてしまうと、こんなことも……
どうすればいいの?
子供たちが「自分たちで決めたんだ! この学級目標を守るぞ!」と思えるようにすること、教師の思いも盛り込むこと、この二つが達成されればいいのです。
つまり学級目標をつくるときは、子供たちにあたかも 「自分たちで決めてつくった」と思わせながら、教師が「こんな目標にしたい」と思うものにしていくことが大切です。
実際に学級目標をつくっていこう!
① 「どんな○年生になりたい?」と子供たちに問いかけ、全員の意見を聞く。
(学活の時間10〜15分)
その場で子供たちに意見を出させ、それをうまくまとめながら、かつ担任が意図するものをつくりあげていくのは、とても難しいことです。
大切なのは、「子供たちがどんな願いをもっているか」を教師が理解し、受け止めることです。無理してこの場で決める必要はありません。二年生は文字を書けるので、全員に紙を配り、「どんな二年生になりたい?」と問いかけ、一人ひとりの願いを書かせます。一年生はまだ文を書けないので、「どんな一年生になりたい?」と聞き、出た意見を黒板に教師が書いていきます。
二年生:配る紙の例
一年生は黒板に書いてあげる
「どんなクラスにしたい?」はやめよう
② 出された意見を先生がまとめてくることを子供たちに伝える(二年生は紙を回収する)。
ここがとても大切です。次の三つのことを子供たちにしっかりと伝えます。
- 書いてもらったものは全部しっかりと教師が読んでくること(二年生のみ)
- これを基にして、全員の思いが全部入るような学級目標を、教師が考えてくること
- 考えてきたものをみんなに「どうかな?」と提案するので、最後にみんなで微調整してみんなで学級目標を完成させること
※ 一年生には「学級目標」とは「クラスがよくなるためにみんなで決めるお約束」と説明してあげます。
③子供たちの書いたものをまとめながら、学級目標(仮)をつくる。(放課後の作業)
子供から出された意見を取り入れながら、担任が考えた学級目標の例
子供の意見の中には、どこにも入れにくいものもあるが、教師が自分なりに解釈して、どこかに入れる。後で子供たちに説明するときに、「このように考えて、ここに入れたよ」と伝える。
④考えた学級目標(仮)を、子供たちに伝える。みんなで微調整し、完成。「みんなで決めたね。みんなが考えたね」と大いにほめて終える。
(学活の時間10〜15分)
「みんなの思いが入るようにつくった」ということを強調しながら伝え、全員の思いが入っているか、みんなで確認します。「言い回しや単語をちょっと変えたい」などは、この場で言ってもらい、全員が納得したら、完成です。
頭文字などで「キーワード」をつくると、子供たちが覚えやすく、学級目標を意識しやすくなります。教師が事前に考えてきてもよいですし、この場でみんなで言葉を並べ替えて面白いキーワードにしてもよいですね。
〈二年生の例〉
- キーワード「やあ、またなあ!」
- まわりに貼るものは
①みんなの写真
②好きなものを一人一つ描いたもの
と、みんなで決めました。
〈一年生の例〉
- キーワード「はとが やさしい」子供たちはすぐに学級目標を覚えました。
- まわりには、みんなで切って作った折り紙を貼りました。
1年間、いつでも学級目標に立ち返る。自分たちで決めたからこそ、守る
学級で困ったことが起きたときや、「今日は学級目標を達成できた行動があったなあ」と思ったときなど、しかるときも、ほめるときも、この学級目標に立ち返ります。いつでもこの学級目標がみんなの〝よりどころ〞になります。
「自分たちで決めた」という思いが子供たちの中にあれば……
3月、学級での最後の時間に、「みんなで決めた学級目標、達成できたね。みんな努力したね」と子供たちに話し、次の学年に向けて自信を付けさせてあげたいですね。
イラスト/佐藤雅枝
『教育技術 小一小二』2021年4/5月号より